一週目月曜日~金曜日
女の子がいる。
ウェーブのかかった金髪。まだ若い。そしてかわいい。
女の子が笑った。
そこで僕は目を覚ました。
・・
・・・・
月曜日。
中々いい夢を見たと思いながら学校へ行った。
緑平「おはよー。」
教室がなんか盛り上がってた。
紀一「おはよう相棒!お前も見たか!?」
緑平「なにを?」
紀一「夢だよ夢!金髪美少女の夢を見たかって聞いてんだ。」
え?
最近よくつるんでる紀一に言われて僕はドキッとした。
緑平「なんで知ってんの?」
紀一「おいみんな!緑平も見たっぽいぞ!」
え?つまり・・
緑平「他にも同じ夢を見た人がいるのか?」
紀一「全員じゃないがな。来てるやつの半分以上が同じ夢を見たんだよ。」
三太「他のクラスでも同じ話題で騒いでるぞ。なんか陰謀を感じないか?」
三太も会話に加わった。
緑平「感じる感じる!宇宙人の侵略とか!」
三太「最新兵器とか!」
紀一「企業がコマーシャル目的で開発したとかは?みんなに同じ夢を見せられるならすげえ金になるぞ。」
てことは・・
緑平「なにか理由があって僕たちが実験台に選ばれたってこと?」
巴「違うみたいじゃ。これを。」
巴が携帯を僕らに見せてきた。
緑平「掲示板?えっ、ここでも金髪美少女の夢を見たって話題だらけだ。」
巴「つまり、少なくとも日本規模で起きてるということじゃ。」
三太「すげー!」
紀一「ネットではどう噂されてる?」
巴「同じ夢を見た者の共通点は、午前0時前に寝てることを突き止めたようじゃ。」
三太「仕事はええ!」
さすがネット。集合知様だ。
新枦先生「ホームルーム始めるぞ。みんな席につけ!」
あ、ニート先生来た。
新枦先生なのだが、語呂がよくてみんなニート先生と呼んでいる。
いじめかなーという話もあったが、先生は”オレの失言も笑って済ますなら構わん”と言ってた。
紬「せんせーも夢見た?」
新枦先生「ああ、金髪の少女だろ?」
天音「やっぱりみんな見たんや!」
新枦先生「世界規模らしいぞ。英語のジェミニ先生が外国のサイトで話題になってるって教えてくれた。」
紬「すごーい!」
新枦先生「それはそうと、今日もジェミニ先生は美しかったぞ。」
世界中のみんなが見たんだ!
これは大事件の予感。
・・
・・・・
火曜日。
さすがに今日は金髪美少女の夢は見なかった。
テレビでニュースには・・なってないな。
学校行こっ。
緑平「はよーっす。」
紀一「緑平お前見たか!?」
なにを?
緑平「見てない。」
紀一「さすがに無理だったか。」
緑平「ちなみに何を?」
巴「これじゃ。」
携帯・・また掲示板?
なになに・・え?夢で現れた子の目撃情報!?
現実で出会えたの?
巴「世界中で多数の報告が上がっておる。夢の少女を見かけるが、追いかけると見失うそうじゃ。」
緑平「昨日は夢で、今日は現実に現れた・・なんでだろう?」
紀一「企業のコマーシャル?」
緑平「世界中だぞ。どうやってんだ?」
紀一「・・AR技術を改良してさ、肉眼で見えるようにしたとか。」
AR(拡張現実)か。
現実にバーチャルを重ねてあたかもそこに存在しているように見せる技術だっけ。
モンスターを集めるゲームとかで使われていることは有名だ。
肉眼で見えたらもうホログラムと変わらないな。
巴「それでは夢に現れたことは説明できんぞ。」
紀一「それはまた別の技術だと思う。無線電波で夢を見せたとか。」
新枦先生「見えないだけでそこら中に電波飛んでるからな。先生が子供の頃は携帯の電波が体に悪いなんて言われたもんだ。」
先生来るの早い。
巴「おはようございます。」
紀一「ちっす。」
緑平「おはようございます。」
新枦先生「おはよう。一名成績が下がるが気にしなくていいぞ。」
紀一「いやー!」
新枦先生「実は先生”A GIRL”を見たんだ。」
A GIRL?
