飯塚渡・桜10
市内の観光地に来ていた。
今は紅葉が見どころらしい。
近くに水族館もあって、二度おいしい所である。
昔何回か来ていたけど久しぶりに来てみると、少しさびれていて、時間がたったんだという事を思い知らされた。
「ごめんね」
「え?」
「ずっと何もしないで。4年?だっけ。若菜が死んでからそんなにたったのかって思った。4年間ずっと後悔してたの。なんでどうしてってずっとそればっかり考えてて、迷惑もたくさんかけた。家事もしないで、何してんだって感じだよね。そりゃ若菜も生まれ変わってくるわ。私がふがいなさ過ぎて、成仏もできないよね。あれ?生まれ変わったってことは成仏してるのかなあ…」
一息に言った。ちょっと恥ずかしかったから。
「迷惑なんかじゃないよ。逆に僕が迷惑かけてたかも。僕家事苦手みたいで。何やっても最初上手くいかなかったから。料理とか今も美味しくないでしょ?ごめんね。若菜は僕たちの前に現れてくれたけど、成仏はしてると思うなあ。案外あっさり成仏してそう。若菜って結構決断力あったから。桜的にはどうなっててほしい?」
ゆっくりとした口調で渡が言った。
…私か。
私は若菜にどうなってほしいのだろう。
悩む。
でもやっぱり。
「幸せになってほしいよ。どんな姿になっても。たとえGでも」
「G?ああゴキ」
「それ以上言わないで!!!」
「えー?」
「なってほしくないけどそういうこともあるじゃない。例として挙げただけで…もしGの姿で現れたら私は発狂してた」
「そんな嫌い?」
「むしろ嫌いじゃない人いる?」
「北海道の人とかは珍しがるみたいだよ」
「珍しがると好きは違うでしょ!!!!」
「うーん、確かに」
「もうやめよ、この話。呪われるよ。Gの呪い」
「話しただけで!?」
「そう。噂をすると出てくるのよ」
真顔で言うと渡が噴き出した。
めっちゃ笑ってる。
恥かしくなった。
「もーっ笑うなー!!!!」
「ご…ごめ…あははっひー…ごめん。OK。よし」
自分で自分を言い聞かせたみたいで顔はにやけてたけど、笑い声はなくしてくれた。
優しいなあ。昔からそうだった。
私が嫌がることは絶対しなかった。
いつも私の意見を優先してくれた。
何があっても、大切にしてくれた。
「…ありがと」
「ん?」
「ううん。なんでも」
二人で紅葉した木の道を歩く。
ここをまっすぐ行けば水族館に着く。
二人でくだらない話をしながら、水族館へ向かった。




