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酒好き義姉さん、未来人の仲人になる  作者: 依馬 亜連
おまけ

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20/22

おまけ3 名前にまつわる、あれやこれ

 拍手お礼小話の加筆&再掲載です。

 本編の7話と8話の、間辺りの一幕です。

「あなた、名前は?」

 入院させていても金がかかるため、市夜は異星人を自宅へ引き取ることとした。

 救急病院のカウンターで、全額実費の高い医療費を払いながら、後ろを振り返る。

 市夜の財布の中身も非常事態だが、ベンチにのけぞるターレ人の顔色も、絵の具を塗ったみたいに真っ赤だ。

 聞けば子どもが罹患する病気を患い、扁桃腺まで腫らしているらしい。


 帰りに安いプリンでも買ってやるか……それにしても、異星人にも扁桃腺ってあるものか?


 などと密かに考えていたら、異星人は億劫そうに身を起こした。

「……シン・ク・ロウ」

 顔と髪色にぴったりの、緑茶みたいな渋い声で、気だるげに答える。

「シンクロウ?」

「いや、個体名はシン、居住区域がク、職種がロウでござる」

 喉が痛いせいか、弱々しい発声で、しかし丁寧に答えた。侵略者の割に、几帳面である。


 彼によると、残存するターレ人は航行船内生まれの者が大多数であるためか、姓という概念がないらしい。

 代わりに、どの船で生まれ、どういった職務に就いているのか、という点が重要視されているという。数少ない人口を、効率よく各職務へ分配し、居住区域ごとの出生率も把握するための措置なのだそうだ。

 つまり彼の名前は、ク村生まれでロウの仕事をしているシンさん、という意味となるらしい。

 いつの時代の農民だ。

 その口調と相まって、江戸時代臭が半端ない。いや、戦国時代でも構わないのだが。

 頬を緩めてにやける市夜の脳裏に、白馬に乗った某将軍が暴れ込んで来た。

 祖母と一緒にあのドラマを観ていたおかげで、八代将軍の名前だけは忘れなかった市夜なのだ。


 そして、彼が使っていた偽名も、しっかり覚えている。

「……徳田 新之助」

 謎の名前で呼ばれ、シン・ク・ロウは首だけ再び持ち上げる。

「は? 何と申したか、地球人よ」

 手と首を、市夜は素早く左右に振った。

「いえ、何でもないです。あと地球人じゃなくて、市夜ね」

「イッチャ?」

「私は三人目のウッチャンナンチャンか」

「ウッチャ……それは、何者か?」

「あーもー、面倒ね。私の名前は市夜、イ・チ・ヤです」

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