緑平「A GIRLってなんですか?」
新枦先生「なんだネット見てたんじゃないのか?夢に出て来た金髪少女のことだよ。」
ネットじゃそんな名前になったのか。
紀一「見たって今日ですか?」
新枦先生「そうそう。通勤中にふと車道を挟んだ向こう側で歩いてるのを見かけて追いかけてみたんだ。」
巴「どうなったのじゃ?」
新枦先生「ネットに書かれてる通り。オレは曲がり角で見失った。」
紬「大ニュース大ニュース!」
紬わめきながら教室に入って来た。
新枦先生「こら!廊下は走るな。」
紬「それよりジェミニ先生が外国のサイトを見てくれたんだけど、A GIRLに懸賞金がついた!」
紀一「いくら?」
紬「100万ドル!」
巴「1億円以上じゃな。察するにアメリカの富豪あたりかのう。」
三太「1億!?一生遊んで暮らせる!」
新枦先生「1億じゃ無理だな。遊んで暮らすなら月50万として年600万。17年目で金が尽きる。」
たった17年?
三太「1億しょぼ!」
紀一「慎ましく生きたら?」
新枦先生「そうだな・・仮に月15万として年180万。56年目で1億超える。」
さすが数学教師。計算早いなぁ。
新枦先生「贅沢しないなら1.5億で死ぬまで生活できるかな?」
新枦先生「でも覚えておけ。金を持つと使いたくなるからな。」
巴「実体験かのう。」
新枦先生「宝くじで20万くらい当たったことがあってな・・ミニロトの2等で。」
新枦先生「ま~無駄な使い方したわー。」
三太「20万って・・しょぼすぎるだろ。」
紀一「もし20万臨時収入があったら、オレたちだってゲーム買ったり漫画買ったりすると思う。」
緑平「欲しいものとかとりあえず買っちゃいそう。」
20万ならまず携帯買い替えて、あータブレットも欲しい。
VRもやってみたいしゲーセンで残金気にしないで遊んでみたいし・・
僕って強欲?
紬「20万あればライブ行きまくりたい!」
巴「わらわならペットのおもちゃを買うかのう。」
紀一「ヴぇ?」
新枦先生「ま、A GIRLを捕まえないことには始まらないけどな。」
新枦先生「そろそろだな・・ホームルーム始めるぞ!席につけっ。」
1億かぁ。ほしい。
・・
・・・・
水曜日。
飛び起きた僕は携帯をチェック!
ネットはA GIRLの話題で溢れていた。
新たな情報は・・A GIRLの目撃情報。
ただし、A GIRLには白い羽が生えているようだ。
・・なんか嘘っぽい。
同じ目撃情報がたくさんあるけど、コスプレ?いやまさか。
あ、しまった学校行かないと!
僕は慌てて動き出した。
緑平「おはよー。」
紀一「おっはよう!聞いてくれよ相棒!」
緑平「なんだ?相棒。」
紀一「オレ会ったんだよ!A GIRLに!いやあれは天使だ!!!」
白い羽で天使か。
・・宗教かな?
緑平「いつ?」
紀一「学校来る途中でだよ。白い羽をまとい、空を飛んでたんだ!」
紀一「でな、オレを見てウィンクしてくれたんだ。もうむっちゃかわいかった!」
巴「ネットにも同様の書きこみが多数ある。」
紀一「いやー緑平は残念だったなぁ。むっちゃかわいかったぞー。」
むぅ、うらやましい。
巴「動画が上がっておる。」
紀一「みーせーて♪」
小さい携帯に僕たちが顔を近づける。
あ・・巴の顔が近い。ちょっとドキドキ。
動画は途中からだった。
―――――
女「A GIRL?え?本物?」
?「・・」
A GIRLは人差し指を口にあてた。
内緒ってことか?
