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4つの扉  作者: 小沢琉祢
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飯塚渡・桜4

あの頃は幸せだった。

というよりあの日が来るまでいつまでも幸せだった。

いつまでも続くと思っていた幸福はいとも簡単に壊された。

私の幸せや幸運はあの日が来る前に使い切ってしまったみたいで、あの日が来てからずっと不幸だった。

渡は私の性じゃないなんて言ってくれるけど、それは違う。

私だけの性じゃないだけで私にだって責任はある。

どうしてこんなことになんて被害者面はしたくないけど、どうしても思ってしまう。

どうしてこんなことに。

どうしてこんなことに。

どうして?どうして?

ずっと自問自答を続けてる。後悔を続けている。

暗い部屋に光がさした。

迎えが来たかと思ったけど違った。

「…桜。もう寝よ」

渡が呼んでる。もうそんな時間?私は今日何してたんだっけ?

「っ桜!!!」

渡が叫ぶ。なんでだろう?おかしいな?今そっち行くね。

「もうやめようって言ったじゃないか…」

え?やめるって何を?そう思いながら手は動く。動く?なんのために?

部屋の外から差し込む廊下の明かりの中ふと見ると左腕が真っ赤だった。床に血が滴っている。服にも血が付いている。

「……あ…」

またやってしまったんだ。ごめん渡。それを声に出そうとすると渡がわたしを抱きしめた。

だめだよ、服が汚れちゃう。渡も汚れちゃう。必死で抵抗するけど力が強くて抜け出せない。

何かが頬を伝う。

「ごめん…わたる。もうやらないから…ごめんね」

次々と頬を何かが伝っていく。それが涙だってことをちょっと経ってから気づく。

気づいたらとまらなくて、声を上げて泣いてしまう。

「いいんだよ、そんなに自分を責めなくていいんだ。桜は何にも悪くない。悪いのはあいつらだあんな奴ら僕が…」

それ以上は言わないで。そんな思いが通じたのかそれ以上は言わない渡。

ぽんぽんと背中を叩いてくれる。その行動でさえも私の罪悪感が募っていくなんてこと、渡は知らない。

あの日から沢山迷惑をかけた。どん底に叩き落された私にずっと手を差し伸べてくれている渡。

どん底から渡の手までの距離があまりに遠すぎて、私はもう渡の元へ戻っていくことは出来ないだろうけど、渡はそれでも一生懸命私を励まし続けてくれている。

仕事もやめて、家事もしないで、一日中部屋にこもって外にも出ないゴミのような私にでさえ、渡は怒ったことがない。

我慢してるのかなって思う。

ごめんね。


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