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【第一章完結】霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~  作者: 犬型大
第一章

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55悪魔現る4

「うっ……」


 多分骨が折れてる。

 でも腹部全体が痛くて、体の中が混ぜ返されてしまったかのようで何も分からない。


 ただただ激痛が頭の芯を殴りつけている。


「ゲホッ……!」


 何かが喉を逆流してきた。

 たまらず吐き出したそれはおびただしい血だった。


 頭のどこかで警鐘が鳴り響く。

 体を動かせ。


 悪魔が目の前にいる。


「人間は脆い……かくも容易く壊れてしまう」


「ぐっ……」


 悪魔が巨大な右腕で俺の体を鷲掴みにする。

 悪魔は軽く掴んでいるつもりなのかもしれないが、俺の体がミシミシと悲鳴を上げる。


 すでにダメージを受けた内臓が外からの圧力を受けて、さらにひどい激痛を走らせる。


「ふふふ、精神力だけは一人前ですね。これだけされて叫びもしないのは……壊し甲斐がある」


「こんなの……虫が止まったようなもんだ……」


 口を開くたびに血が端から流れ落ちる。

 それでも俺は諦めない。


「どうしてやりましょうか? このまま握りつぶす? 頭を捩じ切ってしまおうか? 前に壊して差し上げた悪魔祓いのように四肢をズタズタにしてやろうか?」


「ダモンさんをやったのは……お前か」


「ダモン? ああ、アレの名前ですか? いちいち壊したものの名前など知らない」


「この……」


 痛い。

 体が痛いけれど、怒りがそんな痛みをわずかに和らげてくれる。


「頭を捩じ切ってやりましょう。他の人たちも同じようにして並べてやりましょう。そうすれば悪魔祓いが戻ってきた時にどんな顔をするか」


 悪魔は笑う。

 その顔を見ているだけでヘドが出る。


 悪魔がパッと手を広げて、俺は地面に落ちる。

 ダメージが大きすぎて体を支えることもできない。


「グリグリグリ」


 悪魔は俺のことを弄ぶ。

 頭をつまんで左右に捻じる。


 いつでもそのまま回転させて捻じ切れるのだと俺に恐怖でも味わせたいのだろう。


「……ずっとその目はつまらないですね」


 だが俺は別に恐怖など感じていない。

 目に燃えるは怒りと復讐の炎。


 悪魔は何をしても俺が怖がらないことに飽きてきたようだ。


「……今だ!」


「なっ!」


 俺の声に反応して悪魔が後ろを振り向く。

 しかし、そこには誰もいない。


「……バーカ」


「この……」


 悪あがき。

 少しでも時間をと思った俺の最後の時間稼ぎだった。


「……私をコケをしてくれて愉快でしたよ」


 明らかに怒った顔をしているが、騙されていいようにされたということは認めたくないようだ。


「さっさと終わらせて……例の聖女を殺すとしましょうか」


「くそ……」


 体が動かない。

 気力もあるし、オーラもまだ体にまとわれているのに指先すら動かないのだ。


「ほら、お死になさい」


「それは困るな。こいつの首に頭乗ってないと、いつもの軽口も聞けなくなるじゃないか」


 グッと悪魔の手に力が入って首が回されそうになった。

 顔が横になり、その瞬間見えたのは、ゲルディットの怒りの顔だった。


「がああああっ!」


 黒いオーラをまとったゲルディットの剣が振り下ろされ、俺の頭を掴んでいた悪魔の右腕が切断された。

 叫ぶ悪魔。


 少し遅れてパシェも訓練場に入ってきた。


「エリシオ、大丈夫……」


 ゲルディットの黒いオーラに白いオーラが混ざる。

 そして銀色に変わっていく。


「何とか……耐えましたよ……」


 俺はゲルディットに神聖力を送り込む。

 体は動かなくともまだ力は残っている。


「あいつを……頼みます。パシェ、お前も」


「そんなことより……」


「いい。どうせ神聖力に自分に使えないんだ」


 俺の横で膝をついたパシェにも神聖力を与える。

 どう見ても瀕死の俺が力を使うことにパシェはためらいを見せたが、どうせ止められるものでもない。


「……お前ってやつは」


 ゲルディットは俺の目を見て呆れたように首を振る。


「あいつを倒すまで死ぬなよ?」


「まだ……死ねませんよ」


「あれを倒せばいい?」


「倒してくれ。あの、クソ野郎を!」


 パシェが魔力を身にまとう。

 俺の神聖力とパシェの魔力が混ざっていく。


「やはり聖? そのガキは何者だ?」


「こいつか? 俺の大事な弟子だよ!」


「ふっ!」


 ゲルディットが悪魔に迫り、悪魔は再び腕を生やす。

 銀のオーラをまとった一撃が、悪魔の右腕を縦に斬り裂く。


「パシェ!」


「はああああっ!」


 重たい鎧を着ているとは思えないほどの速度でパシェが悪魔に斬りかかる。

 高く上げた剣を一気に振り下ろす。


 悪魔は縦に斬られた腕を上げて防御しようとしたけれど、パシェの全力の剣は悪魔の腕を切断し、そしてそのまま肩に刃がめり込む。


「はっ!」


 パシェが剣を伝わせ、銀のオーラを悪魔に送り込む。

 ひどい臭いがして、悪魔の肩口から黒い煙が上がる。


「くだらない策を弄してくれたな」


 悪魔の顔が苦痛に歪み、ゲルディットは怒りの表情で悪魔に迫る。


「悪魔を浄化する。神の元に旅立つといい」


「やめ……」


 ゲルディットが悪魔の首を刎ね飛ばす。

 頭だけ見れば、ただの老紳士にも見える。


 宙を舞い、勢いを失って地面に落ちて転がる。


「ざまぁみやがれ……」


 首を斬られたのはお前の方だったな。

 驚きに見開かれたような悪魔の黒い目と俺の目があった。


 ギリギリだったが、どうにか俺の方が生き残った。

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