表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新星のアイオーン  作者: ネツアッハ=ソフ
輝く星空編
26/52

7、ひと騒動

「「・・・・・・・・・・・・・・・」」


「・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・っ」


 現在、エルピスの屋敷にて。時刻は早朝の06:00頃。かなり重苦しい空気が書斎(しょさい)を漂っていた。


 俺も、ソラも、二人共にある一点を(にら)み付けて今にも襲い掛からん雰囲気だ。俺なんか、拳銃に手を掛けて今まさに()き放たんとする雰囲気だ。


 それというのも、現在その書斎には俺とソラ、シリウスさんとリーナさんの他に、俺を襲撃した二人組の男が居たからだ。確か、名前はアルデバランとフォーマルハウトと言ったか?


 シリウスさんが止めてくれなかったら(あぶ)なかった。あいつ等が出てきた時、反射的に俺は拳銃を構えソラは件の炎を出しかけていたからだ。ソラに(いた)っては未だに二人組を睨んでいる。背後に(おに)の幻影。


 二人組、アルデバランとフォーマルハウトはそんなソラにすっかり(おび)えている。


 かなり剣呑(けんのん)な空気。しかし、俺はそんなソラを止める気は一切無い。俺だって殺されかけたから。


 代わりに、シリウスさんに状況の説明を(もと)める事にした・・・


「えっと・・・?シリウスさん、これはどういう状況ですか?」


「ああ、この二人には総帥(ボス)を。つまりはお前の父親を元に戻す為に一時的に組織を裏切って貰った」


 ・・・?組織を裏切った?この二人が?


「それで?具体的に二人には何をして貰うつもりですか?組織について()かせるつもりですか?」


「いや、二人にはこれから君の特訓を(まか)せたいと思っている」


 ・・・は?


 俺は思わず、半分口を開いたまま硬直(こうちょく)した。どうやらそれはソラも同じらしく、愕然とした表情のまま硬直してしまっている。うん、まあそれも当然の話だが・・・


 驚いているのは俺も同じだ。しかし、このまま(かた)まっている訳にもいかない。そう思い、俺は恐る恐る口を開いてシリウスさんに()き返した。


「・・・えっと?何故(なぜ)、こいつ等に俺の特訓を?」


「ああ、君にもそろそろ固有宇宙の神髄(しんずい)、固有宇宙の第二解放を習得して貰おうと思ってな。それをこの二人に一任(いちにん)しようと思った訳だ」


「・・・はい?」


 固有宇宙の第二解放?いや、それよりも俺の訓練をこの二人に一任だって?


 その言葉に、俺が驚いていると。シリウスさんに()ってかかる者が一人居た。ソラだ。


「っ、お父様!私は反対(はんたい)です!」


「ふむ、それは何故?」


「この二人はアマツ君を(ころ)そうとした人ですよ?そんな二人に一任するなんて、そんなくらいならお父様がアマツ君の特訓をすれば()いじゃないですか‼」


 その一言に、シリウスさんは少し悲しそうな顔で首を横に()った。


「そう言う訳にもいかないんだよ、ソラ。僕はアマツ君の特訓に()いている時間が無い」


「・・・?それは、何故?」


 その問いに、今まで(だま)っていたリーナさんが答えた。


「ソラ、私達はこれから事件の背後(はいご)に居る真の黒幕を(さが)さなくてはいけないの。いえ、真の黒幕の居場所を探さなくてはいけない、かしら?」


「・・・真の、黒幕?」


「ええ、貴女には以前話したと思うけど。悪魔Ω、彼が事件の背後で暗躍(あんやく)している事が解ったの。私達は彼の居場所を見つけ出し、早急に止めないといけない」


「・・・そんな。悪魔Ω、本当に居たなんて」


 先程から、俺は話しについていけてなかった。悪魔Ω?真の黒幕?どうやら、話しに付いていけてないのは僕だけではなく、アルデバランとフォーマルハウトも同じらしい。呆然(ぼうぜん)としている。


 なので、いっそ聞いてみる事にした。恐る恐る、俺は手を()げる。


「あの、その悪魔Ωって何ですか?」


「おお、そうだったね。君は何も知らなかったな」


 そう言って、シリウスさんは話し始める。それは、とても荒唐無稽(こうとうむけい)な話だった。とてもではないが信じられるような話では無いだろう。それくらい、現実味(リアリティ)の無い話だった。


 単一の宇宙をたった一人で滅ぼし、悪魔へと転生(てんせい)した元人間。たった一柱で神々を含めた全世界を相手取れる程に強大な力を持った、最大最悪のイレギュラー。最強の大悪魔。純血の悪魔。


 その話を聞いた俺達、主に俺とアルデバランとフォーマルハウトは愕然(がくぜん)としていた。


 そんな中、それでも納得がいかなそうな複雑(ふくざつ)な表情で二人組を睨んでいるソラ。そんな娘に、シリウスさんは苦笑を浮かべてそっと頭を撫でた。その手つきは、優しさに()ちている。


「そんなにアマツ君の事が心配か?」


「・・・・・・・・・」


 黙って頷くソラ。シリウスさんはそんな彼女に優しく微笑(ほほえ)んで言う。


「なら、ソラもアマツ君の特訓に()き合ってやれば良い。一緒(いっしょ)に居てやれば良いんだ」


「・・・・・・はい」


 ソラはまだ納得出来ないような、そんな複雑な表情で(うなず)いた。そんな彼女に、俺はそっと近付いて抱き寄せてやるのが精一杯だった。そんな俺に、ソラはそっと身体を()せてきた。


 そんな俺達を、アルデバランとフォーマルハウトは若干(すこし)居心地悪そうな目で見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