在りし日の記憶の
初投稿作品ですので、読みにくいなどあるとは思いますが楽しめていただけたら幸いです。
物語の序章にあたる部分です。本編は次話から始まります。
走っている。1人の少年が路地裏を走っている。まるで何かを探しているかのように辺りを見回しながら息をきらせて走っている。走り続けていた少年がふと、立ち止まる。その視線の先にはそれまで何故か向かうことのなかった通路がのびている。この先に進むことを無意識のうちに避けていたかのようでもある。しかし、少年はその通路へ駆け出していく。そうして、その先に探し求めていたものを見つけた。いや、正確に言えばそれはものではなく人であり、さらには知らない男もそこにいた。
「***!」
少年が探していた人物ー少女ーの名を叫ぶ。しかし、返事はない。少女は地面の上に横たわっており身動きをしておらず、まるで生きてはいないかのようである。少年は今すぐにでもそばに駆け寄りたいかのように見えるが、少女のそばにいる男の存在がそれを許さない。少年にできたのは男へと視線を向けることだけだった。
その時、少年は男の瞳が赤いことに気づいた。少年の記憶のなかには瞳が赤い者などいない。少年の知らない土地にならばいるのかもしれないが、その時の少年にとってはその男だけが赤い瞳を持っている者であり、未知の存在であった。
「***!!」
もはや少年には少女の名を呼ぶことしかできない。そうしていると、赤い瞳の男は何をするでもなくそのまま立ち去っていった。その場には地に倒れ伏している少女と、やっと移動することをするされた少年のみが残される。少年は少女のそばに寄り何度もその名を呼び続けた。
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