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【第一章完結】霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~  作者: 犬型大
第二章

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86異常個体2

「この町の先に行きたいんだが、道が封鎖されていると聞いた。どういう状況なのか教えてほしい」


 魔物や悪魔が関わっているのだとしたら、教会も事態は把握しているはずだ。


「ああ、そのことでしたか」


「魔物がいる……そんな話もあるが」


「そうです。少し前から往来で行方不明になる人が出始め、とうとうあの道を通る人は誰も来ることも、戻ることもなくなってしまいました」


「こちらで何か動きは?」


「流石に不穏な噂も流れているので、近くの大きな教会に連絡を取って聖騎士の派遣を要請しました。つい先日お二方、聖騎士が来まして、調査に向かったのですが……」


 老年の聖職者はやや苦い顔をする。

 その顔を見れば何が起きてるのかをなんとなく察することができる。


「帰ってこない……ということか」


「その通りです。この教会ではどうすることもできません。なので状況とさらなる支援を伝える手紙を送ったところです」


「そうか……話は分かった。ありがとう」


「いいえ、みなさまのお力になることができず、もどかしく思います」


 老年の聖職者は悲しそうな顔をする。

 こうした時に普通の聖職者では何もできることはない。


 ただ連絡をして、誰かが動いてくれるのを待つしかないのだ。


「俺たちが異変の調査に向かいます」


「ですが……」


「大丈夫です。何かあったらゲルディットが向かったと伝えてください」


 どうやらゲルディットは魔物がいるかどうか調べにいくらしい。

 めんどくさいと思うのは確かだが、このままほっとくわけにもいかないのは確かである。


 俺はすごい嫌そうな顔をしているが、反対しているというわけでもない。

 ゲルディットが向かったという言伝も意味はある。


 悪魔祓いであるゲルディットが戻ってこなければ、悪魔にしても魔物にしても相応の相手であるということになる。

 そんな意味がメッセージに込められているのだ。


「いくぞ」


「へぃ……」


 まだ日は高い。

 何が待ち受けているのかも知らないけれど、とにかく俺たちは町を出発することになった。


「早速魔物のお出ましか」


「まだ決まったわけではない」


 真っ先に疑われるのが悪魔や魔物であるというだけで、犯人が悪魔や魔物だと確定したわけじゃない。

 世の中世知辛い。


 人間の犯罪者だって山のようにいる。

 盗賊、山賊もいれば、近隣の国同士の関係で敵国の工作による攻撃もある。


 一概に悪魔のせいだとも言い切れないことがあるのだ。


「これで盗賊って方が無理でしょう?」


「……まあ、そうだがな」


 ゲルディットはため息をつく。

 少し失踪者が出るぐらいなら人間の可能性も大いにありうる。


 だが往来する人が全く誰もいなくなったとなれば、流石に人間の可能性は低くなる。

 山賊だろうと盗賊だろうと金を奪ってなんぼだ。


 人が来なくなって困るのは賊も同じ。

 基本的には人なんか殺さないで通行料を取るぐらいが普通だろう。


「悪魔か、魔物か」


「あるいはその両方かだな」


 どっちだろうと脅威に変わりはないが、魔物なら悪魔よりちょっと楽。

 両方いたらめんどくさい。


「パシェはどう思う?」


「……分からない」


「まぁ……そうだよな」


 パシェに話を振ってみるけど、短く返ってくる。

 悪魔と魔物どっちだと思う? なんて聞かれても俺も分からないと答えるしかない。


 あまりに相手の情報がないのだ。


「分からないということから分かることもある」


「相手が強そう……とか?」


「その通りだ」


 情報がないということの裏を返してみれば予想できることもある。

 誰も相手に遭遇して帰ってきていない。


 ということは鈍くてパワーのあるタイプの魔物じゃなさそう。

 複数人いた場合もあるだろうに、逃げられた人がいないのなら相手は複数いるか、かなり強くて素早い相手なのだろうと予想ができる。


 あくまでも予想には過ぎないが、奇襲の可能性も高そうだと俺はほんの少し気を引き締める。


「少なくとも聖騎士二人よりも強いというでしょうしね」


 嫌になって逃げ出したのでもない限り、聖騎士が戻ってこないのはやられたからだ。

 調査に向かった聖騎士の実力は知らないが、素人ではない。


「木が増えてきましたね」


 山に近づき、道の傍にある木々が増えてきた。


「……早めに野営しないと危険だな」


 ゲルディットは山を見る。

 このまま時間が進んでいくと、日が山に隠れる形になる。


 暗くなるのが普通よりも早いということだ。

 悪魔や魔物がいるのに暗くなってから活動することは危険極まりない行為だ。


「少し道を逸れて枯れ木を集めながら進むぞ」


 夜を乗り越えるためには明かりとなる焚き火が重要になってくる。

 俺たちは道が見えるぐらいには浅く森の中に入って、落ちている乾いた木を拾っていく。


「そろそろ止まるぞ」


 ゲルディットが日の位置を確認する。

 もっと行けるだろう。


 そんな風に思ってギリギリまで行動するのは素人のやることだと、前にゲルディットに教えられた。

 焚き火を用意して、日が暮れた頃には休んで体力の余裕を作っておく。


 悪魔の時間となる夜には万全すぎるぐらいに備えろと言われていた。


「道の真ん中に設置するぞ」


 本来なら道の端の邪魔にならないところに焚き火を置く。

 しかし、今は道のど真ん中に焚き火を設置していく。


 森に近いと急に襲われる可能性が高くなる。

 旅のマナー違反ではあるが、身の安全のためにはマナーにも多少折れてもらう必要がある。


 粛々と判断を下していくゲルディットは、流石歴戦の悪魔祓いといった感じだと感心してしまう。

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