エピローグ
時は戻り、エルピス家………一室。
話を聞き終えた俺とソラ。話の内容をゆっくりと咀嚼し、やがて結論を出した。
「えっと?つまり、最終的にはその怪物と戦う事になるんですかね?俺達も………」
「そう………だな。本当に済まないと思っている」
シリウスさんにしては何だか歯切れの悪い返事だった。どうやら、俺達に対して本当に済まないと感じている様子だった。心から申し訳ないと思っているのだろう。
事実、俺や娘であるソラにまで頭を下げて謝っているのだから。この件に関して本当に申し訳なく感じているのが理解出来た。だからこそ、俺は首を横に振った。
「頭を上げて下さい、シリウスさん。別に、俺は其処まで落胆していませんから」
「しかし………だな?」
尚も言いつのろうとするシリウスさんに対し、今度はソラが苦笑を浮かべて口を開く。
「大丈夫だよ。私も役立たずじゃないから、守られてばかりじゃないよ?」
「………ソラ」
「それに、その怪物を倒すだけじゃないんでしょう?聞いた話だと、心から満足させて私達の価値を示す必要があるんだよね?違う?」
「そう、だな………確かにそうだ。こんな体たらくじゃいけないよな」
そう言って、シリウスさんは憑き物が落ちたように笑みを零した。確かにそうだろう。そもそもその怪物に勝利するだけでは駄目なんだ。俺達の価値を示さないと。
俺達は決して怪物の思うような存在じゃない事を理解して貰わなければ。大丈夫だ、俺達は失敗や挫折を乗り越えて此処までやってこられたのだから。
きっと、次も上手くやって見せる。
そういう意思を籠め、俺とソラは見詰め合った。俺達の表情に、気負いは一切無い。
大丈夫だ。きっと、今度も上手くいく。




