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朝から取り立て。私よ、お疲れ!

 卯一つ。五月は夜が早く明ける。お天道様から、とっとと働けとせっつかれているようで腹立たしい。


「はあああああああぁぁ!」


 腹の底から声を出してため息をつくと、妙齢の女子とは思えないような野太い声が出てしまった。イライラしているのだ。朝起きてから夜寝るまで仕事は山のようにあるが、この「水汲み」はなかなかの重労働である。もう暖かい季節なので手を突き刺すような水の冷たさはないが、朝から体中汗ビチョビチョ。


「おや、おはよう」

「……………おはようございます」

「朝一で悪いけど、この前のツケ払いな」


 神様ひどいや。イヤな人に会ってしまった。こんな朝っぱらからケバすぎる化粧、酒とタバコでしゃがれた声のこのババ…、もといこの女性はスナック血潮のママ、かつだ。三日前に酒代をツケてもらっていた。


「イヤ、あの。今ちょっと持ち合わせていなくてですね。へへへ」


 下品に笑ってみた。しかし、かつは左右の眉根をグッと上げて


「今日中に返しな。じゃないと利子がつくからね」

「ひえっ。そりゃないですよ」


 じゃあね、とこちらも見ずにさっさと帰るかつの後ろ姿が物語っている。今日払わなければとんでもない額の利子が付いてしまうことを。みんなも知っていると思うけど、利子は指数関数的に増えてしまうので恐ろしいったらない。


「あー。とんでもないババアだわ」


酒代どころか今日を生き抜く金すらない。チッと舌打ちをする。それもこれも全てあのクソ男が働かないのが悪い。とりあえず、家に帰ったらあいつを殴ろう!うん、そうしよう。

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