そして去って行く。空へ。
撮影者がなんかわめいている。
A GIRLが見えなくなって撮影は終了した。
―――――
紀一「うおおマジ天使様だ!」
緑平「・・合成じゃないの?」
巴「解像度に不審な点はなく、動画に加工された形跡もないようじゃ」
紀一「本物だよ!天使はいたんだ!第一オレも会ってるしな!」
天音「うちも会った!天使ちゃんマジ天使ちゃんだった。」
天音が会話に入って来た。
紀一「お前も?かわいかったよなぁ。」
天音「フランス人形みたいだった!」
緑平「かわいいけど、僕はジェミニ先生の方がいいな。」
巴「・・」
綺麗な黒髪なのと、なんか妖しい雰囲気がそそられる。
新枦先生「だよな!ジェミニ先生素敵だよな。」
先生最近来るの早くないですか?
天音「はよーん。」
巴「おはようございます。」
紀一「グッドモーニン!」
緑平「おはようございます。」
新枦先生「おはよう。ああ、言っておくが教師と生徒の恋愛は禁止だ。よく覚えておくように。」
先生が僕の両肩をバンバン叩く。ちょっと痛い。
紬「光の速さでおはようございます!懸賞金アーップアーップ!」
新枦先生「こら、廊下を走るな!」
紬「ジェミニ先生から海外のネット情報教えてもらってきた♪」
新枦先生「まずは話を聞こうか。みんな静かに!」
天音「懸賞金が上がったって?」
紬「なななんと!一千まーんドル!」
昨日から10倍に跳ね上がった!
巴「10億円以上じゃな。宗教関係者か?」
紬「熱心なキリスト教徒みたい。宗教ってすごいね、そんな大金出せるんだもん。」
三太「10億と聞いてやって来ました。オレがもらえるの?」
紬「あんたじゃ無理。天使を捕まえるんだよ?」
三太「祈ればいい。天使様、この憐れなオレをお救い下さい。10億あれば余裕で幸せになれます。」
紬「ねぇせんせー。10億あったらどれくらい贅沢できる?」
新枦先生「月100万使い続けると、80年で9億6000万使うことになる。」
三太「うっひゃ使い切れねえ!」
新枦先生「税金がかかるから10億もらってもそのまま使うのは無理だぞ。」
紬「せんせーは10億あったら何に使う?」
新枦先生「そりゃあ・・ジェミニ先生をデートに誘うかな。」
天音「10億ちらつかされたらOKしちゃうやん。」
紀一「巴だったら何に使う?」
巴「額がでかすぎるからのう・・死に金にするのは惜しいし、人に貸すか投資するのじゃ。」
そう言ってにっこり笑った。
うーん、これはみんなにっこりな模範解答。
・・
・・・・
女の子がいる。
ウェーブのかかった金髪。白い羽が見える。
女の子がこちらへ近づいてきた。
?「今日一番人助けをした人のところへ行くわ。」
そこで僕は目を覚ました。
・・
・・・・
木曜日。
ネットもテレビも慌ただしかった。
ついにテレビもA GIRLのことを報道し始めた。
新聞はまだ小さな記事だけど、明日には大々的になるだろうな。
ふふふ、なんか誇らしい気分。
さあ学校へ行こう!
緑平「おはよー。」
紀一「お前も見たか?」
緑平「夢なら見たよ。テレビもネットもその話題でもちきりだな。」
紀一「く~、A GIRLに会いたいなぁ。でも一番人助けした人なんて、金持ちが有利過ぎだよな。」
巴「お主が宗教家だったなんて初耳じゃな。」
紀一「いや違うが、天使とか伝説上の存在じゃん!興味くらいはあるって。」
緑平「ただのミーハーかな?」
紀一「会えるなら信者になってもいい!」
巴「ネットには信者がたくさん現れておる。お主も参加すればよい。」
紀一「違うんだよ。あれこそミーハー、一過性の流行りってもんだ。」
緑平「じゃあ信者になったらどうするんだ?」
紀一「A GIRLと結婚したいな。」
完全にミーハーっぽい。
というか種族違う気がするけど大丈夫なんだろうか?
