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武家の異端児は吟味する

「とりあえず、一通りできたな」


俺はそれぞれの素材で作ったゴーレムを観察する。

それぞれ大きさや体格は自分を模して作ってみた。

産み出したゴーレムに、同じ命令を与えて動きを見る。

三体の中で一番動きが良かった素材のゴーレムをベースにするつもりだ。

設定した命令は主に3つ。


物を運ぶ

ジャンプ

走る


この3つだ


まず土。

率直に言うとスピードタイプって感じ。

3体の中で一番人間らしい動きができていて、特に柔軟な動きに関してはこの素材が一番だろう。

懸念点は紙装甲という点。

さらに、重たいものを持たせたり激しい動きをさせると崩れてしまった。

一方で部位が破損してもすぐに再生できたが、再生には都度魔力を消費するため、3つの中で燃費は一番悪いのかもしれない。


次は木。

木製のゴーレムは耐久性もありながらパワーもそこそこでバランスがいい。

重量も人間に近く土製のような再生力は無いが、激しい動きをしても問題なかった。

燃費の面でも問題なし。

動きが少し固いような気もするが、気にならない範囲だ。

最有力候補に入れよう。


最後は石。

石製のゴーレムは頑強でパワーもあり、3体の中では間違いなく一番強いだろう。

問題はやはり重量がある分小回りが利かない点だろう。

戦闘には向いていそうだが、戦いを目的に作りたいわけじゃないので不必要な要素だ。

石製は物を破壊したり、大きなものを運ぶ用なんだなぁという感想。

あとズシンズシン音を立てて歩く様子は少しかわいかった。


それと思ったよりゴーレムは意外と魔力を消費する。

3体同時というのもあるだろうが、思えば破壊されない限り魔力供給が続く限り半永久的に動かせるわけだ。


となれば魔石のような外付けの魔力供給機のような物が必要だな。

魔石とは、魔力を含んだ地下水なんかが、長い年月を掛けて結晶化した鉱石のこと。

近年では技術も発達し、ある程度人工で生産できるようになったのだとか。

ちなみに魔石はピンからキリまで値段が幅広いが、天然に近い程効果になっていく。


ヘレン姉さんの部屋に行けば魔石に一つや二つ置いてあるだろう。

俺はパリスに声を掛ける。


「パリス~。ちょっと魔石を取ってくるー」


「…………」


おや、返事がない。飽きて帰ったか?

いや、まだいるな。

パリスは真剣な表情で魔導書を読みこんでいる。

気になったので近くまで寄ってみると、そこには付与魔法(エンチャント)について書かれていた。

無機物に魔力を滞留させる魔法。それが付与魔法(エンチャント)だ。


じーーーー。

パリスの横顔をしばらく見つめてみるが、一向に気づかない。

彼女の目線は魔導書の文字を捉えている。

うん。集中しているみたいだしほって置こう。

この感じだと戻って来てもまだいるだろう。

俺はそっとその場を離れ、姉の自室がある屋敷の北側へ向かった。


そういえば、付与魔法なら人格の付与なんかもできるのだろうか。

今度姉さんに会ったら聞いてみよう。

多忙で屋敷にほとんどいないからいつ聞けるか分からないけど。

そうこうしている内に姉の自室に辿り着く。


「自室と言うより一軒家だな」


ヘレンの部屋はそこそこ大きな木造の建物だ。

自身の工房も兼ねているのだろう。

それが屋敷の敷地内にポツンとある。

俺はドアノブを握ってふと思う。

そう言えば鍵ないじゃん、と。

男兄弟と隣部屋が嫌だという理由で、わざわざ屋敷の庭に家を建てるくらいだ。

鍵をかけ忘れるわけがない。


「開くわけないよな」


そんな事をぼやきながら腕に力を入れてみる。

するとどうだろうか。

ドアはあっさりと開き、俺を室内に招き入れた。

中には誰もおらず、カーテンの隙間から僅かに木漏れ日が差し込んでいる。

部屋は綺麗に整頓されており、少し良い匂いがする。


「姉さんにしては無防備だな。今は助かるけど」


ウキウキで物色を始める。

勝手に開いたドアを含め、これがヘレン姉さんの仕掛けた罠であると知らずに。


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