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【第一章完結】霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~  作者: 犬型大
第一章

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48悪魔の狙い2

「全てに対応するのは不可能……見習いどもに狙われそうなのがいないか洗うぞ。外での調査は中止だ。教会にこもって防衛するしかないだろう」


 全ての可能性を考えて行動していくことはもはや無理としか言いようがない。

 不安定な推理だとしても一定の筋は通っている。


 見習い聖職者が狙いだとしたら、それを守り切ればこちらの勝利であるとも言える。


「捜査は俺たちは行う。お前らはもう一組の悪魔祓いと教会の警護に当たれ。残った聖騎士どものケツも叩いてやれ」


「分かりました」


「了解です」


 ゲルディットの指示にセベストとハイネマンは頷いた。


「いくぞ。今すぐ行動だ。見習いどもに話を聞く」


「……分かりました」


「はい」


 俺たちは休む間もなく動き始める。


「しっかし……見習いどもを狙う理由はなんだろうな」


「じっ……」


「何でも知ってるわけじゃないぞ?」


 パシェが再び俺を見る。

 俺はそんなすぐに色々答えを吐き出すスーパーコンピュータでもない。


「いくつか可能性はあるだろ。将来性が高い天才とか悪魔怒らせたとかお偉いさんの子供とか……魂が悪魔にとって魅力的とかな」


 聖騎士、あるいは悪魔祓いとして突出した能力があるとすでに認められて、悪魔として脅威になるとまで噂が出回っているような天才でもいるなら狙われるかもしれない。


「天才……エリシオのこと?」


「そうだな……俺のことが噂になれば狙われるかもな。だが実際田舎の教会でひっそりしてきたんだ。狙われるほどじゃないだろ」


 狙われるような能力を持っている可能性があることは自覚している。

 ただ俺はこれまでちょっと頭が良いぐらいの見習い聖職者の枠を出たことはない。


 ソコリアンダの事件以降多少の活躍はしているが、俺の活躍というよりゲルディットが解決したと思っている人の方がほとんどだろう。

 悪魔の間で噂が広まって狙われるなんて可能性は限りなく低い。


「クーデンドも違うだろうな……こんなことしなくても、悪魔が腕振りゃ死んじまうぐらいだ」


 俺は違う。

 多分クーデンドも違う。


 結構古い仲だけどお偉い人の子供という話も聞いたことがない。


「じゃあ、誰?」


「……さて、誰かな」


 ふとクレンシアの顔が浮かんだ。

 今いる人の中で目立つ存在であるクレンシアは、他の人よりも明らかに貴族っぽい物腰をしている。


 それでいながら聖騎士志望という不思議さもあった。


「はい、なんでしょうか?」


 教会で働く聖職者に聞いて、見習い聖職者たちの部屋を訪ねる。

 偶然、手前から尋ねると最初の相手はクレンシアであった。


「少し話を聞きたい」


 険しい顔をしたゲルディットの物々しい雰囲気に、クレンシアはチラリと俺のことを見る。

 何が起きているのか聞きたいような顔をしている。


「時間があるなら話を聞きたいんだ」


「え、ええ……大丈夫です。中にどうぞ」


 俺が軽く笑顔を浮かべてやると、クレンシアも少し警戒心を解いたようだ。


「それで……話とは何でしょうか?」


 明らかにピリついた空気を感じたクレンシアも自然と表情が固くなる。


「一連の事件について……知っているな?」


「……はい。教会の中でも噂になっていますから」


「悪魔の狙いはお前たち見習いの中にいる」


「えっ?」


 まだ確定ではない推理に基づくもの、という前置きは省いて確定したかのようにゲルディットは詰める。

 思わぬ言葉にクレンシアは完全に固まってしまう。


「心当たりはあるか? 全て正直に話してほしい」


「…………」


 お願いしているような言い方だけど、ゲルディットからは圧を感じずにいられない。

 全て知ってるんだ。


 だから優しく言っているうちに話せ。

 そんなふうに言われているみたいだ。


 半分脅しみたいなものだが、優しく調査している時間もないのだからしょうがないところはある。

 クレンシアが泣き出さないか、俺は少し心配してしまう。


「……なぜ悪魔の狙いが見習いだと?」


 クレンシアはゲルディットから視線を逸らしてうつむく。


「俺たちの方でも調査をしている。その結果だ」


 あくまでも、推理。

 だがゲルディットはそんなことをおくびにも出さない。


 クレンシアが態度の変化に何かを感じ取り、あたかもある程度の予想ができているかのように見せかけて情報を引き出そうとしている。

 

「……動揺してる……? でも……」


 うつむく姿を見れば、か弱い少女が強く責められているようだ。

 だが手が震えているような様子もない。


「どこまで知っているのですか?」


 うつむくようにしていたクレンシアが顔を上げる。

 そこには柔らかな笑顔はなく、ゲルディットの険しい圧にも動じていないような真剣な顔があった。


 明らかにクレンシアの態度が変わった。

 悪魔や悪魔崇拝者の可能性も否定できない。


 俺とパシェはそっと剣に手をかける。


「何も知らない。だから調べてる。君は、何者だ?」


 クレンシアの怪しさに怪しさを感じたゲルディットが、核心に迫る質問をぶつけた。


「…………これから話すことは秘密にしていただけますか?」


「それは秘密の内容による。必要ならば町中にだってバラすし、あるいは必要ならば悪魔にだって口を割らない」


 クレンシアの目が迷いに揺れている。

 どうやら、何かの心当たりというやつがクレンシアの中にはあるようだ。

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