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とある美少女のつまらない日常

「本条先輩!付き合ってください!」



私は今つまらない毎日を無限ループしているような状態だ。たった今も下級生から告白されてしまった。大抵の人は何を言ってるんだこのリア充はと思うだろう。だが君たちは誤解をしている、目の前の生徒は……。



「私じゃ…ダメですか?」



女生徒なんだ。いや私にそっちの気は無いのだけれどもこれが私の日常なんだから驚くのも無理は無いだろう。それに私は男子にも告白はされている、実はまんざらでもない男子だっているんだ。けれでも未だに私に彼氏が居ないのには理由がある。



「あなた、親衛隊でもないのにいきなり申し込むだなんて無礼にも程があるわ!」



「そうよ、下級生でルカ様と話すならまずはこの会員ファーストナンバーの私たちを通しなさい」



と言って写真付きのメンバーズカード出す、私を取り囲む複数の女子が下級生の前に仁王立ちとなり遮っている。この子達は私のボディーガードのようなものだ。名づけて『ルカ様親衛隊』。別に私が頼んだわけではない、彼女達が勝手にやっている、と言うのは失礼なのかも知れないが…勝手に出来てしまったのだ。



「親衛隊に入れば、私も本条先輩と話すことが……」



下級生はメンバーズカードをじ~っと見ながら呟いている。そして親衛隊が彼女の反応を窺って訊ねる。



「けど下級生でいきなりルカ様に告白しようと言うその根性は認めてあげるわ。どう?あなたも親衛隊に入る?今なら入ったその場でルカ様と握手が出来るわよ」



「本当ですか!?私、入ります!入れさせてください!」



その言葉を待っていたかのように親衛隊の一人がボールペンと一枚の紙を取り出す。



「それじゃあここに、あなたの学年とクラス、名前を書いてね」



「分かりました!」



と言って下級生はボールペンと紙を受け取ると廊下の壁を下敷き代わりに黙々と書いて親衛隊に渡す。



「はい、これであなたも『ルカ様親衛隊』の一員よ、ルカ様、よろしいですか?」



そう言って親衛隊は遮っていた道を開け下級生を私の前に出した。下級生はよろしくお願いします。と手を差し出した。



「頑張ってね、期待してるわ」



私はその手を優しく握ってあげた。下級生は一礼し自分のクラスに戻るとクラスメートと騒いでいた。他の女生徒は羨望の眼差しを彼女に浴びせていた。今日もまた一人、かわいそうな下級生を生産してしまったようだ。そう思っていると親衛隊の一人が私に飲み物を持ってきた。私が好きだと言われているレモンティーだ。



「ルカ様!どうぞお飲みください!」



私はそれを受け取ると笑みを作り礼を言った。



「ありがとう、いただくわ」



『きゃー!ルカ様が微笑まれたわ!誰か、写真は撮ったの!?』



『ばっちりです!五箇所のアングルからベストショットが撮れました!』



どこに隠れていたのか、デジカメやケータイの写メ機能を使い隠し撮りをされていたらしい。一体何のスキルだそれは。そんな時数人の男子がこちらをジロジロ見ていた。そんな男子を親衛隊が注意をする。



「こら!男子、ルカ様をそんな目で見るんじゃない!あっち行った!」



と言って男子生徒を追い払う。これが私が彼氏が出来ない理由だ。近寄る男子はことごとく親衛隊が追い払う、入学当初は男女問わず告白された。が、二年になってから親衛隊ができ最近になっては話すことはおろか近づくことすらできない状況なのである。これでは彼氏なんてできっこ無い。しかし彼女達の思いを邪険にすることもできない。私は困っていた。



そんなこんなで紹介が遅れた。私の名前は『本条ほんじょう 瑠華るか』この高校(まぁ校名は想像に任せる)に通う三年生だ。自分で言うのもなんだが容姿端麗で文武両道のいわゆるハイスペックなお嬢様だ。学校ではいつも親衛隊に囲まれている。中には私を一人の女性として見ている者もいるから困ったものだ。何不自由ない学園生活を送っていると思っているだろう、実際はきついもんだ。みんなの期待には常に応えなければならない。勉強をすれば首席、スポーツをすれば空手で全国制覇を成し遂げている。



別に大して頑張る必要もないのだが周囲は常に上にいる私を見ている。全く面倒なものだ、毎日変わり映えもなく日々が過ぎていく、何か刺激のあることが私の周りで起こらないだろうか。そんな事を考えながら今日も親衛隊に囲まれ下校をしている。



そんな私も家では普通の女の子のように振舞っている。



「ただいま~、お母さん!フ○ンタとじゃ○りこって買ってある~?」



うん、普通の女の子だ。



「ちょっとこれ、グレープ味じゃない!私が飲みたいのはオレンジなの!じゃ○りこもチーズじゃなくてサ・ラ・ダ!」



うん……普通の女の子だ。



「まぁいいわ、さっそく部屋で夕寝でもしますか、夕飯には起こしてよね!」



制服を脱ぎ捨てスウェットに着替える。普通の……女の子だ。



「あ~明日も学校ってめんどくさいな~」



普通の…女の子であって欲しい。



「マジだりぃわ~Zzzz」



すいません、家では自堕落な私です、許してください。そんな私は最近眠った時におかしな夢を見る。それも連日続けてだ。



内容はこう、その教室に入ると大きな鏡がある。その鏡に触れると表面が水面のように波紋が広がり私が映っていたはずの鏡から荒れた荒野の風景になる。それは日本じゃないどこか別の国、そして決まって出てくるのが金髪で美人(まぁ私ほどではないが)の女性で鏡の中から私に叫ぶ。



「おねがい!あの人を連れてきて!このままだとファリッサがっ」



そこでいつも目が覚める。一体誰だったんだろうあの人、金髪なのにしっかりと日本語だった。けど、『ファリッサ』なんて国聞いたことないし、何より気になったのが……。



「あの人、傷だらけだった」



叫んでいた女性は傷だらけだった。すごくリアルでこの夢を見るとわたしはいつも涙を流して目が覚める。それにあの教室、どこかで見たことがあるような……。一体どこだろう。しかし考えていると下から母の声で夕飯ができたと言われると、私は考えるのをやめて下に降りていく。そして夕食後に風呂に入りベッドに入って就寝。このときはあの夢は見ない、どうやら一日一回のようだ。そして私の一日が終わる。本当につまらない日常だ。

いかがでしょうか?一応言っておきますがこれはウィザード・テイルズの続編です。前作とは随分と違った書き方ですが皆様にはどう見えるでしょうか?前作をご覧の方なら金髪と聞けばもう誰かわかるでしょう。一体ルカの見た世界はどうなるのでしょうか。

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