プロローグ
これは無銘の世界の続編になります。どうぞお楽しみ下さい・・・
・・・時代は覚醒の時代を迎えた。人類は皆固有宇宙という名の特殊能力に目覚めた。
人類が皆特殊な能力を持ち、世界は新しく一新される。特殊能力に目覚め、驕り高ぶる者。能力を持て余して困惑する者。能力を隠してひっそりと生きる者。様々な者が存在する。
能力に目覚めても、その能力をどう使うか。どう向き合うかは人それぞれだ。新たな時代を迎え、世界の様相が新しく一新されようとも、それだけは変わらない。
そんな中に、四条アマツという名の少年が居た。彼は至って普通の人間だった。しかし、ある日突然固有宇宙に覚醒した。固有宇宙に覚醒した彼は思う。
———何故、俺はこんな能力に目覚めたのか?
これは、そんな少年を中心にして送る物語である・・・
・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・」
アマツは考えていた。何故、神は人類にこんな能力を与えたのだろうか?と・・・
人類はある日を境に固有宇宙に覚醒し、覚醒した人間は皆特殊な能力を振るう時代。そんな時代を生きるアマツはふと思う。何故、神は人類のこんな不要な能力を与えたのだろうかと。
こんな能力があるから、人類は驕り高ぶる。こんな能力があるから、人は自ら特別と誤解する。
人類は愚かだ。すぐに驕り高ぶる。そんな彼らに特殊能力を与えたのは、端的に失敗だろう。
・・・何故、こんな事を考えているのか?それは。
「アマツちゃんよお!今度こそ年貢の納め時だぜ?」
「・・・・・・はぁっ」
思わず、アマツは溜息を吐く。どうしてこうなった?
目の前には手から炎を出すパイロキネシストの男が居る。その炎は、軽く千度にも匹敵する。しかし所詮は手から炎を出す程度の能力でしかない。そう、所詮は単なる発火能力だ。
その程度の能力なら、純粋にライターや火炎放射器で代用出来るだろう。その程度の能力で、何故彼は得意気になる事が出来るのだろうか?能力など所詮は特殊なだけの能力でしかないのに。
そう、只漠然とアマツは考えた。そんなアマツの表情が気に食わないのか、男は歯ぎしりした。
「そうかよ、そんなに死にたいかよっ!!!」
そう言い、男が炎を此方に飛ばそうとした。アマツは懐に隠しているそれを抜こうと・・・
したその瞬間。アマツは目を見開いた。
何者かにより腕を引っ張られた事で、アマツは耐性を崩す。引っ張られた方向に、倒れ込む。
「・・・え?」
隣を、灼熱の炎が通り過ぎる。しかし、アマツはそんな事が気にもならなかった。そんな程度の事はアマツにはどうでも良い。それよりも、腕を引っ張った彼女の事が気になった。
黒髪に澄んだ青色をした、可憐な少女。そんな彼女に、アマツは心を奪われた。
「・・・えっと、貴女は一体?」
「ソラ・・・。ソラ=エルピス」
彼女は、それだけ名乗った。