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【第一章完結】霊が導き、霊を導く悪魔祓いの異世界霊能者~異世界で霊視持ちの俺、聖魔の力で悪魔祓いやってます~  作者: 犬型大
第一章

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26見習いから見習いに2

「本格的には中央行ってからの任命になるだろうが、少なくとも聖騎士になることは確定してる」


 ゲルディットはピッと俺のことを指差す。


「これまでは見習い聖職者だったわけだがこれからは見習い聖騎士だ。当面は俺がお前の教育係になる」


 友人と飲み明かした次の日の朝、俺とクーデンドは教会の前でゲルディットとパシェと合流した。

 たった一杯だけしか飲んでないのに、クーデンドは青い顔をしている。


 俺の方は酒に強くてケロリとして、いつものように気だるげな目をゲルディットに向けていた。


「喜べ」


「……………………まあ、嬉しいです」


「ずいぶん間があったな」


 嬉しくないか、嬉しいかで言えば嬉しい。

 すごく悩んだけれど、知らない嫌な奴が教育係となるぐらいなら知ってるちょっと嫌な奴が教育係の方がいい。


 多少関係が近い気はするけれど、気楽にやっていけそうだ。


「そんなことはないですよ。尊敬する先輩が教育係で嬉しいです」


「はっ! おだてるならもっと上手くやれ」


「おっと」


 ゲルディットは抑揚のない俺の褒め言葉に呆れ顔をして、剣を投げつける。

 捜査の時に持たされていたものだ。


「聖騎士なら剣の一本ぐらいは必要だからな」


「ありがとうございます、先輩」


「やめろ。今まで通りでいい。俺は引退した身だからな」


 先輩なんて白々しい言い方はいいと、ゲルディットは顔をしかめて手を振る。

 俺としても先輩と呼ぶのは嫌なので、すぐに辞めるつもりであった。


 軽く口の端を上げて笑う。


「引退してもこんなふうに走り回されるんですか?」


「俺は優秀だからな」


「……なんというか、二人とも似てるね」


 クーデンドはわずかに痛む頭を押さえて思わず笑ってしまっている。

 俺とゲルディットの言い回しは少し似ているところがある。


 それが面白かったらしい。


「いてて」


 笑うと余計に頭が痛むようで、クーデンドは笑いながら顔をしかめる。

 一緒に住んでいた時期もあるから多少話し方が移っているところもあるかもしれない。


 だが俺の自認はもっと快活で明るい男であるので、一緒にされるとのは違うと思う。


「こいつと一緒にするな。ともかく中央……聖都に向かうぞ」


 ゲルディットも俺と同じようなことを言う。

 口に出して一緒にするなと言わなくてよかった。


「なんでこんなに焦って行くことがあるんですか?」


 クーデンドが小さく手を上げて質問する。

 配属先が発表になって次の日に慌てて出発することもない。


 せめてもう1日ぐらい休んで、酒が抜けてからでもいいんじゃないかと思っているようだった。


「じきにみんな動き出す。ここに残るというやつの方が少ないだろう。そうなると……どうなると思う?」


「……どうなるんですか?」


「馬車が値上がりする」


「へっ……?」


 ゲルディットの単純明快な答えにクーデンドは驚いた顔をする。


「今の時期教会の配属先が決まって人の動きが生まれることはみんな知ってる。馬鹿正直に足で移動する奴もいるが……楽に移動したいなら馬車は利用するだろう」


「そうですね」


「お前がマヌケな商人じゃない限り、馬車の利用者が増えることは簡単に予想できるだろう」


「だから……値上げするのですね」


「その通りだ」


 ゲルディットはニヤリと笑う。


「金には困っちゃいないが、無駄に使うもんでもない。馬車だけじゃなく、宿や飯なんかもめざといところは高くなるかもな。人の流れが増える前に移動してしまうのが安く済ませる方法なんだよ」


「なるほど……」


 これが年長者の知恵というものだ。

 教会で学んだお勉強だけでは分からない、世の中の流れというものをゲルディットは理解している。


 クーデンドもゲルディットの言葉に納得した顔をしている。


「お前は会計課だったな。覚えておけ。金の流れは書類の上だけじゃ分からないこともある」


「……心に刻んでおきます」


「分かったら行くぞ。今ならまだ馬車も空いてるはずだ」


「また一緒で嬉しいぞ。よろしくな、パシェ先輩」


「私もこれまで通りでいい」


「了解」


 一言も発さないがずっとパシェもいた。

 結局ヘルムの下がどんな顔をしているのかも知らないまま終わるのかと思っていたが、こうしてまた同行することになった。


 教会の中ではヘルムを脱ぐことはなかったけれど、旅路ならばどこかで顔を晒すこともあるだろう。

 ガキじゃあるまいし、無理にヘルムを取り上げることはしない。


 ただ、やはり好奇心を持つことは抑えられないのだ。


「乗合馬車を探してる。聖都方面に向かうから……」


 町の外れに何台かの馬車が止まっている。

 馬車で移動するのにもいくつか種類がある。


 一番手っ取り早いのは自分で馬車を買うことだ。

 好きなタイミングで、好きなように使える。


 ただ金はかかるし、他にもいろいろ必要なものも多い。

 他にも借りるということもあるが、こちらも金がかかる。


 馬車を利用して安く済ませるなら、やはり乗合馬車になる。

 一定のルートを通る馬車に乗せてもらうのだけど、貸切ではなく他の乗客も一緒に乗って行くのだ。


 客が集まるまで出発しないとか、一緒に乗る客によっては快適とはいかないとか問題があることもたまには発生するが、安く馬車を利用することができる。


「あー、そっちの方向に今は行ってないんだ」


「なんだと?」


 だが早速雲行きが怪しい言葉が返ってきた。

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