第12章 信じる力 ― 未来への光 ―
長い道のりを経て、プロジェクトは光に満ちていく。
信じること――その力が、仲間をつなぎ、未来を照らす。
数日後の午後。
プロジェクトルームには、静かな空気が流れていた。
長く続いた開発が一区切りを迎え、
鷺沼はひとり、データの最終確認をしていた。
そこへ、不破がそっと入ってくる。
「鷺沼さん。最終テスト、全部通りました。」
「そうか。」
短い返事。けれど、その声はどこか柔らかかった。
しばらく沈黙が続いたあと、
鷺沼はゆっくりと口を開いた。
「……私は、ずっと“間違えないこと”が正しいと思っていた。
だが、人は誰も完璧じゃない。
間違えて、傷ついて、それでも立ち上がる。
――その姿を、私はずっと見ようとしなかったのかもしれない。」
不破は静かに頷いた。
「鷺沼さん……。」
鷺沼は遠くを見つめるように続けた。
「私はもう一度、信じてみようと思う。
人を。仲間を。そして、私自身を。
完璧を求めるより、誰かを信じて共に進むほうがずっと難しい。
けれど、それが本当の“強さ”なんだろうな。」
不破の瞳に光が宿った。
「……鷺沼さん。
やっぱり僕にとって、あなたはずっと憧れです。」
その言葉に、鷺沼は初めて心から笑った。
「……ありがとう。不破。」
◇◇◇
― ぽかぽか邸にて ―
その夜、ぽかぽか邸のリビング。
コーヒーの香りが漂い、穏やかな灯の声が響く。
「鷺沼さんと不破くん、
ようやくお互いを信じ合えたみたいね。」
「はい。なんだか、ぽかぽかになりました。」
凪が笑いながら言った。
「僕らのシステム、やっと“心の回路”がつながったって感じですね!」
「お、凪。いいこと言うな。」
柊がコーヒーカップを置き、静かに言葉を継ぐ。
「わ〜い!柊先輩に褒められた〜」
「信る力って、結局“待つ力”なのかもしれない。
相手が変わるのを信じて、焦らず、見守る。
それが、俺たちのやってきたことだ。」
環が小さく微笑む。
「……ははの言ってた“ぽかぽかの魔法”って、
たぶん、信じる力のことなんですね。」
灯がやさしく頷いた。
「そう。信じることは、魔法と同じ。
見えなくても、ちゃんと届くのよ。」
その言葉に、全員が自然と笑みをこぼした。
窓の外では、街の灯がゆっくりと瞬いている。
その光の一つひとつが、まるで誰かの“信じる心”のようだった。
――ぽかぽかとした光が、
今日も確かに、この世界を照らしている。
誰かを信じることは、魔法に似ている。
見えなくても、確かに届く。
ぽかぽか邸の笑い声の中で、“心が動いた瞬間”は未来へと続いていく。
そして新しい光が、また誰かの胸にそっと灯るだろう。




