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それから何度か戦闘はあったものの、私と瀬川が交互に相手をして軽くあしらった。そしてシュレイナの家が目の前に見えてくる。



「ここまで来たがあまり天界の生き物は大した事は無いものだな。これなら牙獣族や角獣族とも互角か、もしかしたら倒せるかもしれないな」



「そうだね、ルカもリンちゃんも自分で身を守れそうでよかったよ。二人とも今後は期待しているよ」



悟さんが笑顔で私達に期待を寄せる。言われなくてもそうするつもりだ、しかし何より驚いたのが私の隣で未だに挙動不振になっている奴の戦いだった。



「なぁ、リン」



「…っ!ど、どうしたの!?ルカ………さん」



小さな声でぼそっと私の名前にさん付けをしたのは何を隠そう新キャラなどではなく瀬川だ。あの後にいろいろあった。



~時間は少し前に遡る~



「ねぇこの際、瀬川ちゃんも名前で呼びましょうよ。あたしと悟はまだ名前聞いてないし、それにルカだって様付けやめさせたら?」



別に私がつけさせた訳じゃないのに……まぁいいかこれを期にこの位置づけをなくしてついでにタメ口にさせよう。瀬川を見てみる、相変わらずなんともバツの悪そうな顔をしている。



「お前はそれ以外に表情が無いのかー!」



そういって私の方に向かせ両頬を引っぱって遊んでみる。



「ひゃ、ひゃへへふらはひよ、ふかはは~」



手をジタバタさせて頬を引っぱっているので上手く喋れていない。これはこれで面白いな、もう少しだけ……。



「おぅもっと何か喋ってみろ、うりうり~」



「やっぱり、Sだね~」



「そうよね~」



後ろからそんな野次が聞えたのでこの辺で止めておく。



「さて、どうする瀬川。私は別に構わないぞ。私もお前の事はこれからは『リン』と呼ぶことにするからさ」



「はい。わ、分かりました」



「あと、その敬語も出来れば止めてほしいんだが、それはどうにかならないのか?」



「えっと、が、頑張ってみる……と、思います」



その日本語はおかしくないか?まぁいい、とりあえずシュレイナ達に改めて自己紹介でもしようか。



「まぁ今更だけど、私は本条 瑠華。改めてよろしく」



「瀬川 (リン)って言います。よろしくお願いします」



リンは丁寧にお辞儀をする。当のシュレイナ達はというと。



「これからもよろしくね、リンちゃん」



と言って悟さんはまたリンに握手をした。シュレイナはリンに歩み寄ると耳元で何かを呟いていた。



「リンちゃん、あなた………なんでしょ?」



「え、何で分かったんですか!?」



あぁ何だそのことか、まぁ隠すことでもないし、今後にあまり影響もないだろう。



「あと、あたしにもタメ口でいいわよ。その方がそっちも気楽でいいでしょ?」



「えーっと。じゃあそういうことで!これからもよろしくね、シュレイナ!」



素敵な笑顔をリンはシュレイナに向けた。順応早っ。私にもそのくらいの勢いで来てほしいものだ。というか私には高校でタメ口で話す友達なんていなかったな。何かこう…新鮮な気分だ。



「さて、話もまとまったところで、行きましょっか。いつまでもここにいても仕方ないしね」



そして現在に至る。歩いている間も私達はいろんな話をしていた。が、リンの方はどうも落ち着かないようだった。



「まだ私を呼び捨てにするのに抵抗があるのか?リン」



「はい、じゃなくてっ……うん。まだ『ルカ』って呼ぶことにはちょっと………」



「…………」



今のはあえてスルーしておこう。



「まぁいきなりじゃそうなるのも無理は無いか、徐々にでいいから」



リンは分かったと言って前方を歩く悟さんの方へと駆けていった。私はシュレイナ隣を歩く。何の前触れも無くシュレイナは私に話し始めた。



「私の家で昼食を摂ったらこれからの流れを説明するわ。あなた達はあたしが思っている以上に戦えそうだからさ、昼から行動に移すかもしれないから……今のうちに覚悟を決めておいてね」



覚悟?どういう意味だろうか、それなりの覚悟はここに来た時からあると私は思っている。自分が死ぬかもしれない覚悟、味方を失う覚悟、その時にならなければ分からないものだが、ある程度は予測している。そしてそうならないためにも全力で戦うつもりだ。



「私なら……大丈夫だ」



「そう、それならいいけど。まぁ『飯を喰わねばなんとやら』って事で話はその後でね」



何でそんな言葉を知っているんだ、あえて深追いはしないが……そして私達はシュレイナの家もといログハウスに入る、因みに到着してからログハウスを出現させるための詠唱は割愛する。入ってからシュレイナはちょっとの間待っててねと言って奥の部屋へと消えていった。それから二十分ほどして香ばしい匂いとともにやってきたのは厚切りに焼いたベーコンとロールパンとサラダだった。私達の世界の食べ物となんら変わりないな。そこへリンが質問する。



「この世界でも私達の世界と同じ食べ物があるの?」



「まあね、肉や魚はこの世界特有の種類だけど…野菜とかは人間界の物とほとんど変わらないはずよ、詳しくは『ウィザード・テイルズ』の第31部を読んでね」



さり気なく宣伝したよこの人。そんなこんなで昼食を終えてから一息ついているとシュレイナが切り出した。



「まず最初の目的は町の民を救うこと。なんだけど……ここから結構離れたところに私が住んでいた城があるわ。そこへ行くまでの村や町は大半が地獄人の奴らの危機にあるの。そこを救うのが私達の目的」



「けっこう大雑把ね、それに町ってどれくらいあるの?」



「町にも大小あるし、小さな町が集まってるけど一塊の町で見たら五つあるかわ今日はその一つ目の町へ向かう」



五つかぁ……って今日!?

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