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【第一章完結】霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~  作者: 犬型大
第二章

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90夜明けの戦い2

「全部終わってから考えるか」


 そういえばこの世界で悪霊がどうなるのか考えたことないな。

 前の世界では恨みが積もり積もって悪霊になると周りに悪影響を及ぼしていた。


 俺には霊視能力はあっても除霊能力はなかった。

 悪霊がいたところで避けるしかなかったのだ。


 ただこの世界で悪霊に遭ったことはない。


「……不思議なもんだよな」


 こうして転生する前の世界では意外と悪霊もいた。

 死者を弔い、除霊なんかもあるような世界だったのに、それでも悪霊は警戒すべき相手だった。


 霊という概念はあれど意識されることはあまりなく、除霊もないような世界なのに、悪霊がいない。


「…………悪魔のおかげ、いや、悪魔のせいか?」


 俺たちは死体を死体だと確認しながら進んでいく。

 もしかしたら、悪霊がいないのは悪魔のせいなのかもしれない。


 悪魔は霊魂を捕らえて自らの力にしてしまう。

 恨みを抱いて幽霊になり、時間が経って悪霊になりかけたものは悪魔に捕まってしまう可能性がある。


「あれかな、腐りかけが美味いとかそんな感じかな?」


 悪霊にまでなると霊でも強いエネルギーを持つ。

 そんなエネルギーを悪魔は好むのかも、とかうっすら考えた。


「いたぞ」


 どうやらどの死体も本当に死体のようだった。

 森の中には小さな池があった。


 大きな水たまりぐらいのものだが、その横に腕ゴリラ魔物がいる。

 傷から垂れた血で背中が黒く染まっているが、もう傷は塞がりかけているようだった。


「食べて治す。元気な子供みたいなことをするな」


「あれでバナナでも食べてりゃ少しは感心してやるんですけどね」


「バナナ? 聞いたことないもんだな」


「あったかいところに生えるフルーツですよ」


「果物食うならこんなに死体ぶら下げはしないだろう」


 息の荒い腕ゴリラ魔物は人間を食っていた。

 骨ごといってるようで、バリバリと耳障りな音が聞こえてくる。


「イースラ、三人分、いけるな?」


「へいへい。行きますよ」


 ここで腕ゴリラ魔物は絶対に仕留める。

 普段ならゲルディットは自分で頑張ってくれぐらい返すが、俺も大人しく神聖力を二人に送る。


「一斉に攻撃だ。できれば不意打ちでそのまま終わらせるぞ」


 ゲルディットとパシェは俺から受けた神聖力と自身の魔力を混ぜて銀のオーラに変える。

 二人は俺から離れて移動する。


 三人同時に同じところからではなく、それぞれ別方向から攻撃を加える作戦だった。

 見つからないように移動したゲルディットとパシェが場所につき、ゲルディットは近くにあった石を拾う。


「今だ!」


 石を軽く投げ飛ばす。

 飛んでいった石は池に落ちて、小さくチャポンと音を立てる。


 その瞬間、俺たちは飛び出した。

 俺も自分の神聖力と魔力を混ぜ合わせて銀のオーラにしてまとい、腕ゴリラ魔物の後ろから迫っていく。


「よう、久しぶりだな。再会嬉しいぜ」


 腕ゴリラ魔物は突然の水音に顔を上げ、すぐに敵だと察したのか後ろを振り向いた。

 目も治りかけている。


 ただ見えるほどには治っていない。

 残った目が俺の目とあって、一瞬で怒りに染まった。


「お前は……悪魔になんてなれないんだよ!」


 俺は腕ゴリラ悪魔の頭を狙って剣を振り下ろす。

 同時にゲルディットとパシェも攻撃を仕掛ける。


 腕ゴリラ魔物の目がパシェの方を向く。

 振り返る時にパシェの姿も見えたらしく、同時攻撃を受けそうになってることには気付いたらしい。


「チッ……!」


 ゲルディットに気づいていたのかは知らないが、全方位からの攻撃を防げるように頭に腕を巻き付けるようにしてガードした。

 頭だけは守る、とでも考えたのだろうか。


 俺たちは三人の攻撃はそれぞれガードする腕を斬りつける。

 何重にも折り重なった腕は、肉と骨が連続している。


 ゴリラレベルで太くなるほどに何本も腕が重なっていると一太刀では切断しきれない。


「うげっ……そんなのもあるのか」


 それでも不意の一撃で何本かの腕が斬り落とされて、腕ゴリラ魔物の腕が少し細くなる。

 銀のオーラに当てられて傷口が焼け、煙が上がる。


 苦痛を感じているのか、甲高い耳障りな声を上げた腕ゴリラ魔物の腕がバラっと解ける。

 まるで千手観音のようになった腕ゴリラ魔物は、かなり嫌悪感の高い見た目をしていた。


「俺か」


 正面にいるからだろうか、腕ゴリラ魔物は真っ直ぐ俺に襲いかかってきた。

 バラバラになって十何本にもなった腕が同時に迫ってくる。


「面倒だけど……!」


 俺は下がりながら迫ってくる腕を斬り飛ばす。

 数が多くなって厄介にはなった。


 しかし一本の腕になっていた時よりも簡単に斬れるし、そこは楽になった。

 むしろ少し楽かもしれない。


「あっ、撤回! 早く助けて!」


 斬られようとも目まぐるしく腕が襲ってくる。

 あっという間に反撃の余裕がなくなって、俺は回避するしかなくなった。


 見た目上細い腕だって魔物にくっつけられたらアホみたいな力を発揮する。

 掴まれるだけでも危険だ。


 何本が腕を斬ったが、それほど大きなダメージになっているように見えなかった。


「もうちょっとそのまま耐えていろ」


「今助けるよ」


 ゲルディットは横から腕ゴリラ魔物の首を狙って剣を横に振る。

 対してパシェは俺が少しでも楽になるようにと腕を斬りつける。

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