紬「やまびこより響き渡るおはよう!で有名な紬ちゃん登場!」
巴「おはようじゃ。今日も元気じゃの。」
緑平「今日もなんか情報仕入れて来たの?」
紬「あったり~。ジェミニ先生情報!朝から人権団体への募金がもんのすごいんだって。」
紀一「なんてやつらだ!そいつらは人助けに興味なんてなくて、天使に会いたいだけだろ!偽善だ!」
お前もまぁ・・少なくとも行動するだけお前よりましかなーと。
巴「予想はできるオチじゃな。A GIRLがそれを狙っていたとしたら・・」
紬「人を導いてるよね。さすが天使!」
紀一「オレだって金さえあれば・・」
巴「A GIRLはお金で人助けを競えと言ったわけではないぞ。」
巴「本物の天使なら、公平に評価してくれるのでは?だがここで腐っているお主を天使が見たらどう思うか考えるのじゃ。」
紀一「・・その通りだ!オレはオレのできることをやればいいんだ!」
巴「世話の焼ける幼馴染じゃ。」
紀一「緑平!学校なんて抜け出して人助けに行こうぜ!日本にだって困ってる人はいる。ひとりでも多く助けるんだ。」
バシッ。
新枦先生「オラくだらないこと言ってないで席につけ。人助けは学校終わってからにしろ。」
紀一「でもそれじゃあA GIRLに会えません!」
新枦先生「A GIRLだって、自分のやるべきことをしっかりやった上で人助けしてくれる人を評価すると思うぞ。」
紀一「こんの天使の名を騙る邪教徒が!成敗してくれる!」
バシッ!
新枦先生「席につけ。」
紀一「はい。」
緑平「人助けは放課後な。」
紀一「いや、学校内にも困っている人がいるかもしれない。勝負は休み時間だ!」
巴「迷惑な生徒がいると先生方も困るじゃろうな。」
紀一「よし、オレが解決・・まてそれってオレのことか?」
自覚しているならなにより。
・・
・・・・
紀一「さあ休み時間だ!困っている人を助けようじゃないか!」
緑平「具体的には?正直僕たちレベルの困りごとって、教科書忘れたとか、ゲーム買うお金がほしいとかじゃない?」
巴「そうじゃのう。いじめなど切実な悩みがあったとしても、無関係な者に頼るとは思えぬ。」
紀一「・・緑平さ、ちょっと窓から飛び降りてみない?オレが助けてやるから。」
緑平「マッチポンプじゃ意味ないって!」
巴「素直にゴミ拾いとかやればいいのでは?」
紀一「その程度でA GIRLに会えるわけないだろ!」
緑平「いやまって。みんなそう思うかもしれない。なら敢えて他の人がやらないしょぼいことをやる方が目立つかも。」
紀一「・・隙間産業みたいなものか。よし緑平行くぞ!まずは廊下のゴミ拾いだ!」
緑平「おう!」
廊下には、ゴミ拾いや清掃に精を出す生徒で溢れていた。
緑平「・・みんな考えることは同じだな・・」
紀一「・・偽善者どもが・・」
僕たちも似たようなもんだって。
・・
・・・・
昼休み。
紀一「人助けするぞ相棒!」
緑平「おうよ相棒!」
紀一「授業中考えたんだけど、みんなと同じことやってたらダメだと思うんだ。」
緑平「まずは真面目に授業を受けよう。」
紀一「それは置いといて。」
置かれた!?
