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4つの扉  作者: 小沢琉祢
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飯塚渡・桜12

私さ、あと2週間でいなくなるんだ。

近くの公園に来てすぐそう言われて、ああ、やっぱりいつかはいなくなるんだなって思った。

でも早すぎないか?もうちょっといてくれてもいいんじゃないか?

そう伝えると、駄目なのと返された。

私、この猫に取り付いてる形なの。

まだ成仏できてなくて。

でも目的は果たしたから、もうそろそろ成仏しないと消えてしまうの。

「成仏してなかったんだね」

そう。未練があったから。

「未練って?」

復讐。

「もう終わったの?」

そう。

「そっか…いなくなるんだね…」

当たり前の事しか言えなかった。それくらいショックを受けた。

悲しむことじゃないよ。元から私は死んでるんだし、いなくなる方がいいの。

そんな僕の様子を見て、若菜が言う。

僕は反論する。

「いなくなる方がいいなんてことない。もっと若菜と過ごしていたいよ…」

でも消えたら元も子もないでしょ。本当に生まれ変わるんだ。ちょっと楽しみかも。

あ、この子は育ててあげて。捨てられてるから、帰るところないってのは分かるでしょ?

私が取りついてた頃の記憶も消さないでおくから、なついてくれると思う。

お父さん、今までありがとうね。

お母さんにもよろしく言っておいて。

私は明日成仏することにしたから。

「もう若菜の声は聞こえなくなるのか?」

そりゃ成仏するからね。

「もう…二度と、会えないのか?」

そんなことはないけど…

「ぎりぎりまで一緒にいてくれないのか?」

決めたことはすぐやりたい人間だったでしょ?私。

「もう、駄目なんだな…」

うん、ごめん。

「いいよ。消えてほしくないしな」

お父さんのそういうところ、私好きだったよ。

じゃあね。

それっきり、若菜の声は聞こえなくなった。

ああ、本当に成仏したんだなと思った。

僕は子猫を抱いて、家に帰った。

猫がなーと鳴いた。

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