嫌われ王女の一生
悲恋物語ですのでダメな方はバックしてください!!
ご指摘頂きました誤字を訂正しました。(6月6日)
私は寂しい王女。
この国に王女として生を受けたからには誰にも頼らず1人でこの国を守っていかなければならない、そう今は亡きお母様から言われた言葉は今でも私の心に刻みつけられている。
だからこそ、私は私なりに頑張ったつもりだった。
早くに亡くなったお母様に変わり、私が正式に王位を継げる年になるまでお父様がこの国の政治を取り仕切った。ただ、お父様はお母様が亡くなった後すぐに国民に苦しい税をかけさせ、自分は朝から晩まで娯楽を楽しむという悪逆非道な政治を平気でするような人だった。
私が王位を継いだ時には既に遅く、王族の信用はガタ落ちどころでは済まずいつ反乱が起こってもおかしくないような状態だった。私はこの国初めての国民から祝福されない女王となった。
それでも、お母様の言った通りに私は頑張った。
まず、お父様の腐った政治を取り壊すべくお父様自身を無理やりこの国の北にある離宮に実質の幽閉として閉じ込めた。そして、お父様の周りにいた下簸た笑みを浮かべて付き従っていた貴族たちの首を次々と刎ねていった。もちろん、役職を解任するという意味の刎ねるもあったがほとんどの貴族は躊躇いもなく本当の首を刎ねた。
そして、私が実際に見て使えると思った貴族達を代わりに置き今までの政治の在り方を根本から変えていった。
この事は周りの国々にも広まっていき、ある国では私は「賢王」と呼ばれまたある国では「狂王」と呼ばれた。今までの腐ったような政治から解放された国民達は私に対して恐れを抱いた。
そうして、表面上は穏やかな日々がこの国にも戻ったのだった。
この国の女王となって早3年、今では政治の一部を担っている無くてはならない存在となった宰相が結婚を勧めてきた。どうやら、私はこの国を変えていくのに必死になりすぎて婚期を逃すところだったらしい。いや、もう逃し気味らしいのだが…
しかし、周りの国々にも恐れられている私にそんな人はいるのだろうかと思ったが隣国の王子が輿入れしてくれることになった。
国民達はその時ばかりは盛大に祝福をしてくれた。この事は忘れられない嬉しかった思い出の一つである。
隣国の王子はとても優しく誠実でそのくせとても泣き虫で強い人だった。私と初めて会ったときも緊張で少し涙目になりながらも色んなことを聞かせてくださった。私は今思えば、これが初恋だったのだろう。私自身も滅多に見せなかった笑顔になり周りを驚かせてしまったのを覚えている。
一年後、隣国の王子と結婚を無事することができた。
結婚後も王子とは仲睦まじくできていたと思う。それは、その
4ヶ月後に身ごもってしまったことからも分かるだろう。初めてできた愛しい人との子供は、今までの荒みきっていた心を洗い流してくれるようなそんな大きな存在だった。その後、生まれた子供の性別は男だったため女王が政治を取り仕切るこの国では王位を継ぐことは出来ないが私なりに厳しくも優しく育てようと決心したのを覚えている。残念ながらその決心はいらないものとなってしまうのだが……
その事件が起こるまで私は女王になりたてだった頃の自分とは違い幸せな日々を送れていたと思う。
その日の夜、今は夫となった王子が執務室に入ってきた。私はまだ政務が終わっていなかったため仕事をしていたのだが、やけに真剣な顔で話がある、と言ってきたので私は訝しげにそれに応じた。王子が話したのは、王子の祖国である隣国がこの国に攻め入ってくるという内容だった。元々王子自身この国に巣食う腐った貴族たちを先に始末するために、いわばスパイとして輿入れしてきたという。しかし、私が先に始末していた為目的が無くなってしまい祖国からの連絡を今の今まで待っていたのだという。その話を聞いた時、私はやはりこういう事だったのかと思った。だから、結婚する前から子供ができた時までどこか王子の様子がおかしかったのだ。特に身ごもった時は少し動揺していたのが気になっていたが、今の話で本当は作るはずのなかった子供が出来てしまったため、そんなに動揺していたのだなと考えがついた。私の不穏な空気に気づいたのだろうか、王子が本当に言いたかったこと、いわば本題を言ってくれた。王子は女王である私がもし前の王の様に腐った政治をしていたのならば即刻手下のものか自分が暗殺しようと思っていたらしいのだ。しかし、実際は国民の為を思って行動しているのを見て次第に心惹かれていったという。子供を身篭ったのも、計画では王子は私が子を身篭らないように何らかの処置をするつもりだったらしいが心惹かれた王子は計画を無視したという。だから、私が子を身篭ったとき嬉しさと祖国にどう言うかで少し焦っていたという。しかし、祖国からの攻めいるという連絡に王子はしたくないというのだ。今のこの国は確かにまだ不十分な所はあるが前と比べて格段に住みやすくなっていると王子は言った。だからこそ、このまま攻めいらなくても王子と私がいれば良き国として上手くやって行けるのではないか、と。しかし、王子の祖国はこの国の国民の意思を尊重しての決断であって国にとって必要不可欠である国民が王族を見限り反乱を起こすと決意したのだから遅かれ早かれこの国は終わっているだろう、それを我々は手助けするだけである、と返してきたらしいのだ。いくら、王子の祖国であったとしてもそればっかりは止めることが出来ないらしくそれならば子供も合わせて3人で違う静かな場所で暮らさないか、といわば駆け落ちのようなことを言ってきた。その申し出は私にとって1番嬉しい言葉だった。内容は不穏な決して褒められたものでは無いだろうがそれほどまで私のことを想ってくれていたのか、と思うと心が熱くなった。
しかし、この国の女王として生きると決めたからにはこの国は私の死を持って完成すると言っても過言ではない。だから、悔しそうに顔を歪めている王子に笑いかけながらそう言った。王子は何も言わずそっと私を抱きしめてくれた。心なしか王子の肩が小刻みに震えており、私より泣き虫でどうするんだ、と以前の私ならば呆れながら言っていたと思うが今は何故だろうか…今まで泣いたことが無かった私が今回ばかりは泣きそうになった。
そうしてその日の夜はあっという間に過ぎていき、私と王子の別れが近づいていくのをやってもやっても減ることの無いこの国の女王としての仕事に忙殺される日々を送っていた。
ついにこの日がやってきたのか……どこか他人事のように感じながら私はベッドから身を起こした。
この一日に何が起こるか私は知っている。
これから、王子と入念に話し合って計画した茶番劇を私はやらなければならない。計画といっても王子との不仲をアピールして、相手側に殺しやすい環境を作るという幼稚な計画なのだが……
今思い返したら、そこまで悪い人生でも無かったのかもしれない。ただ1つ心残りがあるとすれば、生まれてきてくれた私と王子の子供のことである。精一杯の愛情をあげることも出来ず、国の未来のためにいなくなってしまう私を許して欲しい。
荒い足音が聞こえてくる。
喚く声が聞こえてくる。
王子の憎んだような顔が目に映った。
願わくば、もし、もし、生まれ変わりというものがあるのならばその時はあなたと些細なことで笑い合えるような素朴で、だけど幸せな日々を送ることが出来ますように…。
お読みいただきありがとうごさいました!