紀一「みんな勝手にやってるだろ?オレたちは先生に許可とってやるというのはどうだ?」
緑平「先生の手伝いをするってこと?」
紀一「内申も上がって人助けになって一石二鳥。これならA GIRLも注目!」
緑平「まぁお前がそれでいいなら・・」
紀一「早速ニート先生のところへ行くぞ相棒!」
緑平「純粋な人助けとは違うと思いつつ了解だ相棒!」
僕たちは職員室へ向かった。
・・
・・・・
新枦先生「は?手伝い?別にいらんから勉強でもしてろ。先生は忙しいんだ。」
紀一「オレがA GIRLに会えなくてもいいんですか!?」
新枦先生「うん。」
紀一「教師のセリフとは思えん。」
ジェミニ先生「あら珍しいわね。新枦先生に用事?」
緑平「あ、ジェミニ先生。」
新枦先生「スイートマイエンジェル!」
セクハラで訴えられたら100%負けそう。
緑平「みんなとは違う人助けがしたくて、先生の手伝いをしようかと聞きに来たんですが・・先生忙しいみたいで。」
ジェミニ先生「なら少し大変だけど、校舎裏に花壇作りたいの。草むしりお願いしていいかしら?」
紀一「オレたちに任せてください!」
新枦先生「任せてください!」
先生・・忙しいんじゃないの?
五時間目の授業が変更された。
新枦先生主導で花壇づくりが行われた。
紀一「これでA GIRLと結婚・・」
巴「種族違うと役所は受理せぬと思うぞ。」
大事なのはそこじゃないよね?
・・
・・・・
女の子がいる。
ウェーブのかかった金髪。白い羽。
笑顔でこちらを見ている。
かわいい。
?「ありがとう。おかげで世界は少し優しくなったわ。」
?「でも私はなにもしていない。みんなの力で世界は変えられるの。」
?「ふふ、約束通り一番人助けをした人に会いに行くわ。待っててね♪」
僕はそこで目を覚ました。
・・
・・・・
金曜日。
朝早く目を覚ました僕はすぐネットを確認した。
お前らも同じ夢を見ている。なら本当に誰かの元へA GIRLが・・天使が降臨する。
世界は変わる。
そんな気がしながら学校へ行く。
緑平「おはよー・・紀一は?」
巴「今日は家で天使を待つそうじゃ。」
マジ?来ると思ってるのか。
三太「いいのかあ?そんな休み方。ぶっちゃけオレも休みたい。」
緑平「うーん、どうなんだろう?」
巴「わらわは良いと思う。」
三太「だよな!じゃあオレらも休んでカラオケでも行こうぜ。」
巴「いや、行かぬ。」
三太「いいじゃん別に。あ、なんならオレがおごるよ♪」
巴「紀一はA GIRLに会うという意志を貫こうとしておる。」
巴「人間はロボットではない。他のすべてを犠牲にしてまで学校へ行くことが正しいとは思わぬ。」
巴「あやつの行いと、お主の遊びを一緒にするな。」
三太「・・なんだよお高く留まりやがって。いいよもう誘わんから!」
三太はぷりぷりしながら席に戻った。
巴「無論、紀一には自宅学習してもらうがの。」
緑平「まぁそこまでがんばるんなら、天使が来るといいな。」
巴「ああ・・お主はそこまで会いたいとは思わぬのじゃな。」
緑平「僕は別に・・昨日さ、放課後も紀一と外に行ってゴミ拾いしまくったけど、あんなんで天使に会えるとは思わないよ。」
巴「相手が天使なら、信じることが大切じゃぞ♪」
緑平「うーん・・それでも紀一みたいに信じる気にはならないな・・」
巴「だが期待はしているのじゃろう?お主も紀一と一緒に人助けしたのだからのう。」
緑平「う・・」
来たらどうしようかなーとかはまぁ・・そりゃあね・・
天音「あんれー?珍しいカップルやん。紀一くんは?」
巴「A GIRLを自宅で待つそうじゃ。」
天音「マジで!?来るの!?」
巴「すべては天使次第じゃろうな。」
天音「ふーん。ところでさ、巴ちゃんは紀一くんと付き合ってるん?」
巴「は?」
天音「幼馴染なんやろ?よく一緒にいるし。」
天音「いやなー、巴ちゃんが先輩に告白されてるの見た人おるねん。そん時に言ったんやろ?好きな人がいるって。」
え・・知らなかった。
そりゃ美人だし頭もいいし、もてるだろうなぁとは思ってたけど。
金持ちだけど、金にものを言わせたりしないし。
天音「好きな人って紀一くん?」
巴「いや違う。他の人じゃ。」
天音「じゃあ緑平くん?」
巴「そのうち当てられそうじゃな。これ以上は言わぬ。」
天音「じゃあさ、今度こっそり教えてよ。うちの好きな人も教えるから♪」
巴「悪いが言えん。」
天音「えー。」
巴「本気で好きなのじゃ。その人のことを想うと胸が苦しくなる。その人のためならなんでもしたくなる。」
巴「ずっとそばにいたい、愛されたい。だが一方的な気持ちは迷惑じゃろう?」
なんか・・聞いてるこっちが恥ずかしくなる。
普段は真面目でしっかりしていても、好きな人の前だと変わるのだろうか。
天音「巴ちゃんに好かれて迷惑や思う人なんていないってー。」
・・なんとなく、クラスのやつらがこっちを気にしているような・・?
