加山 トオルのメモ帳
これは設定書なのであんまり本編とは関係ありません
加山トオルのメモ帳
これは俺、加山トオルの情報帳である
アルカディア・ソルン学園
先代理事長 アルカディア・ソルン理事長が建てた高校。
特徴として、この高校には運動系部活がない。これは理事長の掲げる『知識は力である』という校風からきている。ちなみに近くには運動系のみ高校デレネ・ソルン学園がある。アルカディア・ソルン理事長の妹が建てた学園である。
ここアルソン学園ではいろいろな学生が知識の探求を求め勉学に励んでいる。俺もそのうちの一人に入る。
ここでは勉強のレベルも高く。大学レベルでの研究などができ、専門学校や大学に進学するものが少ないにも関わらず、技術は大学・専門学校クラスのものである。
この学園には今期特殊能力と呼ばれる常人にはありえない能力を持った者が七人在学している。この七人は能力だけではなく、その分野における技術も学園一である。
江宮 アヤメ (部活未所属) 血液型O型
この学園に入学してきた新入生。性格は明るく無鉄砲ではあるが問題が起きても難なくクリアできる天性の才能があるようだ。俺の前の席に座っている。席はクジで決まった物だが運命的な物を感じずにはいられない。興味本位で話しかけたが案の定面白い子だった。成績は下の上、なんとか入学できたレベルだろう。現在、演劇部、漫画研究部、書道部、華道部、天文部、美術部の学園六大部。プラスして帰宅部と七つの部を自分の部にすべく悩んでいるようだ。
これは俺の予想だが彼女はこれからこの学園で面白いことを起こしてくれそうだ。最後に、俺が所属する新聞部によく現れては喋るだけ喋って帰るのが日課になりつつある。
立花 ショウ (演劇部所属・触感能力者)血液型・A型
演劇部立花 ショウ先輩。彼は百の声を持つと言われ様々な声を出すことができる。声の種類としては男性、女性、子供、年配と様々で演劇中女性の役も演じることがある。性格は何事も面白く捉えプラス思考。面白い人を見つけると離さない独占欲が強いようだ。でも、顔は良く女子生徒にはモテるようである。もてはするが一途で現在彼女はいないようだ。
彼の能力を新聞部が調べてた所、声帯を自在に変化させる事ができるようで彼の感覚機能が常人を遥かに超え出せるものという答えに出た。現に彼は成長期の男性にも関わらず喉仏は発達してない。
色々な声優業界からのスカウトが後を絶たないようだ。
夜見山 ソウイチ (漫画研究部所属・触覚能力者)血液型・AB型
漫画研究部夜見山 ソウイチ先輩。彼は定規、コンパス等を使わずどんな線も円も書く事ができる。長さも定規を使ったかのようにピッタリと書ける。彼の漫画はペン以外の物をほとんど使わない事で有名である。ネームの段階での完成度は異常だと言われていてアシスタントもほとんどいらずほぼ一人で描いている。性格は真面目、冷静といったクールな感じが漂う人である。ただし、それは表向きで漫画について語ると三時間は逃げられない熱血的な所も見られる(新聞部の先輩は五時間は逃げられなかった)その所為か、普段はクールな一面を崩さないようにしている。
彼の能力は絶対音感のようなものに近く、新聞部では絶対距離感と言っている。寸分の狂いもなくこちらが指定した長さの線を書いてしまう。彼の線の真っ直ぐさは凄まじく。正四角形を一瞬で書けるレベルだ。おそらく、線を書くときに手から伝わる感覚で物の長さ、精密さ等を感じ取っていると思われる。能力だけではなく彼の書く漫画は面白くアヤメからよく手渡される。アヤメも虜のようだ。
投稿等をしていないので企業からのオファーは今のところ無いようだ。ただ、裏ルートで売買されるほどの物らしい(俺は読んだことはない)。
持田 キサラギ (書道部所属 触覚能力者) 血液型B型
