表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/20

異変

現在時刻は八時過ぎ、私たちは近くの駅に来た。『荒川 悟』がこの町に来るとすれば必ずどこかの駅に現れる、家が私の学校の5キロ圏内ならこの駅の可能性も十分ありえる。それに周りの空気もそう教えてくれた。



「ルカ様、『荒川 悟』はこの駅に来るでしょうか…」



改札の前で一緒に待つ瀬川が私に訊ねる。彼女には分かっていないのだろうか。



「瀬川、周りを見て。多分あれはテレビの記者だ、彼がここに来たときに取材でもするんだろう、他にもいるぞ、あそこに大きなリュックを背負っている男だってそうだ」



「あぁ!あの中に機材が入ってるんですね?さすがルカ様です」



「とりあえず、今はここで待つとしよう」



そしてベンチに座りながら待つこと一時間ほど………。



「ルカ様、来ませんね」



「そんな簡単に来るわけがないだろう、もう少し待ってみよう」



そしてさらに一時間後………。



「まだ来ませんね、ルカ様」



「取材の記者は三時間だって待つことはあるんだ、そうだちょっと飲み物を買ってくる。瀬川は何がいい?」



「あ、すいません、私は……じゃあココアを」



「わかった、ちょっと待っててくれ」



そういうと私は近くのコンビにに買出しに行った。あまりにも普通だったから気が付かなかったが…瀬川、ついに私がやりますとは言わなかったな。別にそれでもいいんだが、少し複雑な気分だ。



「私は……フ○ンタでいっか」



そして買い物を済ませて改札口に戻ろうと階段を上がっているとすれ違ったフードをかぶった男が何かを呟いていた。



『は~めんどくさいなぁもう。あ、時間進めるの忘れてた、まぁいっか』



何を一人で言ってるんだろう?まぁいい、私には関係ないことだ。そして改札口のベンチに戻ると瀬川が驚いた表情で私を見た。



「ルカ様、もう買ってきたんですか?」



「あぁ、そんなに速かったか?」



私は自分でもそれほど速いとは思っていなかった、別に走って行ったわけでもないし。



「速いなんて……でも袋は提げてるし」



「どうしたんだ?瀬川」



「だってルカ様、さっき階段を下りたかと思ったら一分くらいで戻ってたので……」



「!!!!」



「ルカ様?」



おかしい、私は速くても往復で五分はかかった。だいいち駅からコンビにまで一分以上はかかる、しかし瀬川が嘘を言う理由はない、一体どういうことだ。その時私の脳裏にはある言葉が浮かんだ。



『あ、時間進めるの忘れてた、まぁいっか』



「時間を進めるのを忘れていた」



今思えばおかしな言葉だ……そうか!



「しまった!そういうことか、行くぞ瀬川!」



私は瀬川の手をとって走り出した。



「え、ちょっと!ルカ様?」



「話は後だ!さっきすれ違った、フードの男。あの男を追う」



駅を出て周りを見渡した、やっぱり居ないか。



「ルカ様、どうしたんですか?」



「瀬川、待っている間に何か変なことは起きなかったか?」



「変なこと、う~ん……強いて言うなら」



「何だ?」



「私、ルカ様が飲み物を買いに行ってすぐにお手洗いに行ったんです。そしてすぐに戻ってきたんですがそのときにちょっと立ちくらみが、その後すぐにルカ様が戻ってきました」



それだ



「あの、どういうことか説明をしてくれませんか?私には何がなんだか……」



「あぁ、私の考えが正しければ………『荒川 悟』はもうこの町にいる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