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我の名はシリアスブレイカー!

 しばらく追いかけると、校舎裏で一人突っ立っている明日を見つけた。


「はぁはぁ、追いついた・・・さあ、さっきの続きをしようか!」

 ふざけて後ろから胸のあたりに抱きつくと何かが『ムニッ』とあたった。


 ・・・あれ?人違い?頭が真っ白になった。

 怖くなり、胸から手を離すと、万歳をして、その姿勢で、少しずつ後退する。

 よし!動かない!放心状態で何も気づいていない事を願おう!

 ゆっくりと後ろを向きダッシュしようとした所、腕を捕まれた。


「ひっ!誠にもうしわけございませんでした!どうか警察だけは!」

 振り向くと同時に土下座した。あまりの勢いに地面に頭をぶつけてしまったが、そんなの今は関係ない。機嫌を損ねれば警察行きだ。どうにかしなければ!

 真面目な時は真面目な僕である。


「ぐずっ、うっ、きよ、ぎょうやぁ~!」

 聞き覚えのある声に顔をあげると、明日が押し倒す勢いで抱きついて来た

どうしたんだろう?マジ泣きだし…。


「え?ここでまさかの明日ルート突入?!」

 しかし重い空気は弱毒性のガスより確実に僕に効く。シリアスは御免だ、それが僕様くおりてぃー

「俺、おれ、おんなになちゃったんだぁぁ!」

「へぇ~」

「・・・・え?」


 さすがにその反応には驚いたのか泣きやんで必死に訴えてくる

「だから!俺、女になちゃッたんだよ!」

「うん、なちゃったみたいだね。胸あったし」

「それだけ?!それだけなの?!もっと他に無いの?!」

「はっ!僕としたことがすまない!」

「や、やっとわかってくれたか」

 胸をなでおろしたようにため息をついた。すると視線は当然そこに向かうわけで…

 胸、大きいな。なんか色々詰まってそう。男のロマンとか・・・ロマンとか?ごめん、それ以上の言い回しは知らないや。


「じゃあ、まず婚姻届からだよね。これでやっと二人は結ばれるんだ!」

「違うよ!色々と違うよ!もっと他にあるだろう!」

いったい何が違うと言うのだろうか?それ以外には・・・

「ああ!戸籍の男女を逆にしないといけないね。それじゃないと婚姻届が受理「じゃない!」え?違うの?他に・・・何かあったっけ?」

「驚けよ!驚かない事に対して俺が驚いたよ!」

「だめでしょ!」

「え?な、なに?何か悪いこと言った?」

 明日は何が悪かったかわかっていないようだ、由々しき事態だというのに。


「女の子が、しかも文学系の美少女が一人称俺じゃだめでしょ!せめて運動系なら認めてあげなくも無いが!」

「なんだよ!そんなことかよ!」

「なんだよって、大切な事だよ?だって、これから女の子として生きていくしかないんだから。それとも他に得策が?」

「・・・・おまえ、ゴキブリ以上の適応力だな。普通騒ぎ立てるだろ」

 呆れた様に頭を振る。どうやら落ち着いたらしい。いいことだ。

「そんなことしたってしょうがないし、僕達にとっては良いことだし」

「その達って言うのが気に入らないが、まあ、鏡夜のいうとおりだな」

 落ち着いたからか話がスムーズに進む。それでこそ僕の愛する文学系だ。


「後、大体の予想はついてるしね。そこに落ちているボタンで」

 明日がさっきまでたっていた場所には見覚えのあるスイッチ。

 それはあきらかに形がおかしい。立体なのに平坦に見えて、触るとやっぱりそこにある。色も、こう…。表現できない感じの物が、水の上に絵の具をたらしたようにグルグルと、混ざり合ったり消えたりしている。


