表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/20

発見そして危機一髪

『荒川 悟』はもうこの町にいる、私はそう確信していた。瀬川はわかっていないようだが。



「え!?でもルカ様、そんな人は駅では見かけませんでしたよ?もしかして私たちが来る前にもう来てたって事ですか?」



そういう考えも無いことは無いが…あの男の言った言葉、そしてほとんど進んでいなかった時間。いま考えてみればすれ違った男は表情すら窺えなかったものの体格はテレビに出てた本人と同じくらいだったし声も似ていた、というか間違いなく本人だ。もっと早く気付けばよかった。しかし後悔していても仕方が無い、今はあの男を追うまでだ。



「さっきすれ違ったばかり、と言うことはまだこの近くに居るはずだ!瀬川、フードを被った男を手分けして捜そう、見つけたら連絡してくれ」



「は、はい!」



そうして私たちは二手に分かれてフードの男を捜索した。そして私のよみは当たっていた。捜索を始めてから5分くらいが経過したとき瀬川からメールが届いた。



『ルカ様、フードを被った二十代くらいの男の人を近くのコンビニで見つけました。』



でかした瀬川。このコンビニならそう遠くは無い、私はすぐに向かった。そしてコンビにへ到着するや早速コンビニから出る男を見つけた。それから十数秒後に瀬川も出てきて合流した。



「ルカ様、あの男で間違いありませんか?」



「あぁ、私がすれ違った男に間違いない」



そして私たちは10メートルほど感覚を空けて後をつけた。



「ルカ様、先ほどの後で説明すると言うのをそろそろ教えてくれませんか?」



「そうだな、まず初めに信じられないかも知れないが、あの男は『数分だけ時間を止めていた』んだ」



「時間を…止めていた?」



瀬川が復唱する、そうあの男は私がコンビニへ飲み物を買いに行っている間に確かに駅にいた。しかし改札を通るくらいから駅全体の時間を止めて出て行ったんだろう。そして自分が一定のところまで来たら再び時を戻した。



「あの男、私とすれ違う時に『時間を進めるのを忘れていた』と言っていた。おそらく、駅の外の時間はそのまま進んでいるから駅内の止めた分だけ進めなければいけない、しかしそれを忘れていた」



「だから私は、ルカ様があんなにも速く帰ってきたと錯覚したんですね。けど時間を止めるなんて」



瀬川はまだ信じきれていなかった、もちろん私だってそうだ。しかしあの世界を見てしまった私には信じざるをえなかった。そして時間を止めた理由は大方見当はつく。取材から逃れるためだ、大抵の人はなれてくると面倒になるだろう。それに今日は地元の友達に会いに行くと言っていた、その友達にも迷惑がかからないようにこっそり出てきたんだろう。それが私の考えだった。まぁそれも本人聞けば分かるだろう。



「ルカ様、あの人あのかどを曲がりましたよ、少し早足で…」



考え事をしていた私はすっかり忘れていた、瀬川が私の手を引っぱって早足になる。



「あ、瀬川、ちょっと待て」



急ぎは禁物だ、まだ見失う距離じゃない、もし急いだ先に彼がいて尾行がばれてしまったら、また時間を止めて逃げられてしまう。そうなったら二度と見つけることができなくなるかもしれない。そして予感は当たらなかったが全く外れてもいなかった。



「「あっ」」



角を曲がるとそこは人気のない路地裏だった、彼を追うことに夢中になっていた私たちは道を全く意識していなかった。そしてそこにはフードを被った男が立っていた。後姿のまま喋りだした。



「一体何なんだい君たちは、ずっと僕の後ろをつけていたよね。何かよう?」



「あなた、『荒川 悟』さんですよね?私たちはあなたを探してしました」



そして男はこちらを向きフードを取った。そこにはテレビで見たのと同じ顔の青年だった。



「僕はね、昨日から何度も変な奴らに命を狙われていたんだ。そいつらは犬や猫に姿を変え、僕の前に立つと化け物となった。そして僕に襲い掛かって来た。僕はそいつらを倒していったけど今度は人間に姿を変えて来るとはね」



私たちは彼の言ってる意味が全く理解できなかった。そして目の前の青年は左手をこちらへ向けた。



「早く本当の姿になってくれないかな、さすがに人間の女の子のままじゃ僕だって攻撃しにくいじゃないか。けどそういう理由で姿を変えないなら僕だってやらなきゃならない」



そう言うと彼の左手からは黄色いバチバチとした球体が現れた。あれって……雷?



「ちょっと待ってください!全く意味が分かりません、私たちはあなたの命なんて狙ってない。私たちは…」



「もう説明しなくてもいいよ、『雷球(スフォール)』」



私たちの弁解を無視して雷の玉を放ってきた。



「きゃあっ!ルカ様、逃げましょう!」



そして後ろを向くとそこには……。



「グウォォ」



「なんですか?この……化け物は」



二本足で立っている獣の化け物がいた。それをみた瀬川が気絶してしまった。もう、なんなのよこれ。




「その場で伏せろ!」



不意にそんな声が聞え私は瀬川の手を引きその場にしゃがみ込んだ、すると……。



「グギャオォォォ!!」



後ろにいた化け物に雷の玉が命中した。これってファリッサにいた、確か『牙獣族』って化け物だ。そしてその化け物は煙となって消滅した。



「ふ~危なかったね、もう大丈夫だよ。立てる?」



私は腰が抜けて立てなかった、それに少し涙目になってる。私は差し伸べられた手を握り引き上げられた。



「さっきは悪かったね、君たちから悪い気配を感じてね、つい敵と思ってしまったんだ。けど気配の元はさっきのやつだったんだ」



私は涙をぬぐい深呼吸してから。



「それにしても君たちは……うっ!」



青年の腹に一発くれてやった。



「何が『悪かったね』だ!危うく私たちが死ぬところだったじゃないか!」



「痛たたたた~。だから謝ってるじゃないか、いきなり正拳突きだなんて乱暴だなぁ」



この人、大の大人もうずくまるほどの私の拳でも、多少痛がっただけで立ち直るなんて。



「けど本当に君たちは何者なんだ?」



「私は……シュレイナに頼まれてあなたをファリッサに連れて行くためにあなたを探していました。『荒川 悟』さん」



その言葉を口にした瞬間に荒川 悟の表情は一変した。



「……シュレイナ?本当に、シュレイナが僕を。詳しく聞かせてくれ」



「はい、そのつもりです」

悟の登場です。ようやく魔法らしいものが出てくるようになりました。あれから8年経った悟はどうなっているのでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