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【第一章完結】霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~  作者: 犬型大
第一章

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54悪魔現る3

「ああ……あなたには十分な力がある。悪いのは周りだ。落ち込むことはない……認めさせたくはないか?」


「そうだな……確かに、俺は連れて行ってもらえなかった。だから……認めさせたいと思うよ」


「そうだな。認めさせてやればいい」


「どうしたら……いい?」


 視界の端でわずかに見える老紳士の顔は笑みに歪んでいた。


「力を見せつけてやればいい」


「力を……」


「たとえば……ここには多くの見習いがいると聞いた」


「ああ、いる……」


「見習いを皆殺しにしてみればいい。見習いたちなんかよりも、はるかに腕が立つと証明すればいいんだ」


「腕が立つと……証明する……」


 静かな教会。

 騒ぎに対応するのに必死で誰も助けは来ない。


 今ここにいるのは俺とウルモンと老紳士。


「そうだな……若い女がいいと思うぞ? その剣で首を切り落とせばいい。簡単だろう?」


「俺は……証明する……」


「ふふ……そう、ただの証明……」


「悪魔の首をぶら下げて、な!」


 俺の体から銀のオーラが溢れ出す。

 銀のオーラをまとわせた剣を振り上げ、老紳士の腕を斬り飛ばした。


「耳元でゴソゴソうるせえんだよ! 力の証明だ? してやるよ! ただ……お前らの死体積み重ねてな!」


 くだらないと俺は思った。

 舌戦、甘言、妄言、心の隙をついて人を揺さぶる。


 悪魔の口から飛び出す言葉は最初から信用などしていない。

 剣を振る前から悪魔との戦いは始まっている。


 確かに、置いていかれたことは少しショックだった。

 けれども信頼していると言われた。


 ただゲルディットの一言は、どんなに飾り立てた悪魔の甘い言葉よりも重い。

 仮にそんな言葉なくとも、俺の復讐の炎が揺らぐことなんてない。


「見習いの若い女……それがお前たちの狙いだな」


 俺を操って何かをさせようとしていた。

 だからちょっとばかり遊びに乗ってやった。


 老紳士の狙いは見習いで、若い女。

 クレンシアのことなのは多分間違いない。


 名前は知らないのかもしれない。


「悪魔が、騙されたな」


 俺はバカにしたように笑う。

 老紳士の右腕は肩口から斬り飛ばされて、銀のオーラによってブスブスと焼けている。


 証明はこれからしていけばいい。

 まずは目の前の悪魔からだ。


「この……小童が……」


 老紳士の目が黒く染まる。

 先ほどまでの余裕の笑みが消えて、怒りの表情を浮かべる。


 もう悪魔としての本性を隠すつもりがないようだ。


「おっと……」


 片腕斬り飛ばしてやったのだからちょっとは楽になるだろうと思ったら甘かった。

 肉を地面にでも投げつけたかのような不愉快な音を立てながら、悪魔の右腕が生えてくる。


「ひ、ひぃ……」


 人間一人ぐらいなら容易く握り潰してしまえそうなデカい腕に、ウルモンが怯えた顔をする。

 足腰が立たないのか情けない顔をしてズリズリと後ろに下がる。


「……ああ、ゲルディットさん、早く会いたいです」


 証明してみせると言ったが、いきなり証明失敗しそう。


「死ね!」


 悪魔がぶっとい腕を突き出して攻撃してくる。


「くっ!」


 横に跳んでかわす。

 石の壁が破壊されて、外の光が入り込んでくる。


「あぶっ……!」


 悪魔がそのまま腕を横に振り、俺は後ろに引いた。

 単純な動作なのに壁の両側が簡単に壊されてしまう。


 パワーも厄介だけど、場所も厄介。

 教会の廊下は別に広くない。


 力のある悪魔なら何の関係もなく暴れられるかもしれないけれど、俺が戦うにはちょっと狭い。


「あそこは……」


「今で逃げ切れるかな!」


「……こっち来いよ!」


 悪魔が俺を掴もうと手を伸ばてきた。

 俺は体を屈めて悪魔の手をかわすと、壊れた壁から外に飛び出した。


 今いるのは二階。

 少し高いが、魔力で強化した足は着地の衝撃に上手く耐えてくれた。


「おい、逃げるのか?」


 振り返ると悪魔が俺を睨みつけていた。


「逃げているのはお前の方だろう!」


 軽く挑発すると、悪魔は顔に黒い筋を立てて降りてきた。

 軽く着地した俺と違って、悪魔はデカい腕の分質量があるのか地面が軽くへこむ。


「ここなら広いな」


 偶然廊下の外には、聖騎士たちが日頃使っている訓練場があった。

 十分な広さがあり、戦うにはこれ以上の場所もない。


「さて……証明を始めようか。俺の力と……お前ら悪魔がクズだってことのな!」


 俺は悪魔に斬りかかる。

 右腕を切りつけると黒い血が飛び、銀のオーラが悪魔の体を焼く。


「……お前はどうやって退魔のオーラを維持している?」


 老紳士は顔をしかめる。

 素早く眼球を動かして周りの様子を確認する。


「聖がいない……隠れているのか?」


「悪魔じゃあるまいし、コソコソ隠れたりなんかしないよ」


「いちいち鼻につく言い方をするものだな!」


 悪魔の右腕を剣で防ぐが、力が強くて俺は大きく後ろに弾き返されてしまう。


「チッ……浅いな」


 振り下ろされた悪魔の手のひらを回避して腕を斬りつける。

 銀のオーラに腕を焼いて悪魔の再生を妨げるが、さほど大きなダメージでもなさそう。


「ふっ……剣術はそこそこだが、経験がまだ浅いな! オーラの力強さも物足りない!」


「ぐはっ!」


 俺を掴もうとした手を後ろに下がってかわした。

 しかしそのまま悪魔は手を突き出し、拳が俺の腹に直撃した。


 内臓が飛び出していってしまいそうな衝撃。

 踏ん張ることなんかできずに俺は吹き飛んで、聖騎士が訓練に使っている木の人形を巻き込んで壁に叩きつけられた。

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