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得意不得意は誰にでもあるよって言うけど、それってフォローしてるつもりなの?

「ごめんね。ボ~ッとしてた。何か用?」

「ん?いや、用とかじゃないんだけどさ。ただお前が一番面白そうかなと思って」

 長身の男がボサボサの髪を掻きながら笑いながら言う。

 あ、長身に見えるのは僕が座ってるからか。

 立ってみたがやっぱり相手の方が身長が高い。

 まぁ、僕は155ぐらいだから小さめなんだけど。ついでに明日は150だ。この人は170未満ってところかな。


「どうした?急に立ち上がって」

「いや、身長がね、どれぐらいかなぁ~って。ズバリ167!どう?」

「残念。中学最後の身体検査で168.9だ。多分もう170いってると思うぞ。どうよ?かけてみない?」

「いや、やめとくよ。今掛けるようなものがないんだ。まぁ、缶ジュース一本ぐらいなら奢れるけど」

「お、いいね。それで十分だ。掛けるものじゃ無くて、かけることが好きな俺からすれば、そっちの方が気楽でいいね」

 その生徒は名前も言わずに「じゃ、」と僕の肩を叩くと、誰と話すわけでもなく、一人席に戻って行った。どうやら本当に僕だけのところに来たらしい。

 僕が言うのも何だが変な奴だ。これが類は友を呼ぶって言うやつだろうか?

 しかしまぁ、暇つぶしにはなったかもね。缶ジュース一本ぐらいなら奢ってやってもいい気分だ。


 パンパン!「これから配布物を配りますので席についてください」

 いつの間にか担任と思われる女教師が教卓の前に立っていた。

 もしかしたら彼は彼女が入ってきたのを見て席に着いたのかもしれない。それはとても普通で面白くないと思う僕はやはりおかしいだろうか?


 既に全員教室には来ていたらしく、皆席が埋まり、名前を呼ばれていく。

 どうやら先ほどの生徒は フルミヤ カケル と言うらしい。自己紹介は後でと言うことで、すぐに書類用紙の配布が始まった。

 楽しい学園生活を送るにあたって?・・・どれだけ楽しませてくれるか楽しみだ。と、嫌味を吹きかけるぐらいしかすることのない僕は悲しい生き物な気がする。

 まぁそのようなくだらない用紙や、補助金などの必要な人には必要な書類などが配られた。

 最後は再度教師直々に、用紙に書いている事などの注意事項を言われると、自己紹介へと移る。


 自己紹介、憂鬱な響きだ。何を隠そう僕はこの儀式が大っ嫌いなのだ。

 まぁ好きな人はそういないだろうけどね。


「え~、では自己紹介に入りたいと思います。出席番号一番 晰卉アキグサ 佳織カオリさんからですね」

 ご丁寧に先生が黒板に漢字で名前を書いてくれている。つまり真横にいるわけだ。

 親切心か何だか知らないが、あまり他人に近づきたくない僕としては傍迷惑な話だと言う事を分かってほしい。


 皆自己紹介は無難にこなしていくので、面白い話など聞けずにすぐに順番が来てしまった。

 明日に視線を送ると親指をグイッと上げてきた。珍しくもどうやら励ましてくれているらしい。つまり僕は明日ちゃんが励ますほど自己紹介が苦手なわけで…。


 来てしまったものは仕方ない、皆と同様に僕も無難に自己紹介を終えるとさっさと席に戻った。

 あ、言っておくけど別に嫌いなだけで下手とかじゃないよ?人並みにはできてると思う…多分。できてるよね、明日ちゃん?

 明日ちゃんに目を逸らされた僕は暫く立ち直れそうになかった。

「…」

「…この頃無言投稿ですね」


「…お仕事辛い…」

「よしよし…」

「うぅう…」

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