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休日に家を追い出されたお父さんって、こんな感じなのかな?

 僕がソファーに寝っ転がりながら、頭の中で世界中の全女性に呪詛を唱えていると、天井から神様が顔だけを覗かせる。

 そして満面の笑みで、五月蠅いので買い物にでも行って来い。と言い放ち、僕を家から追い出した。


 …僕の家なのに。

「しかもちゃっかり、ビアパパのシュークリームは要求してきたし」

 誰に言うわけでもなくぼやくが、確かに色々な買い置きが尽きかけていたのも事実だったりするので仕方なく家を出た。


 早く帰っても厄介払いされるだけだろうし、ゆっくり回ろう。

…いや、でも明日が心配だ。ついでに言うなら趣味の無い僕は店にいてもすぐに飽きてしまうのだ。あまり長くは回れない。

 しかし、この辺り住宅街なので道のりとして1キロほど離れた駅前近くのショッピングモールまで行かなければならないので嫌でも遅くなるのだが。


 自転車を倉庫から引きずり出すと、跨る勢いそのままに、ペダルをこぎ始める。

 今日は昨日よりも気温が3℃高いと言っていたが、もっと高いのではないかと思うほど、横を通り抜けていく生暖かい風が気持ち良い。


「昨日の身を裂くような冷たい風とは大違いだなぁ~」

 ただでさえ車や人の通りが少ない住宅街。

 午後三時の、普通なら春休み真っ盛りの時期となれば、住宅街を通る細い道路はほとんど僕の独占状態だ。


 結局、駅に向かう大通りに出るまでは人とはまったく合わず、鳥と猫ぐらいしか見受けられなかった。

 どこも出かけているのか。あるいは塀と壁の防音がしっかり働いているのか。響いてくるのは風でどこかの庭の木々の葉がこすれあうような音や、鳥の鳴き声ぐらいで、後は主に僕の自転車の音だけ。


 よく人だけが世界から消えたら。と言う映画や番組があったりするが、案外良いものかもしれない。

 あ、でもそう感じる僕と明日ちゃんも消えているわけか。それはダメだ。


 住宅街が静かだった分、大通りに出ると車通りが多く、五月蠅い。何より排気ガス臭くて気持ち悪くなる。

 ただやはり、歩道には大して人はいなかった。精々小学生ぐらいの子どもの群れが、僕とは対向車線の歩道をどこかに向かって通りすぎていくのを見たぐらいだ。


 そんな人通りも段々と駅に近づくにつれて増えていく。

 ここは三つの路線が合流する駅なのでかなり大きく、そして周りに建つ施設も充実している。

 カラオケ店や、ゲームセンターなどの娯楽店から、ショッピングモールに付属する日用雑貨店から食品店。ホームセンターなどの家具、ペット、専門器具店。果てには病院や市役所、警察署まで、この地域のほとんどがここに集まっているのだ。


 え?病院や警察署をこんな混み合っているところに作るなんておかしいって?

 いや、元々この辺りは田園地帯だったので病院、警察署、市役所などは、その頃からあったものらしい。

 それが証拠にここの病院は昔から農協が仕切っているし、まだ駅の反対側には多くの田んぼや、緑の森が残っている。

 田んぼは持ち主次第だが、森や清い湧き水は守っていこうという姿勢がとられているので、あちらはきっと自然がこのまま残り続けるだろう。


 だが残念なことに、こちらはもうすでに大規模開発の結果、代わり映えのしない風景が並ぶ住宅地帯と成り果てている。

 あの大きな建物や駅のせいでその緑すら、まともに窺うことができないというのは、悲しいものである。

 まぁ、こちら側がこんな状態になったからこそ、市一丸となって自然を守ろうと動いているのかもしれないが。


 しかし、都会っぽさと田舎っぽさを同時に味わえるのも役得ではないだろうか?と思いつつ、未だつぼみ止まりの茶色い桜並木を突っ切って駅前のモールに向かった。

「全く、神様ったら、服が汚れちゃったじゃないか。大体、普通、人間は血を抜いたからって冷静にはならないからね?」

「そうですね。付け加えるなら、普通の人間は脳天ぶち抜かれた後に何事もなく起き上がりませんよね」


「それはそれ、これはこれだよ。それに正気な人間がこんな小説書くと思う?」

「確かに…。シュンさんにはデフォルトで狂気状態が付与されているのを忘れていました」


「分かったならよろしい!」

「え?それで良いんですか?…良いなら良いのですが…」


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