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【第一章完結】霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~  作者: 犬型大
第二章

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64ライバル?2

「五周プラスは回避だな」


 こうなってくると最下位の結果はだいぶ見えてきた。

 苦しそうな顔をして、俺よりも周回遅れになっている人もいる。


 ここからさらに手を抜いたところで最下位になることはない。

 どうせテストされたり評価されるものじゃないので、もうちょっと手を抜いてもいいかもしれない。


 この場合は足を抜くといったほうがいいかもしれない。


「随分と余裕そうですね。…………無視、ですか?」


 少しぐらい苦しそうな顔をしたほうがいいかなと考えていると、クレンシアが俺の隣にやってきた。

 俺と同じく一定の速度を保ち、少し前を走っていた。


 俺が反応をしなくて、クレンシアは少しつまらなそうな顔をする。

 事情を知る俺からするとクレンシアは複雑な存在だ。


「もしかしてアレ……せいですか? 娘だから」


 クレンシアは周りの目を気にして、やや声のトーンを落とす。

 俺はクレンシアは教皇の娘だと知っている。


 基本的に面倒なことは避けたいので、それだけでもクレンシアを避ける理由にはなる。

 だがそれだけじゃない。


 神聖力が強くて聖女候補にもなり悪魔に狙われるほどであるとか、教皇が悪魔の可能性が高いこともまたクレンシアを複雑にしていた。

 クレンシアが何かしたということでもないし、どうしようもない問題である。


 だけどめんどくせえなと思ってしまう以上は、できる限り接触を避けようとは思っていた。


「俺は面倒を避けたくてな」


「あら、失礼なこと言いますね? 私はあなたの命の恩人ですよ?」


 クレンシアは少し眉を寄せる。

 悪魔と戦い、大怪我をして死にかけていたエリシオを治療したのはクレンシアだった。


 確かにギリギリの状態だったし、命を助けられたといえるかもしれない。


「同じ言葉を返すよ」


 普通なら大きな恩があると考えてもおかしくない。

 だけど俺はあまり恩を感じていなかった。


 なぜなら俺もクレンシアの命の恩人だからだ。

 誰が命を賭して悪魔と戦ったと思っているのだ。


 俺が悪魔の存在に気づき、戦っていなきゃゲルディットやアーゲインが到着する前にクレンシアは死んでいただろう。

 俺はクレンシアがいなくても助かった可能性がある一方で、クレンシアは俺がいなきゃほぼ死んでいた。


 どちらの貸し借りが大きかなどと評価するつもりはないので、互いに助けて貸し借りなしというのが俺の中での評価となる。


「うー……どうしてそんなに冷たいんですか? 同じ聖騎士でしょう?」


「仲良くなりたいなら事情知らない奴のところに行け。それにお友達もいっぱい引き連れてたろ?」


 これから先に教皇と戦うこともあるかもしれない。

 あるいはクレンシアという存在のトラブルに巻き込まれるかもしれない。


 人生トラブルありきなものだが、明らかにトラブルの種になりそうなものは避けておきたい。


「他の方はほとんど別の部署ですから」


 クレンシアは軽くため息をつく。

 だいぶ汗はかいているものの、あまりは乱れていない。


 それに会話する余裕もある。

 華奢なお嬢様に見えていたが、思っていたよりも体作りはしているようだ。


「私としてはぜひともエリシオさんとお友達に……」


「うっ!?」


「あっ、悪いな」


 突然、俺とクレンシアの間に割り込むようにして男が入ってくる。

 わざとらしく肩を俺にぶつけ、わざとらしく謝る。


 敵対心の込められたような目に、俺は少しイラッとしてしまう。

 なんだ、こいつ。


「ギュドスさん?」


 割と体格のいいエリシオよりも背の高いガッチリした男は、どうやらクレンシアの知り合いらしい。


「クレンシアさ……ん。こんなやつと友達になることなんてありません」


「はぁ?」


「ギュドスさん、そんなの失礼ですよ!」


 おっと。

 何かの間違いで割り込んできたのかも、と多少前向きに考えてやっていたのに、わざとのようだ。


 知らない野郎にいきなりこんなやつと呼ばれるいわれはない。


「こいつのあだ名知ってますか? 奇公子ですよ。奇妙な態度、奇妙な行動、幼稚な精神だからそんなふうに呼ばれるんです」


 奇妙な態度と奇妙な行動は認めよう。

 最後の幼稚な精神なんかは、明らかに俺のことを馬鹿にしている。


 というかなんで奇公子のこと知ってるんだ?


「クレンシアさま……さんの品格が下がります」


「……これなんだよ?」


 俺も流石に不快感を覚える。

 付き合うだけで品格が下がるだなんて言われて無視もできない。


「すいません……この人はギュドスさんといって、昔からの知り合いなんです」


 誤魔化そうとしていたが、様と言っていた。

 クレンシアがどんな立場なのかイマイチ分かっていないが、ギュドスとの関係もなんだかただの友達ではなさそう。


 しかし俺のことをそんなに敵対視する理由は分からない。

 姫様を守る騎士のようだとは思う。


「ふぅ……」


 なんだか速度を落としてこいつの後ろにいるのもしゃくに触る。

 クレンシアは申し訳なさそうな顔をしているが、俺は別に細かく話を聞くつもりもない。


 少し速度を上げて、二人の前に出る。

 するとギュドスも速度を上げて俺に並ぶ。


「なんだよ?」


「お前がまたクレンシアさんに話しかけないとは限らないからな」


「話しかけねーよ。さっさと鼻の下伸ばしてクレンシアと話してこいよ」


「なんだと?」


 もう俺にはギュドスに優しくしてやろうなんて気持ちは微塵も残っていない。

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