 まあ、何が言いたいかというと、人類には到底作り出せない所か存在の理解さえもできないもの、ということだ。

 そして、僕も同じ物を持っている。今は鍵つきの机の引き出しの中だから、抜き取られたと言う事は無いだろう。

「つまりあれでしょ?こう、なんか、神様っぽいのが降りてきて。これ、押してみない?的なことを言ってくるやつでしょ?」

 お、驚いてる、驚いてる。明日ちゃんは表情がころころ変わって可愛いなぁ~。首輪つけておきたい


「俺は愛玩動物じゃないぞ!」

 どうやら心の声が口から駄々漏れだったらしい。仕方ないじゃないか明日ちゃんはいつもの倍、可愛いんだもん。

「大丈夫、大丈夫、痛くしないから。ぐへへ」

「手の動きと喋り方が完全に危ない人だよ!信用なら無いよ!その上無表情とか!怖い!くんな!」

 壁際まで追い詰めると最後の抵抗とばかりに胸の前で手をクロスしてへたり込んだ。もう、完全に女の子だ。


「ん、どうやら僕はSらしい。この状況に非常に満足している」

「それはふんぞり返って言うような台詞じゃないよ!」

「ところでいまさらなんだけど、合格発表見にいかないか?実はそっちの方が、明日ちゃんの事より気になるんだ」

「長年付き合ってきたやつからのその一言はかなり傷つくよ!お前にとっての俺の存在価値ってどれぐらいだよ!」

「ん~とね、世界を敵にまわしても帰ってくる御釣りで宇宙が買えちゃうぐらいかな」

 総額いくらになるかは分からないけど。というか、いくらでもつりあわないけど。


「すごいプレッシャーだよ!・・・でもお前なら戦火の中でも楽しそうに笑ってそうで怖い」

「そりゃ、笑ってるに決まってるよ。それが僕のモットーだから、笑う相手がいる内は笑ってないとね」

 明日は、どう反応していいのか分からないのか、微笑してきた。

 おっと危ない。もうすぐで毒化する所だった。自分の毒で死にたくないし、このまま続ける必要もないよね。


「どう?心に届いた?僕を好きになってしまったら、いつでも告白してくれ」

「はっ、しね~よ。お前と付き合うぐらいならゴーヤ食べる」

 それが明日の中でどれぐらいのハードルかは知らないが、好きでない物だと言うぐらいなら知っている

「ひ、ひどい!僕の純情をもてあそぶなんて!」

 背を向けて走り出そうとすると、また腕を捕まれた。

「まだお前が、俺がこうなった理由を知っているのか聞いてないだが?」

「え?なんのことだい?僕は忙しいんだ。俺俺言ってる奴に用は無いよ」


 しばしの沈黙、明日は睨みを利かせてくるがまったく怖くないので笑顔で流す。

「・・・わ、私がこうなった理由を知っているなら、お、お聞かせ願えませんか?」

 明日は少し苦い表情をしたが、なにかを割り切ったのか、座ったまま上目遣いで聞いてくる。

 っく、すごい破壊力だ!主に理性に大ダメージ。しかし、顔には出さない。僕はツンデレなのだ

「ま、まあ、ギリギリ合格かな。じゃあ、言うと、その神様に僕もあった事がある」

「マジか?!」

 チッ、素に戻りやがって。これは調教が必要だ。


「ああ、受験の結果が気になるな~」

「くぅっ!ほ、本当ですか?それなら何故、何処で、どうやってあったのですか?」

「普通に住宅街を歩いてたら突然ね。理由はわからないけどそのボタンと同じ物を差し出されたよ」

「それで、押したのですか?」

「この僕が押さないと思う?軽い気持ちでポチっさ。お陰で世界は大逆転。友達も減ったし、親にも捨てられたよ」

「・・・さらっとすごいこと言うな。でもどう変わったんだ?お、親に見捨てられるって」


 僕は気にしていないけど、明日にはシリアスな方だったらしい。

 ん?となると、明日に会う前の事は全部シリアスになっちゃうんじゃないのか?それは面倒臭い。

「ん?遠慮しなくて良いよ、僕と君の仲じゃないか。いっそ、体まで踏み込んでも」

 でも、シリアスな空気を壊すのは得意技だ。なずけてシリアスブレイク!


「ああ、ほら、話をずらさない。たまにはシリアスにもならないとただの馬鹿だぞ」

「でも、心の底ではそう思ってないんでしょ?すごい楽しそうに笑ってる。こいつはそういう奴だって」

「っ・・・それが捨てられた理由か?」

 少し驚いたような顔をしたが、自分の状況と照らし合わせて納得したように目を合わしてきた。これは少し、真面目に返さないと嫌われてしまいそうだ。

「察しがはやくて助かるよ。僕は人の心が読めるんだよ。いや、聴けるんだよ。今みたくね」

「はははっ、通りでこれまで色々とジャストタイミングになる事が多いと思った」

「やっぱりね、君はこれを聞いても僕を気持ち悪いだなんて思わなかった。もし思われてたら、舌噛んで死んでたよ」

「・・・俺は今までで最善の思考をしたよ。目の前でしかも自分のせいで死なれちゃ困るからな」

「それが目的だよ。裏切りものは一生人を殺したと思って生きていってもらいたいからね。ははっ」

「お前が友達でよかったよ。いろんな意味で」

「友達なんてそんな。もう夫婦じゃないか」

「じゃない!さあいくぞ!どうせ受かってるのが落ちだろうがな」

「お~!」

この作品は他の2作に比べて更新遅いかもです…。許してね神様!

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