園崎宇宙4
『お帰りー宇宙ー』
『病院お疲れ様』
『宇宙大丈夫だったの?昨日は心配したんだよ?』
『そうだよー急に薬沢山飲みだしたからみんなびっくりしたよー』
『止めたくても止められないの知ってるら?うちらには言葉をかけることしかできへんのだからあんま無理せんといてー』
『何その言葉づかい』
『いや、元気出してもらおうと思って無茶した』
『いやいや、そんなんで張り切らないでいいから。宇宙困っちゃうじゃん』
自分の部屋へ行くとぬいぐるみたちが一斉にしゃべりだした。
「皆、ただいまー。もう疲れたー」
『うおー大変だったねー』
『お疲れ様!』
『お疲れ様ー』
『お疲れ様』
皆私のことを心配してくれたみたいだ。素直に嬉しい。
昨日も必死に言葉をかけて私が薬を大量に飲むのを止めようとしてくれた。そんな皆の意見を聞かないで薬を飲み続けた私は結構性格が悪いのかもしれない。
『今日は学校行かなくていいんだよね?』
『明日からまた会う時間少なくなっちゃうねー』
『と言っても結構時間あるけどね』
「そうなの…明日からは普通に学校行かなきゃいけないんだ…嫌だな…」
『嫌なのはわかるけど嫌とか言ってると余計嫌になるよ?頑張って!宇宙ならできる!』
『そうだよー皆応援してるんだからー』
「うーん…ありがと。頑張るね」
『今日は何するの?宇宙!』
『当然私たちと喋るでしょーこの世界の事もっと教えてー』
「いいよーじゃあ今日は何聞きたい?」
『最近はやりの歌うアンドロイドについて!』
『甘い物の話してー』
『食べ物の話はもういいでしょ!』
『食べたくなるからやめてっ』
『動物の話して』
『小説の話して』
『学校の授業の話して』
いろんな意見が飛び交う。私は意見を一つにまとめきれないでいた。
『あ、ごめん。宇宙困っちゃった・・・もー皆がいっぺんに話するからー』
『お前だって喋ってたろうが』
『私はみんなのまとめ役だからいいんですー』
『誰もそう思ってないよ』
『そうだ!一番宇宙を困らすくせに!』
『そうだよ』
『謝れよ』
『うわーごめんなさい…』
そんなやりとりに笑ってしまいながら今日も私はぬいぐるみたちと幸せなひと時を過ごした。
でも明日から学校だ。
地獄のような日々がまた始まる。
最悪だ。
心の中でそう思いながらぬいぐるみたちと楽しく会話を続けた。