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新星のアイオーン  作者: ネツアッハ=ソフ
学園編
17/52

番外、すべてのはじまりの物語

 かつて、その者は退屈だった。全てを超越していたが故に、彼に比肩(ひけん)する者が一人として存在しないと理解したからだ。それ故、全ての魔術師達に秘密(ひみつ)の首領と呼ばれた彼は退屈だった。


 故に、彼は広大な宇宙樹を飛び出し、その外なる世界へと飛び出した。真なる、原初世界へと。しかし彼は其の世界で真の頂点(たかみ)を知る事となる。宇宙の真の造物主。特異点(とくいてん)の存在を・・・


 彼は最初に歓喜(かんき)した。自らに比肩しそれを上回るかもしれない怪物の存在に———


 次に、彼は予感を抱いた。もしかすると、この特異点も自身と同じ()えを抱いているやも———


 そう感じた彼は、思った。だとすれば、この特異点も自身と同類(おなじ)やも知れぬと———


 故に、彼は・・・


 その存在を知った彼は、先ず特異点に戦いを(いど)んだ。はじまりの頂上戦争だ。


 たった二人きりの頂上戦争は、地球の時間に換算して千年以上にも及んだ。千年もの間、彼は特異点に戦いを挑み続けた。しかし、結果は惨敗(ざんぱい)だった。


 あらゆる概念、あらゆる法則、あらゆる宇宙は特異点を中心に(まわ)る。究極の法則制御装置であり法則制圧装置である特異点は、あらゆる攻性概念を無効化するまでもなく()かなかった。


 全ての頂点だと思っていた彼は、特異点を前に傷一つ付ける事すら出来ずに敗北(はいぼく)した。


 全ての頂点だと思っていた彼は、所詮は一つの宇宙の中での頂点に過ぎない事を(さと)った。


 それ故、彼は真に全ての頂点に立つ特異点に勝利する方法を模索(もさく)する事にした。


 もはや、敗北を知った彼に頂点故の飢えと退屈は無い。しかし、その苦痛と苦みは覚えている。


 全ては、比肩する者が居ないが故に退屈に飢え苦しむ特異点を(すく)う為に。一時、彼と同じ苦痛に飢え苦しんだ者として。同じ苦しみを共有(きょうゆう)した者として・・・


 その苦しみを、正しく理解したから・・・特異点が、自らの同類(なかま)だと感じたから。


 それ故、彼は行動を起こす。全てをひっくり返す為に———


 盤面(ボード)をひっくり返す為に———


 先ず、彼は特異点と交渉を行い彼の特異点を封じ込めた。しかるべき時まで、封印されている間にその飢えと退屈を(ぬぐ)い去る方法を必ず見つけ出すと約束して・・・


 特異点は、快くそれを了承(りょうしょう)した。特異点も既に彼を認めていたのだ。


 彼は、特異点を無限と虚無によって封印(ふういん)を施した。恐らくは、特異点ほどの大質量の霊体であろうと幾万年は封印可能であろう強固な封印術式だ。それでも、特異点が無抵抗(むていこう)だった為に可能な訳だが。


 それはともかく・・・


 次に、広大な宇宙樹の中に自らの魂の欠片(カケラ)を投じた。必ず、何れ自分と同じ領域に辿り着く資質を持つ者が現れるだろう。そう(しん)じた彼はその者が現れた時、その者に欠片が宿るように取り計らった。


 その欠片が、何れその者を自身と同じ領域(レベル)へと至らせるきっかけになると信じて。


 更に、彼は念には念を入れる・・・


 特異点の創造した作品(さくひん)である一振りの(つるぎ)。星魔剣ΑΩ・・・それを、二振りの剣に分割する。


 星の聖剣”虚空”と魔剣”外法”の二振りに・・・


 分割された二つの剣。それを宇宙樹に・・・神霊種の支配領域である精神世界へと放り込む。


 そう、全ては(いず)れ来たるべき時に再び特異点に戦争(たたかい)を挑む為に・・・

全ては、孤独な特異点を救う為に・・・

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