書道部持田 キサラギ先輩。彼女は目を瞑った状態で道を歩き、目的地までたどり着けることができる。他にも目を瞑った状態で文字も書く事ができる。性格はぶりっ子のように見えるが本人は自覚はない。ただ自分のやりたいようにやっているだけのようだ。誰にでも優しく振舞うので八方美人と言われ男女共に評判は良い。可愛い子が大好きでアヤメが捕まっているのを見たことがある。確かにアヤメは美人の分類に入る。
彼女の能力は肌で物の気配を読み取り、目を瞑っていても物の位置等を把握してまるで目で見えるのと変わらない(当人はそう言っている)らしい。なので部活勧誘の時のパフォーマンスは彼女にとって造作もなくむしろ遊び感覚のようにできる。
書道の腕も良く、プロも関心するレベルだが、彼女はその道には興味はないようだ。大会などには参加はせず、こっそり部活メンバーが展示会で展示している。
萬 カイト (華道部所属 視覚能力者) 血液型A型
華道部萬 カイト先輩。彼は花を見れば枯れそうな花であっても活きている部分を見つけて作品に仕上げてしまう。性格は物静かでいつも何かを見つめている。華道に強い思い入れがあり、とある大会で優勝した際、華道のお家どころの対戦相手に対し「華を道具としか見ないあなたが私に勝てる道理は絶対にありません」と豪語した。その言葉を今でも実現している。これほどまでに華道の才能溢れる人だが、家は華道とは関係なく父親は警察、母は調理師だったりする。
彼の能力は物のオーラを目で見てそれを活かすことができるというものだ。取材した新聞部部員も体調不良を言い当てられ彼に感謝している。彼曰く、「咲きたいと願う花を見つけることができる。だから私は華を活け続ける」と言っている。
卒業したら華道の道に進みたいと思っているらしく日々勉強しているようだ。休み時間華道の本を読んでいるのをよく見かけるという話もある。
海山 サトシ (天文部所属 視覚能力者) 血液型O型
天文部海山 サトシ先輩。彼は空を見上げると星の出方や流れ星などの情報を読み取ることができる。この能力は天気予報にも使える。っと新聞部の先輩は言っていた。性格は控えめで人と話すのは苦手。かなりの引っ込み思案でクラスの中でも一人でいることが多いようだ。しかし、友人がいないわけではなくただ単に一人で空を眺めることが好きなようだ。休み時間は屋上で空を眺めるのが日課のようだ。天文部ではお兄さん気質でみんなから慕われている。
彼の能力は機械等を使わず、空気の流れや星の位置等を即座に読み取り予報をすることができる。事実、流れ星が出るであろうと予測した場所で流れ星を必ず確認できた。「明日は曇りだね」と言った日は必ず曇りになる。最高で三日先の天気も当てた。
のんびりとした性格の所為なのか将来の夢は考えていないらしい。当人は「考えてはいるんだけどねー」っとぼんやりとした顔で言っていた。能力を生かして天気予報士という噂も後を絶たない。
陽炎 ユエン (美術部所属 視覚能力者) 血液型B型
美術部陽炎 ユエン先輩。彼の能力は人の思考を目で見ることができる。事実、俺の思考も読まれ苦笑いした覚えがある。性格は極度のめんどくさがりで気分屋。後輩の春さんも手を焼いているようだ。新入生に追われる先輩というのも面白いものではあるが当人はたまったものではないだろう。しかし、絵を描くことが大好きなようで授業中もノートに絵を描いてる。彼のノートは授業の内容は無く。ほぼスケッチブックのようなものになっている。しかし、成績は上位と頭脳明晰である。
彼の能力は人を目で見ると言葉ではなくアニメの様に人の思考を見ることができる。なので彼の前で嘘をつこうものならすぐに見破られ大変な事になるだろう。でも彼自体嘘に興味がないのかあまりその事を口にすることはない。事実俺の嘘に関してアヤメに言った形跡はなかった。
将来は家業(雑貨屋)を継いで自分の趣味に浸って生きていきたいようだ。
涼宮 キサキ (帰宅部所属 聴覚能力者) 血液型AB型
