飯塚渡・桜3
「ふふふふーふふーんふふふーふーふふー」
鼻歌を歌う桜。
何を歌っているのと聞くと、自分の頭の中で流れてる知らない曲という答えが返ってきた。
「…どういうこと?」
知らない曲を歌うってどういう事なんだろう?
「分からないかなあ?自分が勝手に作った曲ってこと。歌詞はないよ。菓子はあるけど」
そう言って、桜味のポッキーに手を伸ばした。
今日は桜の提案で、桜の家で桜味のおやつを食べるという誕生日祝いをしている。
定番の桜餅、先ほど述べたポッキー、カントリーマアム、シフォンケーキなどなどいろんなおやつが並んでいる。
こんなに食べられないよと言ったけど、誕生日くらいいいでしょと一蹴されてしまった。
4月1日。エイプリルフールの今日が誕生日なんて苦労しそうだ。なんか笑ってしまう。
「なーに笑ってんの?」
問われてうーんと言い訳を考えてしまうけど、結局思いつかず素直に思ったことを口にした。
「なんかエイプリルフールが誕生日って苦労するんだろうなって」
「あー…そんなに困らないよ。私と関わってる人達にとってはエイプリルフールなんてただの平日もしくは休日みたい」
「そうなんだ。エイプリルフール特有の嘘だって思われたことない?」
「ないってばー誕生日を偽ってどうするんだよ~」
「確かにっ」
二人で笑う。幸せいっぱいの日常が過ぎる。
「…やっぱり多すぎたかもね。賞味期限近いやつから食べてこ」
一通りちょっとずつ食べてから味に飽きたのか甘いのが辛くなったのか彼女がそう言ってやっぱりねと言うとちょっとむくれた彼女がまた可愛くて、このままずっと過ごしていけたらなって思った。
「あ、そうだ」
袋を鞄の中から取り出す。
「え?」
「誕生日おめでとう。っていうのおっそいか。これ誕生日プレゼント。気に入ってもらえたらいいけど…」
「うわーありがと!!!なんだろー?」
そう言って、包装紙を破く。桜のキーホルダー。
「わー!!私じゃん!!私じゃん??おかしいや…なんて言ったらいいかわからないけど取りあえずありがとう!!かんしゃかんげきあめあられ??」
「そんな喜んでくれるとは思わなかったよ。こっちまで嬉しくなる。てか桜に関係する者が全部櫻だったら今やってることって共食いだよね…」
「そこはいいの!!だって美味しいじゃん!!桜味のおやつ私は大好きだなあ…」
「僕も好きだよ」
「え??それってどっちが?私??おやつ??」
「どっちも」
そう言うと照れたみたいで、でへへと言って自分の頭を自分でなでた。
僕も桜の頭をなでると、ダブルでなでられてる!!とおかしなことを言った。
彼女はたまに言葉選びが面白い。
そこが好きだし、それ以外の所も大好きだ。
25年後の今でもその気持ちは変わらない。




