父の黒歴史が発掘された件
さて、数年前。
父の黒歴史が倉庫から発掘された。
高校の時分、友人と音楽をやっていたらしい。
よく両親の不在時に風呂場(音が響くから)でレコーディングをしては、カセットに録音していたとのこと。
その歌声だが父本人は上手いつもりでいるが、わりと音を外している。
いや、飴矢も音痴だけど音感だけムダにあるから音のズレには気付くんですよ…。
ジャイ◯ンとスネ◯の悪いとこ取りをしたような人物。それが父。
そう、純粋に迷惑だ。
そんな傍迷惑な彼が高校時代に作ったアルバム(という設定の実質ノートに手書きの歌詞カード)が出てきた。
爆笑して、ついでに兄に画像を送っておいた。
以下、アルバムより抜粋。
※個人名や地名は伏せています。
.☆.。.:*・゜
197X.4 元◯◯ふたりの✕✕(父)と 元Mの●●(友人A)、△△中出身の◎◎(友人B)で MSTを結成、5月に友人B脱退
197X.7 父と友人AでJunko結成、「朝倉の三蓮水車」「別れのことば」「もう秋の風が…」など数多くのヒットを連発。文化祭・オーディション多数 197X.12 放送部のJunkoさよならコンサート。ラストは友人Aが実姉と書いた「ホワイトラビングX’マス」
この曲終了と同時にJunkoは解散、マネージャーの友人CもJunkoを去った。「ベストJunko」「ライブJunko」の2枚のアルバムがある
親父、ちょっと待て。
オーディションなんて受けてないじゃねぇか。嘘を書くな、嘘を。
あとカセットに録音していただけのそれはアルバムとは呼ばない。
地名や人名は伏せたけど、Junkoは別に同級生とかそういうのじゃないから大丈夫。
当時のアイドル?の名前かなんかで、父に彼女はいなかったし。
三“蓮“水車ってなんだよ…フツーに連って書いてくれ。
続けるか…。
.☆.。.:*・゜
Mr.(XXXXXX)←名字のアルファベットだった
この最新アルバムを手にしたあなたはカセットレコーダーのPLAYボタンを押すと同時に(父)のソロ活動スタートを感じることだろう。Junko解散後、3か月のレコーディング期間を経てファンに届いた(父)のメッセージは熱くそして優しい「Mr(XXXXXX)」というシンプルなアルバムタイトルは彼本来のストレートな思いを表現している。また60分や46分ではなく、あえて30分カセットテープでアルバムを発表したことも興味深い。おそらくJunkoのギタリストではなくソロ歌手(父)のスタートは皆からということをファンに訴えたかったのであろう。全8曲でありながらこのアルバムはソロ第1作目でかつ最高の仕上りとして語りつがれるのではないか。
197X年1月から3月にかけて製作されたこのアルバムをじっくり聞いてみて改めて(父)のせん細なメロディ作り、高度な歌詞に驚かされた。今後は学業に専念するため1年間の音楽活動休止も発表された。活動再開のその日までファンはカセットテープがすり切れる程このアルバムを聞くはずである。
父はこの後、受験した大学を滑り止め含めて全滅して浪人することとなる。
早めに音楽活動という名のジャイ◯ンリサイタルを止めておけば現役合格した気がするのだが…。
あと何で音楽雑誌のインタビュー風なのか…。
この妄想気質やっぱ親父譲りなのな。
そして作詞して一人のとき小声で歌ってたな高2の頃(親父と同時期)
遺伝って怖いわ、マジで。
以下、自作曲名とその曲に込められた思いが綴られていた。
3番目の収録曲のタイトルである「強い男」はなんかムカついた。
ひとしきり笑って「これどういう意味なんw」とあれこれ突っ込んだあと、黒歴史は再び倉庫へ封印された。
残念ながらカセットテープは見つからなかった。
いや、ジャイア◯リサイタルだから聴かなくていいし、そもそもカセットテープだから物理的に無理だし。
何はともあれ当時の父はさぞ楽しかったんだろうな。
そんな父はいまだにプロ野球のドラフトの時期がくると毎年「(指名されないか)ドキドキする」などと言い始める。
還暦も過ぎているし、小学生のときに少年野球チームに少し在籍していたレベルなのに…それも補欠だし…。
中学〜大学時代は野球部ですらない。
ルールに関してはソフトボールをしていた母とわたしの方が余程詳しい。
父はゲッツーの響きが好きなようですぐ「ゲッツー!」と言うものの母とわたしから「いや、もう2アウトだから。近いとこに投げてアウト1つとったら終わりだから」と冷静につっこまれている。
楽しそうで何よりではあるけれど、ドラフトはかからないと思う。
そしてこの場を借りて、目立ちたがりの父の黒歴史の供養をさせていただきます。