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武家の異端児は王都に着く

「残り2匹.....ってあれ?」


「残りはビビって逃げって行ったぞ」


俺は辺りをキョロキョロしているパリスに声をかける。

俺に気づいたパリスはどこか安心したように気の抜けたため息を吐いた。


「助かったよパリス。ありがとう」


「あーしもちょっとは戦えるって事分かったっスか?疑ってたの気づいてたっスからねー」


パリスはニヤニヤと悪戯っぽい笑みを浮かべると、俺の右頬を指でぐりぐり突いた。

ちょっと痛い...。


「ひゅいまひぇんでしたぁー。だからやめろぉー」


その時、パリスの腰あたりでピシリと音がした。

ガラスのような物が割れたようなそんな音だ。

パリスは何かを察したのか、ゆっくりと腰の剣を引き抜いた

確認すると剣の刀身が微かにひび割れている。

パリスはそれを優しく撫でながら、ぼやく。


「あーやっちゃった。あーしもまだまだっすねー」


あの強さでまだまだなのか。

俺には十分強そうに見えたけど。

この世界のギャルは見かけによらないのかもしれない。


「いえいえ、お見事でしたよパリス殿」


そう言ったのは馬車を操縦していた使用人だった。

彼は続ける。


「エンチャントの制度もさることながら、美しい身のこなし。実力は並の冒険者以上でしょう。私もアレス坊ちゃまの前で鞭捌きを披露したかったのですが、出番を取られてしまいましたね」


と笑う馬車の人。

この人も戦えるのか。

もしかしてレーヴェン家に仕える使用人はみんな何かしらの戦闘技術を身に付けているのだろうか。


雑談もそこそこに、俺達三人は再び王都に向けて動き出した。

幸いにも、あれ以降魔物に遭遇することも無く、無事に城下町付近までたどり着くことができた。

分厚い石造りの壁の向こうに、国王が座す宮殿が見える。


「王都って独特の緊張感があるよなぁ」


「そっスか?むしろちょっとテンション上がるっスね。王都で売ってる服とかお洒落なの多そうだし!」


目を輝かせるパリス。

こいつ、王都を原宿か何処かと勘違いしてないか?

まぁ、王都の魔道具展は行く予定だし、用が済んだ後に少しくらいショッピングに付き合ってあげてもいいかな。


関所の手続きが終わり、いよいよ王都に入った俺達。

王都の居住区はエリア分けされて、中心に進むにつれて街の装いも変化していく。

王都中心には宮殿、次に貴族の居住エリア、市民の居住エリアと続き、最後に商業エリアがある。

各エリアが宮殿を囲うように存在しているのだ。


馬車は石畳の道をゆっくり進みながら、宮殿付近の停留所で止まった。

宮殿付近には商人や貴族の他に一般市民もいて、非常に賑わっている。

はて、王都に出入りできるのは名のある貴族か、謁見を許された商人くらいだからだと聞いていたんだが。


「お待ちしておりましたぞアレス殿」


「先生。出迎えどうも」


馬車を降りた俺達を出迎えたのはヘッツェルン、とその横に白いローブを着た少女が立っていた。

顔が見えないが背丈からしてパリスと同じくらいだろうか。

少女はもじもじしながら、何か訴える様に俺とヘッツェルンの顔を何度も見返している。

紹介されるのを待っているのだろう。


「先生、そちらの方は?」


「えぇ。工房まで連れてくるから待っていればいいと言ったのですが、どうしても先に会いたいというもので連れて参りました」


そう言ってヘッツェルンは少女を前へ立たせた。


「紹介します。彼女がゴーレム研究をしている魔導士のセリナ・ロットウェルです。」


「は、はじめまして」


セリナは恥ずかしそうに顔のローブを取ってお辞儀をすると、すぐに戻してヘッツェルンの後ろに引っ込んだ。

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