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【第一章完結】霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~  作者: 犬型大
第一章

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40秘密交換4

「まあ、鎧は変だと思ってたけど……獣人をよく思わない人も多いもんな。余計なこと言われないように顔を隠すのは理解できるよ」


 釣り竿をあげてみるとパンが無くなっていた。

 俺は新しくパンを付け直して、釣り針を飛ばす。


「ゲルディットさんは知ってるんだな?」


「知ってる」


「まあそうだよな」


 ゲルディットが知らないという方が不自然だ。

 最初から獣人だと知っててゲルディットは黙っていたのだ。


 ゲルディットも獣人とかそんなこと気にする人じゃない。

 そこらへんは俺とも同じ。


「エリシオ、あなたは私の秘密を見た」


「うー? まあ……そうだな」


 ここまで寝る時も飯を食う時もパシェは鎧を外さなかった。

 守ってきた秘密を知ってしまったと言われれば否定はできない。


「あなたの秘密も教えて」


「俺の秘密? 何を知りたい?」


 ちょっとだけドキッとする。

 何を聞き出したいのか、揺れる川に映るパシェの姿を見ても予想はできない。


「あなたには何が見えて、何が聞こえているの?」


「どういうことだ?」


「あなたは時々何もないところを見ている。少し前の悪魔の時には私にも聞こえない声をあなたは聞き取っていた。一体何を見て、何を聞いてるの?」


 流石に不自然すぎたか。

 パシェが何も言わず、寡黙だったので幽霊の存在を感じられることをあまり隠さずに行動してしまっていた。


 やはり疑問は感じていたらしい。

 これは少し反省すべきことだ。


 だがパシェなら教えてもいいかもしれない。


「人には魂がある」


「……急に何?」


「お前の質問の答えさ。人には魂があるって習ったろ?」


「うん」


「目には見えないものだけど、俺の目には見えるんだ。人の魂が。そして時には声も聞こえる」


 俺はパシェのことを見る。

 ヘルムの奥の目が俺のことを見返している。


 パシェは何を考えているのだろうか。

 少し驚いたように目を見開いているようにも見えた。


「……信じる。あなたは嘘つく人じゃない」


「簡単に信じるなよ? 俺は嘘つく人だ」


「じゃあ嘘?」


「いや、今のは本当だ。ソコリアンダの時もこの力を活かして捜査を手助けしてた」


「ああ」


 パシェは小さく納得したような声を漏らした。

 よくよく考えてみれば俺の行動にもおかしいところはあったはずだ。


 捜査の誘導の仕方もゲルディットだから異論を挟まないだけで、無理矢理なところがあっただろう。


「ゲルディットさんは知ってるの?」


「さあな……」


「どういうこと?」


 俺のどっちつかずな返事にパシェは首を傾げる。


「俺とゲルディットさんの関係は意外と昔からでな。昔言ったことがある。だけどそん時は頭おかしいのかって笑われた」


 ゲルディットにも幽霊が見えると伝えたことがある。

 しかしその時はまだ信頼関係も浅く、子供の戯言だと流されてしまった。


「だけどこの力を使ってアドバイスしたこともあって、俺が何かを見てることは分かってるだろうな。気づいてるのかもしれないけど、何かを聞かれたことはないんだ。だから分からない」


 幽霊を見ていることには気づいているのかもしれない。

 ただそれを明確に聞かれたことはない。


 当時の告白を覚えているのか、あるいはどうであれ俺は俺だと思ってくれているのか。

 変に聞き出したりしないところもゲルディットらしい。


「そう。あなたが聖と魔、両方使えるのは……」


「それは秘密二つ目だぞ?」


「……む」


 パシェが獣人であるという秘密に対して、俺は幽霊が見えることを告白した。

 これで対等。


 聖魔両力のことはもう一つの俺の秘密で、これまで聞くと対等じゃない。


「…………魚苦手なことも話した」


「それとつり合わせようってか?」


「ダメ?」


「ダメだ。じゃあ……もう一度顔見せてくれよ」


 なんだかんだで顔をよく見てはいない。

 俺の頼みにパシェは沈黙を返す。


「……分かった」


 悩んだようだけど、パシェはヘルムを脱ぐことを承諾した。


「やっぱり別に偏見とかそんなものはないな」


 パシェがヘルムをとって顔を見せる。

 少し照れくさそうにミミを畳んで目を逸らしている。


「俺は神聖力と魔力両方使える。ただ……それがなんでか、と聞かれても理由は分からないんだ」


 転生者だからかもしれない。

 しかしこれは俺の最も大きな秘密なので、パシェに伝えることはない。


「なあ、その、毛を撫でても……」


「ダメ、ヤダ」


「…………そうか」


 少し触ってみたい。

 小さな欲が出たけれど、パシェに速攻拒否された。


 パシェはまたヘルムをかぶると、俺たちは無言のままに魚を釣り始めたのだった。


「触りたかったな……」


 魚がついばんだわけでもないのに、パシェの釣り糸が揺れた。

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