天音「絶対うまくいくから。うちが保障する!」
巴「なんと言われようと内緒じゃ。」
紬「わーたーしーも、気になる!」
あ、紬まで来た。
巴「内緒じゃ。」
紬「緑平くん!アイデア出して!」
緑平「・・なんで僕が?」
紬「気になるでしょ~?」
緑平「まぁ、気になるかと言われれば気になるけど・・」
巴「お主もそういうの気にするのか?」
緑平「僕たちの歳なら大体気にするもんじゃない?」
紬「ほらアイデア出すんだ!最近よく巴ちゃんと一緒にいるじゃん。弱点知ってるでしょ?」
いや知らんけど。
緑平「紀一つながりでよく一緒にいるだけだよ。」
緑平「・・紀一ならなにか知ってんじゃない?」
紬「紀一くんは?」
緑平「今日休み。」
紬「は~つっかえ!仕方ない、最終兵器発動!」
紬は教室を飛び出していった。
・・が、すぐ戻って来た。ジェミニ先生を連れて。
ジェミニ先生「あの?」
紬「最終兵器ジェミニ先生!さあ巴ちゃんの好きな人を暴くのだ!」
ジェミニ先生「あらあら。」
紬「あれ?」
ジェミニ先生が紬を窓際まで連れて行く。
そして窓から落とそうとする。
紬「じぇ、ジェミニ先生!?わわわ落ちる!!!」
ジェミニ先生「人の嫌がることはしちゃダメよ。わかった?」
紬「わわわわかりましたぁ!」
ジェミニ先生「代わりに私の好きな人を教えてあげよっか?」
紬「え?誰誰!?」
天音「気になる!」
新枦先生「うおうおうおうおうお!」
あ、ニート先生が口をパクパクさせてる。いつ来たの?
ジェミニ先生が・・僕のすぐそばまで来た。
ジェミニ先生「緑平くん♪」
緑平「え?」
紬「マジー!?」
天音「大ニュース!」
新枦先生「緑平退学、っと。」
巴「あの・・本気ですか?」
ジェミニ先生「ええ。超がつくほど優しくて、バカがつくほど真面目な人がかわいくて好きなの。」
ジェミニ先生「そう思わない?」
巴「・・」
ジェミニ先生「そろそろホームルーム始まるわね。じゃあ私は行くわ。ふふ・・」
ジェミニ先生は教室を出て行った。
紬「ちょっとびっくり~」
緑平「まぁ、僕も。」
天音「人の好みってわからんもんやね。」
新枦先生「調子に乗るなよ。」
僕に非はないよね?
でもまぁ、美女と野獣みたいなもの?
