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【第一章完結】霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~  作者: 犬型大
第一章

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51男の覚悟2

「ノートムが俺に話したいことがある……とさ。俺を呼ぶということは……何かあるんだろうな」


「へぇ、何でしょうね」


「あの……僕は?」


「教会の中でも一人にはできないからな」


 クーデンドを引っ張り出して夜にちょっとした作業をしていたら、ゲルディットに呼ばれた。

 俺とパシェは今ペアで動き、ゲルディットは俺たちを引き連れたり一人で動いたりしている。


 クーデンドを一人で部屋に戻してもいいのだけど、万が一の可能性を考えて一緒に行動しておく。


「それにしてもすっかり悪魔祓いの一員って感じだねー」


「そうだな。ゲルディットさんに連れ回される間に、いつの間にかな」


 聖職者の中には、俺が見習いではなく悪魔祓いだと思っている人もいるだろう。

 俺としても、もはや見習いの域は確実に越えて活動している自覚はあった。


「なんだ? 嫌だったら部屋で大人しくしててもいいぞ」


「嫌だなんて言ってませんよ」


 時々人使いが荒いとは思うが、部屋の中でジッとしているよりはいい。

 教会でのお勤めや授業なら永遠に休んでいたいところだけど、こうして活動するのは意外と嫌いでもない。


「後で甘いもんでも買ってやるよ」


「子供じゃないんですよ? ありがたく貰いますけど」


「ふん、俺からすればいつまでもガキみたいなもんだ」


「俺はいつまでも可愛いですけど、ゲルディットさんはだいぶおじいちゃんみたいになりましたね」


「るせえ、ぶっ飛ばすぞ」


「……不思議な関係性の会話だね」


 俺とゲルディットの会話を聞いてクーデンドは苦笑いを浮かべている。

 親子ではない。


 友達とも違うような、不思議な関係性が俺とゲルディットにはあるだろう。


「そうだな……強いていうなら師弟関係みたいなもんかな」


「師匠におじいちゃんになりましたね、なんていうか?」


「弟子にガキみたいなんていうからですよ」


「はは、とりあえず仲はいいんだね」


 ゲルディットは実際かなりの上の身分の人になる。

 俺は軽く話しているが、他の人が同じようにしたら大問題だ。


 クーデンドも内心ヒヤヒヤしていたようだけど、ようやくこういう関係性なのだなと納得したようだった。


「お疲れ様です!」


「ああ、鍵を開けて少し外してくれ」


「分かりました!」


 一応ノートムの部屋の前には聖騎士の見張りもいる。

 ゲルディットはもうすっかり今回の事件に対処する中心人物となっている。


 聖騎士は大人しくゲルディットの指示に従って、部屋の鍵を開ける。


「俺だ、ゲルディットだ」


「あっ……こんな時間にすいません」


 部屋に入るとノートムがベッドに座っていた。

 少し痩せたような雰囲気もある。


 もう日が落ちているので、部屋には明かり代わりの蝋燭に火がつけてある。

 薄暗いものだけど、目が慣れているのでノートムの表情も見える。


「いいさ。それよりなんだ? 話したいことって」


 ゲルディットは腕を組んで、ドア横の壁に背をもたれる。

 俺とパシェはドア前で並んで立つ。


 パシェと並ぶとちょっと背が低くなった気がするから不思議だ。


「助けを呼びにいくの失敗したんですよね?」


「ああ、そうだ」


「……やはり悪魔の仕業なんですね?」


「おそらくそうだろうな」


「……危険な、状況なんですか?」


 ノートムがゲルディットを見る。

 その目には哀しみではなく、悪魔に対する怒りの炎が燃えているようだった。


 強い精神力。

 こんなところに閉じ込められていても、己の心を燃やすことができるのが悪魔祓いなのだと感心してしまう。


「教会の中にある、あるモノを狙っているようだ」


「どうせ教会の上の連中は悪魔に怯えて消極的な策を取ってるんでしょうね」


「しょうがない……悪魔祓いはもう二組しかいない。悪魔が一等星の弱いやつならともかく……三等星以上なら厳しい戦いになる」


「ゲルディットさん……あんたまで弱気になってるんですか?」


 ノートムは眉間にシワを寄せる。

 一等星や三等星というのは悪魔を強さや能力による等級で分けたものだとゲルディットから聞いたことがある。


 一等星が一番弱く、六等星が一番強い。

 ソコリアンダの時の悪魔はせいぜい一等星だろう。


「目の前に悪魔が現れてくれるなら俺の命に代えたって戦ってやるさ。だが奴らは狡猾だ。無闇に手を伸ばせばどうなるか分からない」


 消極的なやり方はゲルディットも好まない。

 しかし今はそうせざるを得ない現状があるのだ。


 俺もできるなら悪魔をぶった斬って終わりにしたい。

 だがいまだに悪魔はただ尻尾を掴ませているだけで、姿すら見せていない。


 非常にムカつく。


「で、こんな話をするために呼んだのか?」


「いえ……一つお願いが」


「お願い?」


「俺を行かせてください」


「どこにだ?」


「助けを呼びにです」


 ノートムがベッドから立ち上がる。


「悪魔に狙われる可能性が高い。だが……聖騎士はつけられないぞ?」


「もちろんです。むしろ俺一人の方が身軽に動けます」


 険しい顔をしたゲルディットと真剣な顔をしたノートムが視線を合わせたまま、部屋に沈黙が流れる。

 部屋に置いてある明かりの蝋燭が不規則に揺れて、まるで悪魔でも宿るように影もゆらゆらと動く。


「俺に……できることをさせてください」


 静かな部屋に響くノートムの声には、男の覚悟が滲み出ていた。

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