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第2話 俺は最強。しかし、生涯童貞確定。

 俺の前にとんでもない痴女が現れた。

 正直、見た目は超タイプ。しかし、痴女はそこまで好きじゃない。でもなぁ……。スケベには勝てないよぉ……。


「とりあえず、服着てくれませんか……?」

「あら、人生最期の最期で考えたことがアレだったのに、そんな言葉を吐くとは、外面は律儀なんですね」

「は……?何のこと?」

「あれですよ、『童貞は卒業したかったなぁ……』」


 今すぐそれは記憶の中から完全抹消してほしいところなのであるが。


「しかし、残念ですね……。せっかく転生したのに」

「あ、やっぱり俺って転生していたんですね」

「気づかなかったのですか?」


 痴女は首を傾げた。


「まぁ、勘づいてはいたけど、確証はなかった感じです」

「なるほど」


 彼女はそう言って、顎に手を当てた。おいおい、乳首見えてるって。


「とりあえず、お願いだから、その白い柔肌を隠してくれないですか?」

「何故ですか?」


 何故、そんなことを言う?補足すればそういうことだろう。

 勿論、俺にとっては明らかにサービスであり、このまま襲ってしまいたい気分だ。見た目は本当にタイプだし。

 しかし、それはりんり倫理的にどうなのだろうか。俺は最低エロゲ主人公みたいにはなりたくない。


「別に襲ってもいいのに……」


 痴女はそう言いながら、どこからともなく服を出し、それを身に着けた。


「別に襲っても良かったのか……?」

「いや、ダメです。私を襲ったら、貴方は死にますよ?」


「は……?」


 何故、こいつを襲うと、俺が死ぬのだ?


「とても分かりやすく困惑していますね。じゃあ、ちょっとつまらないですが、説明パートにいきますか」

「パート……?」


*****


「ひとまず、貴方は転生しました。いわゆる、異世界転生ですね。その時に貴方はよくある『特殊能力チートスキル』が付与されているようです」


 『特殊能力チートスキル』とな?これは、俺TUEEになる予感……。


「ところで、その『特殊能力チートスキル』ってどんな能力なんですか?!」


 俺はノリノリで訊いた。


「それは……。この世の殆どの魔法等の能力が使用可能!ステータスも最強、いやがおうとも、貴方は世界最強な力を持っているということです!」


 よっしゃ!これTUEE系だ!これで、モテモテでハーレム形成して、女を抱きまくれるぜ!


「他にも、人の雌!まぁ、女性ですね。それに、滅茶苦茶好かれる能力も付与されています!」


 なるほど、だから、さっき俺は襲われたのか。


「そのため、しょっちゅう襲われます。モテるんじゃなくて、雌たちによって襲われるのです」

「それ、なんかめっちゃ辛そう」

「そして、貴方は今、童貞ですね?」

「そうだけど……」


 俺はちょっと苦し紛れで答えた。

 だって、「自分、童貞です!」って自信満々に言えるやついる?童貞っていう要素はただのコンプレックスでしかないだろう。


「それを捨てたら、貴方は死にます」

「は?」


「この『特殊能力チートスキル』には、童貞を捨てると、その性器からよくある感じ(?)の呪い死にの物質が発生し、瞬時に身体に充満して、貴方は死にます」

「何それ、怖い」


 童貞喪失=死


 正直、なんだそれはと思える展開だ。

 そして、俺は先程、そこの痴女が言ったことを思い出した。


───雌たちによって襲われる。


 つまり。強行に童貞を奪われるということだ。非モテだった前世から考えれば、意味の分からない事態であるが。考えもしなかった事態であるが。


「ああ、俺はこの世界でも、童貞を貫かないといかないのか……クソ」


 俺はそう言って、頭をむしった。


「ところで、あんた誰?」


 もう、俺はすっかりこの痴女に対してタメ口をきくようになった。彼女の説明の仕方にちょっと舐め腐っている感じがしたからだ。

 まぁ、こいつは絶対俺を舐め腐っているだろう、そんな奴に敬語を使う義理はない。


「私は単なる森の妖精。大妖精エメルです。妖精の為、貴方の能力である『女を魅了させる力』は通じません。これから、貴方、龍弥りゅうや様の旅のお供させていただきます」

「旅のお供?俺がいつ旅をするんだ?」

「今からです」

「……は?」


 そこから、エメルは続けて説明を行った。


「貴方には全てを司る神から使命が下されております。それは『魔王を倒すこと』」

「これまた、安直な」

「分かりやすくていいじゃありませんか。そんなわけで、龍弥様はこれから、悪の化身、魔王を倒す旅に出なければならないのです」

「倒さなかったらどうなるの?」

「神様曰く、地獄行きらしいです。それと、期限は100年とのこと」


 ほぼ無いのと同じだな。


 というわけで、説明パートが終了した。


*****


「とりあえず、これからお世話になります。メラルです」


 エメルはそう言って、俺に頭を下げた。


「あ、うん」


 俺はコミュ障を発症した返事で返す。


「ひとまず、この森を出ましょうか」

「ああ、そうだが、良いのか?お前、森の妖精だろ?」

「大丈夫ですよ。ここはこの世界の中でも一、二位を争うレベルの大きさの森『エメラルド大森林』引くほど大きい為、森の妖精も引くほどいます。森内には先ほど、龍弥様が人妻に襲われたところのような人族により建てられた集落や村なんかも複数あるのですよ。人族の他にも、私たちのような妖精霊族や魔族も住処を持ち合わせ、暮らしております」


 エメルは歩きながら、俺が訊いた質問に合わせ、この森のことについて説明してくれた。

 その説明と共に、俺はこの世界の世界観が大体分かってきた。


 やはり、俺は定番の異世界転生をしていたらしい……。


「ところで、気づいていますか?龍弥様」


 エメルの目が少し鋭くなった。


「なんだ?どうしたんだ?」

「私たち、囲まれています」


 なんだと……。

 俺は半信半疑になりつつも、少し、集中して、周りの気配を探ってみた。


 確かに、感じる……。

 なるほど、最強になると、こんな特殊能力も使えるようになるのか。俺は自らの能力に感心した。


「ゴブリンの群れですね。彼らにしてはかなりしっかりと武装しています。数は十体ほどですね」

「なんか、強そうな気がするんだが」

「ゴブリンにしては、かなり強い個体ですね」


 おいおい、まだ序盤だぞ?普通、最初は弱い……。スライムとか出せよ。

 こいつら、雰囲気的に「あくまのきし」くらいのレベルな気がするのだが。


「龍弥様、大丈夫です。ゴブリンにしては強いですが、力は圧倒しています。十分に勝てますよ」

「と、言っても、俺ら無防備だぜ、お前も薄そうな布切れしか着てないじゃないか」

「これ、ただ、擬態しているだけなので、防御力は全裸と同じですよ?」


 もっと駄目じゃねーか。


 そんな不安に思ってると、ゴブリンたちが襲ってくるのを感じた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] すんなり頭に入ってきてよくわかる感じのストーリーがすばらしいです。登場人物の年齢が現状不明なのもアレコレ想像する楽しみがあり、いつ明らかにされるのかわくわくしています。 [一言] 名作に…
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