ってそこまで僕ひどくないから!自分で言ってなんだけど。
新枦先生「なんでそんな話になったんだ?」
紬「巴ちゃんの好きな人が誰か聞いてたの。」
紬「ジェミニ先生ならうまく聞き出してくれると思ったら怒られた><」
新枦先生「へー。お前好きな人いたんだ。」
巴「・・まぁ。」
新枦先生「誰なんだ?先生の知ってる人か?」
緑平「ちょっ先生ダメですよ!」
新枦先生「ああ?ジェミニ先生に気に入られてるからって調子に乗るなよ!」
緑平「好きな人の話とかナイーブなことは、問題が起こらない限り先生は立ち入らないでください。」
新枦先生「そんなに退学になりたいか?」
緑平「ジェミニ先生も人の嫌がることはしちゃダメって言ってましたよ。」
新枦先生「よーしホームルーム始めるぞ~♪」
なんとなく扱い方がわかった気がする。
・・
・・・・
学校が終わり、放課後になった。
・・紀一のところにA GIRLは来たかな?
無理だろと思いながら、僕は電話してみた。
紀一「まだ今日は終わっていない!」
来てないみたい。
ネットにも来たって情報はいまいち・・自称来たって人はちょいちょいいるけど。
新枦先生「あれ?お前まだ帰ってなかったのか。」
緑平「ちょっと電話してました。」
新枦先生「お前マジで調子に乗んなよ!」
緑平「え?」
新枦先生「あ~ジェミニ先生はなんでこんなやつなんか・・」
ジェミニ先生「あら呼びましたか?」
新枦先生「じぇじぇじぇジェミニ先生!」
偶然廊下を通りがかったのか、ジェミニ先生もやって来た。
新枦先生「いやその、きょ、教師と生徒の恋愛はいけないと思います!」
ジェミニ先生「ああ今朝の・・ふふ、弟と恋愛はしませんよ。」
新枦先生「弟?」
ジェミニ先生「緑平くんって弟みたいでかわいいなぁって。」
新枦先生「弟・・いやぁそうだったんですか!うん、いいですよね弟!ははははは。」
ニート先生が僕の肩をバシバシ叩く。
痛い。
新枦先生「オレのことお兄さんって呼んでいいんだぞ。」
緑平「お断りします。」
ジェミニ先生「それと・・緑平くんちょっと耳貸して。」
はい。
ジェミニ先生「(巴さんって緑平くんのことが好きなのよ)」
緑平「!?」
ジェミニ先生「(だからね、ちょっと巴さんに刺激を・・ね)」
それって・・え、本当?
新枦先生「な、な、内緒話とかずるい!」
ジェミニ先生「ふふ、うわさの天使のことを話してたの。」
ジェミニ先生「あんなの信用しちゃダメだって。」
新枦先生「そうですよね!天使とかありえないですよね!」
ジェミニ先生「(にっこり)」
緑平「でもおかげで人助けする人が大勢出たんじゃないですか?やってることはいいことのような。」
ジェミニ先生「すぐわかるわ。」
はぁ・・。
ジェミニ先生「そうそう、もうひとつ緑平くんの気に入ってるところがあったわ。」
ジェミニ先生「自分をしっかりもってるところ♪」
そう言って、ジェミニ先生は行ってしまった。
新枦先生「オレも自分をしっかりもってるよな!」
さぁ。
・・
・・・・
帰ろうと昇降口へ行くと・・巴がいた。
緑平「そっちも帰り?部活まだ終わってないよね?」
巴「調子がいまいちだったのでな、今日は早目に帰らせてもらった。」
緑平「大丈夫?ちゃんと帰れる?」
巴「帰るくらいは平気じゃ。」
・・ジェミニ先生があんなこと言ったから気になってしまう。
ごくっ・・
もし本当だったら・・エロいことしたい!
巴「どうした?心ここにあらずといった感じじゃが。」
緑平「ああいや別に!うん、なんでもないなんでもない。さあ帰ろうか。」
巴「帰るのはよいが・・手と足が同時に出ておるぞ。」
緑平「え!?そそそそういう日もあるよ。」
巴「・・熱でもあるのか?」
巴がおでこをくっつけて来た。
か、顔がめちゃ近い!
巴「熱は無さそうじゃな。」
こ、これが好きな相手にすることか?
本当に好きならこんな簡単に額と額をくっつけたりできないよね?
