園崎宇宙7
帰ってきた途端、ぬいぐるみたちが騒ぎ出した。
『宇宙!!まただよ!くーさんがさらわれた!!』
「え!?!?」
またか。そう思った。
母がたまに私のぬいぐるみをどこかに隠してしまうのだ。
探さなきゃ!!
急いで自分の部屋を出る。
「くー!!どこにいるのー!?」
『こっちだよー…早く助けてよー…苦しいよー…』
リビングの方から声がする。
「くー!?!?」
『こっちこっちー…』
押入れの方から声がした。
開けると袋に詰められたくーがいた。
「くー!!!!!!!」
急いで、袋から出してあげる。
『ぷはあー……助かったよ宇宙ー!ありがとうー』
「また私のお母さんがやったの??」
『そうだよーまったくひどいよねー!あいつ僕らのこと大嫌いだからさー!!!』
「そうだね…いつかは分かってくれるといいんだけどね…ごめんね、怖い思いさせちゃったよね」
『宇宙は悪くない!!だからいいの!!!謝ってほしいのはお母さんの方なの!!!』
むきーとでも言いそうなくらい頭に怒りマークを出したくーを見て、やっぱりお母さんは私にとってぬいぐるみたちがどれほど大切かわかってないなと思う。
しかもよりにもよって、一番大好きなくまのぬいぐるみを狙うあたり、悪いやつだと思う。
死ねばいいのに…なんてことを一瞬思ってしまって、慌ててその思いを消した。
そんなこと思っちゃだめだ。
いい子でいなきゃ。人を死ねだなんて思っちゃだめだ。
「はあ………」
『どうしたの宇宙?もしかしてなんか悩みでもある?』
「そうじゃないの…ごめんね」
『だーかーらー!!!謝らないでって!!!』
自分の部屋へくーを連れて行く。
他のぬいぐるみたちの安心しきった声を聴いて、見つかってよかったし、これからも一緒に遺体だなんて思った。