結菜!~後編~
今、義理の妹である結菜と2人で散歩をしている。
まぁ、なんだ、周りから見れば・・・いわゆるデート的な感じのやつだ。
だが、俺はそんな気持ちではない!だんじて違う!シスコン風情になり下がってたまるかぁ! ただ妹の散歩に付き添う兄貴みたいな感じで来ているわけであって、決して下心があるわけではない! 勘違いはしないでくれ・・・。
「・・・とりあえず、なんで俺を呼びだしたんだ。」
暇だったから(さなかや茜から逃げ出したかったのもあるが)付き添ってやったが、意図が読めん。
結菜のことだし、デートとかそんなことは考えないだろうしなぁ・・・。
「・・・兄さんと2人になりたかっただけ。」
自分の発言にちゃんと責任感じてるのか・・・?
ったく・・・わけがわからん!
「ずっと歩いててもなんだし、そこの公園のベンチにでも座るか。」
結菜はコクリとうなずき、公園の中へと入っていく。
・・・こんな日も、たまにはいいもんかなぁ・・・。
7月の中頃だと言うのに、なんでこんなに涼しいんだかね。
いや、体感温度的には27度ほどで、決して低くはない数値なのだが、いまの時期では涼しいほうだろう。
ベンチに向かいながら、俺なりにいろいろと考えていた。
先にベンチに座っていた結菜は、早く来てと言わんばかりにこちらを見つめてきていた。
無邪気などという言葉の微塵も感じられないやつだな。
小走りでベンチに向かい、そして座る。
「・・・・。」
「・・・・。」
お互いに沈黙が続く。
何か話題は・・・と言っても、そっけない回答をされて終わりだもんなぁ・・・。
話題以外になにも思い浮かばない俺って・・・。
しかし、以外にも沈黙を破ったのは、結菜だった。
「ねぇ、兄さん。」
珍しいな・・・結菜から話しかけるなんて・・・。
「なんだ? お前から話しかけるなんて珍しいな。」
いっつもは俺から話さないとダメだったからなぁ・・・。
積極性は成長したものの、胸は全くだからねぇ・・・。
おっと、いまはそんなことを考えてるときじゃなかった。
「兄さんは・・・好きな人とかって・・・いるの?」
いきなりどうしたんだ?
俺に好きな人はいないが・・・。
表情でいないということがわかったらしく、結菜は続けていく。
「兄さん・・・。」
結菜は頬を赤らめていた。
あーもう!回りくどいな!言いたいこととかがあるんなら早くしてくれ!
だが、この感情を表に出したら負けだ。今は我慢だ!
「兄さん、いきなりだけど、いい?」
この展開は、まさか、あれか?
よくある展開の・・・ああいう・・・ものなのか?
少し期待をしてしまっている俺がいる。
だけど、少し不安を抱えている俺もいる。
「私、兄さんのことが、好きなの・・・。こういう近親での恋愛はダメってわかってるの・・・でも・・・。」
やっぱりかよぉ・・・。
展開が速すぎないか?こういうのって、対応に困るんだがなぁ・・・。
・・・答えは、すでに決まっている。
俺の答えは・・・
「悪い、結菜・・・無理だ。」
近親という要素を抜いても無理だ。
そりゃぁ、結菜はかわいいし、頭もいい、少し物静かなところも、またいい。
だけど、ダメなんだ。
俺には好きな人がいない。
それで付き合うって言うのは、結菜を侮辱するのと一緒だ。
だからおれは断る。
「・・・だけど、結菜、なんで俺なんかに?」
今にも涙を流しそうな結菜だが、真意は確かめておきたい。
なぜ俺なのか。
もっといいやつはいるんじゃないだろうか?
結菜は涙をこらえ、俺の方へ向き直り、質問に答える。
「兄さんは、人と関わるのを苦手とする私を、いつも励ましてくれた。今も人と話すのは苦手だけど、兄さんのおかげで、だいぶ良くなった。すごくうれしかったの・・・そして、いつの間にか、好きになっちゃってた・・・。」
全てを言いきった結菜は、とうとう涙をこらえきれず、泣いてしまった。
何も言ってやれない。
俺に出来ることは・・・
「・・・結菜。」
そっと、結菜を抱き寄せて、頭をなでる。
俺に出来ることは、これくらいしかない・・・。
結菜が泣きやむまで俺はずっと、頭をなでていた。
そのあとは、結菜も俺も、お互い今のままでいると言うことでさよならになった。
あそこまで泣くとはなぁ・・・。
少し罪悪感が来るが、これが正しい選択だったんだ。
これしか、なかった・・・。