帰宅部所属涼宮 キサキ先輩。彼女の能力は動物と話ができる。種類とか関係なく。ほぼ全種類の動物と会話ができる。性格は優しく情にもろい。しかし、この能力のおかげで彼女は心を固く閉ざしている。彼女の能力を検証するのにもだいぶ苦労したようで新聞部の総力を上げての取材になった。最終的には彼女が折れる形で検証が出来た。彼女は動物には優しく接しており、こっそり学園の裏で猫を一匹飼っている。目の前で猫が死んでいた時は涙を流しながらお墓を作っていたのを見た人もいるという資料もある。
彼女の能力は動物達の鳴き声等から動物の気持ちの篭った言葉がわかる。新聞部が連れ込んだ蛇とすら会話し、じゃれあっていた写真があった。様々な動物を用意し検証してみたが全部の動物と打ち解け合っていた。それも会話の内容が色々リアルで連れてきた経緯等を全て話され彼女に睨まれたりしたようだ。しかし、動物たちをけしかけられなかったのは優しさだと思う。
将来は能力とは関係ない世界で生きていきたいようだ。
「ふぅ……。ざっとこんなものかな?」
俺は机にペンを置いて体を伸ばした。
「トオル何書いてるの?」
後ろを振り返るとアヤメが俺を見ていた。
「うわ! アヤメ何してるの!」
俺は思わずメモ帳を体で隠した。まずい……これを見られるのはまずい。
「何ってずっといたけど?」
「ずっとってここ新聞部の部室!」
そうここは俺の所属する新聞部の部室。俺の左右には先輩達が置いていった資料の山がある。
「知ってるよ。……そのメモ帳新しいの?」
前書いてたメモ帳は使い切ってしまって今使っているのは新品だった。だから見られても困るような内容は……多分ない。でもその前に……
「情報帳と言ってほしいな。なんてたって俺の集めた情報がここに入ってるんだからな」
そう、俺が苦労して集めた情報の全てがこの情報帳に詰まっている。
「ふーん……クスッ」
不敵な笑みを浮かべながらアヤメは俺の前に立った。
「って! アヤメ! メモ帳を返せ!」
一瞬の出来事あった。目の前で俺の情報帳は掠め取られアヤメは物凄い勢いで部室を出て行った。俺は勢いよく立ちがって部室を出た。アヤメはもう小さくなっていた。
「フフフ、メモ帳って言ってるし。追いついたら返すよー」
私は後ろを振り返ってトオルにそう言うと前を向いて走った。
「無茶言うな元陸上部!」
そう、中学の時陸上部だった私にトオルが追いつけるわけがなかった。少し意地悪だったかな? でもあんなに慌てるトオルも珍しいな。どんなこと書いてあるんだろう?
「ええと……へぇーこんな事書いてるんだ……ってこれ私たちの……これトオルのこと書いてないな……よし」
私は自分の教室のトオルの席に座りながらノートを読んでいた。
加山 トオル (新聞部所属 能力はあると思う) 血液型A型
ええと、私が入学した時に初めて話しかけてくれた男性。彼はなんでも知ってて……ええと、頭も良くて、とりあえずなんでも知ってる感じ。調べるのが好きって言ってたけど何か特別な物を感じる。私の思い込みかな? 性格は優しくて暖かくて大事な親友。あれ? これ性格じゃないな。新聞部の先輩にはこき使われてるのをよく見かけるけど文句ひとつ言わずコツコツとこなしている。さっき話しかけた時も隣には整理しないといけない資料が山ほどあった。後……ええと、なんていうか私は彼の事を
「ゼェゼェ……」
不意に教室が扉が開いた。
「え?」
「やっと追いついた……」
トオルは私に近づいて来た。そして、私の席に座ると私からメモ帳を取り上げた。
「え? 後ちょっと! もう少しで書き上がるから!」
「これはノートじゃないんだ。返してもらうよ」
私はメモ帳を取り返すことができずトオルの机に伏した。
「トオルの意地悪ー」
全く……何を書いたんだ? ってこれ俺の事か? 喋ってる事をそのまま書いたな。全く面白いのを書いてるな。ん? 最後の一文はなんだろう? もう少し様子見てから取り返すべきだったかな。
「ケチンボ」
これはもう一度渡してもこの続きは書いてくれないだろうな。
……アヤメは面白いから大好きだ。もう少し一緒にいよう。