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武家の異端児は王都に向かう

「ふんふーん」


「何か嬉しそうっスね。坊ちゃん」


鼻歌交じりに出かける準備進める俺に声を掛けたのはメイドのパリスだ。

このメイド服を着た金髪白ギャルは、肩まで伸びたサイドテールの毛先を弄りながら部屋の壁にもたれかかっている。


「なんたって、待ちに待ったゴーレム見学の日だからな」


今日は、ゴーレムの研究をしているというヘッツェルンの元教え子。

ヘッツェルンの働きにより、王都にいるというその人物に自身の工房へ招待されたのだ。

ゴーレムはロボット作りの足掛かりになるかもしれない存在。見ておかない手はない。


「それよりパリスは何でここにいるんだ?」


「そりゃあ暇……じゃなくて坊ちゃんの様子を見に」


いま暇って言わなかっただろうか。

パリスはよく俺の手伝いをすると適当な理由をつけては、仕事をサボって部屋に遊びに来る。

本人曰く食器や洗濯物を眺めているより、俺が作った設計図を見ている方が楽しいらしい。


「いつもの事だけど手伝いなら必要ないぞ」


「分かってるっスよ。じゃあ、あーしも準備があるんで」


そう言ってパリス部屋を出て行った。

何だったんだろう。

準備とか言ってたし、パリスもどこかに出かけるのだろうか。

まぁいっか。そろそろ約束の時間だし、ぼちぼち出発しよう。

俺はこの日のために自作したロボットの設計図を持って、馬車が待つ玄関へと向かった。


王都に行くのは、物心ついた時に国王様のところへ挨拶しに行った以来だ。

時間が空いたら今後の研究に役立ちそうなものを買って帰りたいな。

そんな事を考えながら馬車に近づく俺を聞きなれた少女の声が出迎えた。


「遅かったっスね坊ちゃん」


「パリス!?」


馬車の前には、外息の服装に身を包んだパリスが立っていた。

まさかコイツのいってた準備って、王都について来るためだったのか。


「もしかして俺の護衛でついて来るのか?」


「そうっスよー」


思えば12歳の子供が一人で王都に出発するというのはあまりにも危険すぎる。

森を抜けていく関係上、道中で魔物と遭遇する可能性だってあるし護衛が付くのは当然だ。

しかしその護衛がパリスとはなー。


「ちょっ、何すか急にじっと見て……」


下から上へまじまじと見つめられてパリスは怪訝な顔をする。

パリスの格好、もとい装備は暖かそうな上着と腰に吊るされた剣のみで、他はいつもと変わらないメイドの格好だ。

年齢の方も確か16とかだったか。

この辺の魔物の強さがどのくらいかは知らないけれど、とてもじゃないが女子高生に務まる相手とは思えない。


「パリスや。一応確認しとくけどさ……」


「はい?」


俺は一呼吸置いてから、決め顔で某大天使のセリフをそのままお借りした。


「そんな装備で大丈夫か?」


「大丈夫だ。問題ない………っス」


少し間を置いて、奇跡的にノリが通じたのか○ーノック、じゃなくてパーリッスも決め顔でそう答えた。

なんと!まさか異世界の地で名作の名シーンを再現できるとは!

このやり取りができただけで十分だ。

骨は拾うぞパーリッス!


俺とパリスは固い握手を結び馬車に乗り込んだ。

目指すは王都。

待っていろゴーレム!

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