死を招くチャンス
こどもリンクが早めに解放されて嬉しいです。
でも全然ファイターが解放されないです。
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……いってぇ。
一体、何がどうなったんだ?
黒く染まっていた視界が徐々に鮮明になり、目のまえには巨大なデカブツがオレたちを睨みつけていた。
そうだ、思い出したぞ。オレたちはオーガの親玉であるこいつとの戦いの途中でやられ、意識を失ったんだ。
周りを見ると、新入りもキードも隊長もリモコもみんな地面に倒れ込んでいる。何でやられたかなんてもう覚えていないが、かなりヤバいことに変わりはなさそうだ。
待てよ、竜がいない。あいつはどうなった?まさか、こいつにやられた?
竜は普通の人間じゃない。オレたちよりも遥かに優れた身体能力を持っている。そんなあいつが、やられたのか?このデカブツに?
「そんなの…」
そんなの、勝てるのかよ。
思わず口からそんな言葉が出そうになる。だが、オレの体は自分の意思とは無関係にオレの顔を殴った。
バカ、そんなわけあるか。竜がそんな簡単に負けるわけがない。今はきっとどこかで策を練っているんだ。考える時間の長いあいつのことだ。そうに違いない。
だとしたら、オレはあいつを待たなくてはならない。あいつがいる限りオレ達は負けない!
「うぉぉぉぉっ!」
自分を鼓舞するために大きな声を出し、足首の近くを狙って思い切り殴る。だが、こいつの体はとても固く、まるで金属を殴ったような感覚だった。肝心のデカブツはオレをちらりと見ると、まるで虫を踏み潰すかのように足元のオレを狙ってきた。
こいつの動きはあまり早くないが、攻撃時の衝撃と振動がシャレにならないくらい辛い。直撃を避けることはできるものの、その衝撃がオレの足を取り足元がぐらつく。
危ねぇ。思い出してきたぞ。さっきもこんな感じで腕を払った時にやられたんだ。
「まずは何とかして動きを封じないとな…」
とは言ったものの、全く策が思いつかない。手足を封じるにもそんな耐久力のある縄や鎖なんてあるわけないし、やはり前と同じく目を狙う方が良いんじゃないか。だとすると今度はどうやって目を狙おうか。ジャンプじゃ届かないし、石を投げるにも、前より距離があって上手く投げれるか自信がない。あまり目を狙うとこちらの目的に気付かれる可能性がある。
待てよ。こいつほどの体重があれば地面や壁に足を埋めることができるんじゃないか?思い切りジャンプさせたり、壁を蹴らせたりすれば……。
試してみよう。オレは再びデカブツの足を殴って視線をこっちに向けさせると、ゆっくりと岩壁の方へ歩き、狙いを壁に向けさせる。
ずんずんとデカブツは壁との距離を詰めていく。やがてオレを仕留めようとしたデカブツは堅く拳を握り地面に向かって打ち付ける。違うそうじゃない。もっと壁を狙ってくれ!
空中ではまた風圧に吹き飛ばされる可能性があるため、地上で回転し拳を避けて足元のぐらつきに耐えると、今よりももっと岩壁に近づいてよりデカブツをおびき寄せる。さぁ、オレを殴れ!蹴りでもいいぞ!
思いが通じたのか、デカブツは再び拳を握りその右手を大きく引いた。長い溜めの後、その大きな拳はオレごと壁へ放たれる。再びその拳を避けると、大きな拳はメリメリと壁へめり込んでいった。
今だ。前のめりになり、更に右手がはまっている今なら、ぎりぎり飛んで顔を攻撃することができるだろう。そう踏んだオレは思考通りに跳躍し、その顔を狙って飛び蹴りを入れようとした。
だが。
まるでそれを読んでいたかのように、デカブツは目の前に飛んできたオレを頭突きで叩き落とした。不意を突かれた行動に対応が遅れたオレは、受け身を取ることも忘れ、凄まじい衝撃に襲われた。
「がはっっ」
血が口から出てきた。痛ぇ。内蔵のどこかがやられたのだろうか。
息ができない。その割に意識だけははっきりとしていて、痛みだけはしっかりと感じる。
デカブツは壁から右手を引っこ抜き、怒りに狂った目をしている。この体では、どんな攻撃も避けることができない。
デカブツは全く動かないオレを踏み潰そうと足を上げた。じわじわと目の前に足が来る。やけにスローな光景だった。
悪い、竜。もうちょっと頑張れると思ったんだけどな。
そこでオレの意識はブラックアウトした。
意識が消える前。
朧げだが何かのシルエットを見た。
はっきりとは覚えていないが、あれは恐らく。
血にまみれた竜人の姿だった。




