二人でイチャイチャしたいときに家の人がいると…ね。
「ふふふっ。やっぱり空っぽにすれば書けるじゃないですか…。っと、電極の位置が…」
「…」
「ただいま~」
「おかえりなさい。鏡夜さん」
「ええっと・・・誰?」
明日は美しい、黒髪の大和撫子と言うにふさわしい風貌をした、和服の女性を見て固まっている。
しかし、かなしいことに神様に、明日は興味をもたれていないので認識外。もしかしたら明日ちゃんが美しすぎて認めたくないのかもしれない。
「見ていましたら面白い事になっているではありませんか。友人が女になったとは、それで?そのかたはどこにいるのです?」
「ほらここ、ここ。彼、じゃなくて彼女だよ」
隣に立っている明日の肩を寄せると、目がそちらに向いた。どうやら認識してくれたようだ。ほんと、これだからおばちゃんは。
「あら、さきほどのみのほど知らずじゃありませんか。いつのまに。あと、鏡夜さん。心を読める能力を分け与えたのは誰でしたっけ?後でお話しがあります」
やばい、心を読まれてた。今日は明日と一緒に家をでて、明日の家に泊まろう。
ピンチをチャンスにとはよく言ったものだ。
「今すぐ罰が必要ならこの場で下しますがよろしいので?」
「まだ命は惜しいです。すいません」
謝礼時はきをつけの姿勢で上半身との角度が90度になるように折り曲げるのが基本だ、テストにでるので覚えておこう。特に就職の時とかに。
「いえいえ、友人を殺したりなんてしませんよ。ただガムテープで髪の毛をすべてむしり取るぐらいで「誠に、まうしわけありませんでした!」
本日二度目の土下座。しかも今度はフローリングの床に額をぶつけた。後でシップ張っとこ。
「そうですね・・・昨日はコロッケだったので、今夜は和風ハンバーグで、手を打ちましょう」
「和風ハンバーグね、食材もあるし大丈夫。神様には関係ないだろうけど、さすがに朝にコロッケは胃がもたれたしね」
すぐに立ち上がると軽い返事。反省しようとしまいと神様には関係ない。いまが楽しければ良いのだ。僕みたい。将来が心配だ。
「いいですね~、従順な鏡くんは。このままペットにして持ち帰りたい」
そういうと腕に抱きついて来て、頬擦りしてきた。これではどちらがペットなのか分からない。
しかも、さっきは友人とか言っていたのに。神様も僕に似てSなのかもしれない。
あ、でもペットが友達でも良いのか!・・・ペットが友達、何処か悲しい響きだ。
さて、そろそろ会話から置いてきぼりになっている明日を、こっちの世界につれてくるとしよう。きっとついてこれるようになった頃には二度と戻れないだろうが。
「さぁ、おいで明日ちゃん。こっちの世界へ…」
戸惑っている明日を、今だ頬ずりされている腕とは逆の腕で、あやしく手招き、こちらに誘う。
結果、あからさまにやな顔をされたが、しぶしぶといった感じで靴を脱いであがってきた。
「ん。じゃあ二階の僕の部屋にきて。大丈夫、鍵はちゃんとついているから」
「何処がどう大丈夫なのかは聞かないでおくよ。でもはじめて入ったな~鏡夜の家、いつもは俺のうちだもんな」
ささややかなツッコミを入れた後に部屋中を興味深々といったように見回す。
「廊下じゃ見るものなんて何もないよ。はい、ここが僕の部屋」
廊下脇の階段を上がり、正面にある神様の部屋(名目上で、入れてはくれないが、神様が居ることもほとんどない)の前を右に曲がると、扉を開ける。
「うわぁ~・・・なにもないね」
「うん」
その通り棚や机、ベットなど、生活必需品以外に、あまり物が無い。といってもこの部屋は寝るぐらいにしか使わないので当然なのだが。
『カチャ』
「なのに鍵はついてるんだね!」
「うん」
神様が入り終えたので鍵を閉めると抗議にも近い声で突っ込まれた。
その後、鍵の開閉について少し明日とバトった(結局開けっぱなしになった)後、神様はガラにも無く飲み物を持ってくるといって(心を読み笑顔で僕をつねったあと)部屋を出て行った。
「ふっふっふ…物語の中に神様を組み込んで追い出す作戦は成功だ。今の内に帰らせて…」
「どうしたんですか、シュンさん。」
「・・・・?!二重の意味で戦慄したよ!どうしてここに?!それと本名を知れッと出さないでくれるかな?!」
「あら、ごめんなさい。でも今後もしっかり書いてくれないとぽろっとこぽしちゃうかも…。それと私は神様なので物語をいじって最後に出てきましたわ。フフフ…神様って設定にしたのが間違いでしたね」
「くそぉおおおおおおおおおお!!!」