・・ジェミニ先生に担がれたのかな・・
緑平「本当に大丈夫だから。心配してくれてありがとね。」
巴「もしかして紀一がいなくて調子狂ったか?」
緑平「そうかも。」
巴「ではあやつのお尻を叩いておこう。月曜はちゃんと学校に来させる。」
緑平「さっき電話したらA GIRLには会えてないみたいだったよ。諦めてはなさそうだけど。」
巴「そうか。では慰めるのは緑平に任せるとしよう。」
緑平「僕?」
巴「男同士の方が気持ちがわかるのではないか?」
どうだろうな。
緑平「明日にでもまた電話してみるよ。とりあえず今日いっぱいは諦めないって言ってたし。」
緑平「もしくは他の人のところにA GIRLが現れたらかな。」
巴「そうじゃな。それがよい。」
交差点に来た。
巴とはここから帰り道が違う。
巴「わらわはこちらじゃ。また月曜会おうぞ。」
緑平「うん。さようなら。」
・・
・・・・
あー。巴が僕のこと好きとかやっぱないよなぁ。
ジェミニ先生のせいで気になりっぱなしだよ。
期待しただけ後で辛いだけなのにさ。
・・え!?
向かいから来るのは・・・・A GIRL!?
?「こんにちは。」
緑平「ここここんにちは!」
まさか僕のところに来た?僕が・・選ばれた人間?
いや落ち着け。そっくりさんかもしれない!
ぐいっ。
胸ぐらを掴まれた。これって、不良漫画でよく見る敵対行動?
?「お姉様に気に入られたからって調子に乗らないで。」
?「人間如きが。」
・・え?
A GIRLはスタスタと行ってしまった。
A GIRLがいなくなるまで僕は呆然としていた。
・・
・・・・
家に帰ってネットを確認する。
もし、あのA GIRLが本物なら・・他の誰のところにも現れないはず。
・・が、A GIRLに会ったという人が現れたみたい。
ということは・・やっぱりさっきのは偽物か。
紀一に電話するか。慰めてやらないとな。
紀一「しゃあない。きっとオレは次点くらいだったんだ。」
電話したら、中々のポジティブシンキング。
紀一「それよりネット見たか?かなり衝撃的な話をしたみたいだぞ。」
緑平「衝撃的な話?」
紀一「なんでも・・世界が滅びるとかそんな話。」
・・超衝撃的やん!
緑平「マジ?」
紀一「マジだぜ。なんてったって天使のお告げだからな。ネット中で大騒動になってる。」
スレのタイトルしか見てなかった。
紀一「日曜に続報があるらしいぞ。お前も調べてみろよ、色々わかるから。」
緑平「ああ。そうしてみる。」
電話を終え、ネットを確認してみた。
すげえ、ヘッドラインの大半がA GIRL関連だ。
全部確認なんてできそうにないな・・まとめの方へ行くか・・?
とりあえず見てみる。
72 名無しの@紫式部 XXXX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:agf4ehaoe0
>>57
世界が滅びたらみんな死ぬ
73 名無しの@紫式部 XXXX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:rgbrgnorm0
宇宙へ行こう!
74 名無しの@紫式部 XXXX/XX/XX(X) XX:XX:XX.XX ID:buburibbo0
>>73
金持ちは既に脱出済み
お前まだ地球にいるの?
みんな世界が滅ぶ前提で話が進んでいる。
宇宙とか行けるのかな・・?
色んなサイトを見て・・とりあえず情報をまとめてみた。
1.世界が滅ぶ
2.続報は月曜
3.金持ちは宇宙に避難済み
4.金持ちはシェルターに避難済み
5.世界を救う聖剣がある
6.入信すれば救われる詐欺発生
7.メテオが降って来る
8.滅びるのは1年後
9.滅びるのは10年後
10.滅びるのは100年後
こんなもんかな。
情報が錯そうしているし、細かいものまで入れればもっとあるけど。
死ぬ前にお金を使い切るとか、仕事やめて死ぬまでゲームするとか。
そういう個人的なものは除外した。
・・んー、まだよくわからないな。
とりあえず日曜の続報待ち?
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