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第7話 冒険者ギルド訪問

「エメル……どこに行くんだ」


 エメラルド東大町を旅の荷物を持って歩いていたころ……。


「今から、ギルドに向かいます。ところで、龍弥様、先ほどから気になっていたのですが、何故、荷物を手で運ぶのですか?」

「どういうこと?」

「普通ならこの収納魔法を使うと思うのですが……」


 そう言って、彼女は手から、手のひらサイズのゲートホールを生み出した。

 そう言えば、そんなの使ってたな……彼女のその言い方から、独立能力オンリースキルというわけでもないようだ。


「どうやって、出せるんだ?」

「鞄をあける開けるような感覚で念じるとホールを出すことができますよ」


 俺は言われた通りにやってみた。

 できた。感覚をつかめば意外と簡単なものである。


「このホールは四次元空間につながっており、無限収納ができて、重さもないんですよ」


 四次元ポケットのようなものか。便利である。日本にもほしい。


 そんな雑談は置いておいて。


「エメル、さっきどこへ行くって言った?」

「ギルドです。よくある冒険者ギルド」


 日本に冒険者ギルドは見たことないけどな……そのため、俺にとってはよくあるものではない。まぁ、そんな戯言はどうでもいいか。


「しかし、そんなところで何をするんだ?」

「冒険者登録しておきます。何かとその方が都合がいいので!」


 冒険者登録……アカウント作成みたいなものか?


 ひとまず、俺たちは『東エメラルド冒険者ギルド』へと向かった。


*****


 ギルドはムードのある木造建築であった。BGMにはジャズっぽいこれまたムードのある音楽が流れている。


「なんか、ギルドというよりかは、バーのようだな」

「多分、お酒の販売もしていると思いますよ」


 つまりはギルド兼バーのような感じか。


「とりあえず、あそこ行きましょうか」


 エメルが指さした先の看板に書いてあった文字は「冒険者登録はこちら↓」というものであった。


「では、やってきますね!」

「俺は良いのか?」

「はい、身分証明書さえあれば、登録できるので」


 なるほど、それではゆっくりさせてもらうか。


*****


 このギルドには冒険者の為の資料なのか、色々な本が置いている。しかし、冒険者はこんなものを静かに読むタマじゃないので、あまり手に取られていないようだ。そのため、そこまで古びているようには見えない。埃は被っていないのを見る限り、掃除はされているようだ。


 俺はふと、一冊の本を手に取った。


*****


『冒険者という職業』 著:アラスト・ニノロスミス よりとある一部。


 冒険者はなかなかワイルドな職業だ。世間的には冒険者という職業はあまり良く思われない職の一つである。私も冒険者はしていたが、世間の目はそこまで良くなかったと感じる。まぁ、冒険者ギルドの雰囲気はかなり不穏で治安も悪い気がするし、理解できなくはない。しかし、そこまでひどいものでもない、冒険者は社会的にはしっかり活躍しているからだ。無職の自堕落している者よりかは十分に立派だ。


 冒険者の基本的な収入は「クエスト」という依頼を達成して得る報奨金である。そのクエストは採取クエストや特別クエスト(種類別に属さない特殊なクエスト)などあるが、近年は魔王の誕生による魔物の活性化によるもので、もっぱら討伐クエストが多いようだ。

 討伐クエストは報奨金が高いので、冒険者は大変、金を持ち合わせているようだ。


 それと同時に、冒険者のクエスト中の死亡率も増加しているようである。


*****


 最後の一文にこの著者が言いたいことが詰まっているような気がする。アンチテーゼのようなものだろうか。


 この本はここ最近で書かれた新書のようだ。その為、彼が書いている「近年」とかいうタイムリーな言葉はそのまま受け取って良さそうだ。


「龍弥様!手続きできましたよ!」


 そう言って、彼女は俺の元に走ってくる。

 そして、彼女は漫画つまずいた。


ゴトッ……


 俺たちは倒れて、エメルが俺の上に覆いかぶさる形になった。この光景、まるで『To LOVEる』だ。

 顔は何やら、大きく柔らかいものに覆いつぶされていた。


 これ、もしかして、おっぱいか。


「ああ……ごめん!」


 彼女はそう言って、慌てて俺から離れる。

 彼女は少し汗ばんでいたようで、俺の服が少し湿った。


「てか、ごめんって言った……?」

「あ……」


 普段の彼女には考えられない台詞だ。


「いやぁ……これは咄嗟に出た言動であって……」


 う~ん、分からんが、まぁいいか。


*****


 それにしても、冒険者ギルドは結構落ち着くな……女性冒険者はいるにはいるが、やはり男性の冒険者の人口が多い為、結構安心できる。まぁ、その女性冒険者からは怪しい視線を感じるが。


「ひとまず、お昼時はバーはカフェになっているようなので、少し、休んでいきますか?」

「そうだな、そうしよう」


 俺は彼女の提案に賛同した。


 席に座り、俺たちは二人ともコーヒーを頼んだ。この世界にコーヒーがあって助かった。


「しかし、これからどうします?そろそろ、この町出ますか?」


 エメルが俺にそう訊ねる。


「う~ん、この先、二人で行けるのかっているのがちょっと不安ではあるんだが……」

「まだ、しばらくは大丈夫ですよ、魔王城はまだ、全然遠いですから」


 魔王から近くなるほど、魔物は凶暴性が高くなるようで、ここはまだ魔王城から遠く離れた町の為、魔物はそこまで強くはないようだ。ちなみに、エメラルド大森林の魔物は森の中に存在する「森の命」という特別物質によって、魔物が多少活性化しているようだ。


「なるほど、ではまだ安心なのか」


 神よ、そういうことのようだ。


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