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記憶2
おぞましいものを見てしまった。
彼に起こったことじゃない。
彼の顔だ。
どうして忘れていたのだろうか。
彼は私を殺した。
私がドウコク様に頼んだのだ。
ドウコク様は、私に言ってくれたのだ。
『お前は全てを失った。だから生まれ変わるのだ』
そしてこうも言った。
『今から記憶を巡る旅をしよう。お前に見えなかったものを見て、そこから何を得るかはお前自身にかかっている。もし何かを得ることができなくても、来世の幸せは変わらないし、もし何か得たとしてもそれで何が変わるわけでもないがな』
この扉の先には私の見えなかった私にかかわる人の人生が見れるんだ。
次の扉には誰が来るのだろう。
いや、本当は分かっている。
私とかかわりのあった人なんてほんのわずかだ。
多分次の扉は私が最後に幸せを願った人だろう。
そしてその人の記憶を見たら私の記憶を巡る旅は終わるんだ。
本当に新しく生まれ変わるのだろう。
だから白くて明るい色の扉なのだろうか。
目の前には黒い扉がある。
もし扉の色がその人の記憶を表してるとしたら私が最後に幸せになってほしかった人は幸せじゃなかったのだろうか。
私は恐る恐る扉を開ける。




