10 はがれそうなシールでも
想い出は、いつも突然に浮かんでくるものだ
考えだして想いだされるものでもないから不思議
香りや音など、なんらかのきっかけがあるのだけれど
想い出を感じるためには
自分ではないところでフィルターをかけられて
よみがえらせられるような気もしている
そして、頭の中で
セピアやはがれそうなシールのように途切れ途切れのもの
鮮明に透明感があったりするもの
もう少しで破れてしまいそうなシールなのに
色褪せてしまって明確ではないのに
なぜだか強烈だったり
素敵な想い出は
それだけでも美しい
過ぎ去ったことだから
余計に自分の中で美化される
もしかしたら、1のことが
5位の大きさになって
自分の中で、”変えてしまっている”・・・
そんなこともあるのかもしれない
それでもいいのかもしれない
もしもそれが生きる力となるならば
苦悩を知らずにいると幸福を感じることが出来ないことがある
幸福を知らないと、いつまでも感じることが出来ないこともある
それはフィルターの問題ではなくて
経験の問題だと思う
幸福は、上書き保存ではなくて
何度か経験して、積み重なったり交差したものが残るようだ
辛い体験をしてる間は暗闇をさまようだけ
卑屈になったり嫉妬心が出てくる
それでもいいと思う
もがいて苦しむと
だんだん自分が見えてくる
やがて何かをつかんで新しい一歩が始まるものなんだろう
それが1でなく5であってもきっといいんだ