武家の異端児は同業に出会う
この世界におけるロボットはゴーレムの事を指すらしい。
用途は様々だが、主に拠点防衛や、物資の運搬、建物の建設や工事に使用され、地球でいう戦車やショベルカーに近い役割を持っている。
そのため、最小5メートル、最大でも10メートル前後が一般的なゴーレムの大きさとされているらしい。
「へぇー。地下が工房になっているのか」
「散らかってるけど、どうぞ……」
セリアに勧められるまま彼女の工房に入る俺達。
工房は、ごく普通の一軒家の地下を改造して作られており、中は洞窟のようになっていた。
岩を削り出して作られたテーブルや棚に、山積みの魔導書が置かれている。
失敗作と思しきゴーレムの残骸や設計図が床を埋めつくし、食器や衣類は部屋の隅に雑にまとめて寄せてある。
「で?君たちは何で入らないの?」
俺は工房の入り口で突っ立っているパリスとヘッツェルンに声を掛けた。
「いや、部屋汚すぎ。足の踏み場ないし」
「客人が来るから掃除するようにと言っておいたのですがね」
「無理。だからゴーレムにやらせる…」
彼女は部屋の一点を指さした。
そこには成人男性くらいの大きさの木製人形が立たされている。
その見た目は、例えるならデッサン人形に近い。
顔の部分には目と思しき、石ころが二つ付けられている。
ゴーレムは人生成の際に人間に寄せるほど動きが精巧になるらしいが、こんなんでいいのか?
「セリアさんこれは?」
「これは私の試作品。土で作ったゴーレムに、木の外装を取り付けてある…」
セリアは試作品をコンコンと叩いた。
ゴーレムの主な触媒は土や石等の無機物が選ばれる。
そして触媒の強度によって消費する魔力に違いが出るらしい。
「中身は土だからコスパ良い…でも脆い。だから木材で強度をカバー」
「へー。どんな事が出来るんですか?」
「簡単な命令なら。例えば」
セリアは軽く指を鳴らした。
するとゴーレムが動き出し、散らばっていたゴミを片付け始める。
お~、凄いな。
動きに硬さが無く、人間と遜色ないように見える。
触媒になった土が柔らかいからだろうか。
ゴーレムはゴミを片付け、次に机の魔導書に手を伸ばした。
しかし、三冊重ねられた魔導書は、その重みによってゴーレムの肩ごと床に落下してしまう。
セリアは再び指を鳴らしてゴーレムを止めると、土を払いながら魔導書を机に戻した。
「重すぎる物を持つとすぐ壊れる。現在の課題…」
「なるほど。因みに、これ僕が作った設計図なんですけど」
セリアに設計図を渡し、感想を待つ。
この設計図は物心ついてからこっそり描いていた自信作だ。
今まではただの落書きだったが、ゴーレムの存在を知ってからは材質や技術体系をこの世界に合わせ、ブラッシュアップしている。
まだ空想の域を出ていない部分もあると思うが、魔法を応用すれば実現可能な範囲のはず。
ここでセリアの意見を聞いて、さらに設計図の完成度を高めるつもりだ。
「どうですかセリアさん。課題としては……」
「………いや無理…」
………はい?
「言いたい事はいっぱいあるけど、とりあえず結論から言う。この世界の技術体系で、このゴーレムを作るのは不可能…」
セリアはまっすぐ俺の目を見たまま、きっぱりと言い放った。
「」




