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4つの扉  作者: 小沢琉祢
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上山清2

「ドウコク様?」

情報通のクラスメイトに聞くとすぐその名前が出てきた。

「そう。孤独の神様だって」

「慟哭って難しい漢字のやつのことじゃないの?」

あんまり書いた覚えのない漢字を思い出す。

「孤独がなんでかドウコクってことになってんだって。並べ替えてう足したら確かになるけど。あと慟哭ってめっちゃ悲しくて声出して泣いちゃうことらしいから意味的にはあってるのかなあ…わかんないけどさ。この学校だけみたいだけどね。生徒が次々行方不明になってるの。なんでか大事にならないし」

「ふーん。で、なんでそれを知ってるの?」

「いやいや、結構有名な話よ?まあ知らない人もいるかもね」

あ、なんかむかついた。一発小突いてやる。

「ご…ごめん。」

「いや、いいけどさ。で、解決法ってないの?」

「うーん。聞いたことないなあ…あ、でもドウコク様って孤独に耐えきれなくて死んでいった人の願いをかなえるって聞いたことあるけど。なんだろうね」

こっちが聞いてるんだっての。ふざけんな。

今までの行いを悔いろとでも言っているのか?

むかつく。イライラが収まらない。

耐える。耐える。耐える。

家ではやれてることだ。

どんなに怒ってるときでも家では暴力を振るっていない。

だから家族は俺のことをよく知らない。

それでいいと思っている。

こんな自分を養ってくれる人なんていないだろうから。

一人で、生きていくこともできるけど、バイト三昧とかはなんか嫌だ。

どうせならこの力を活用した仕事に就きたい。

だからと言ってやくざとかは面倒そうだから嫌だけど。

「…上山君?」

怒りを収めているうちに空白の時間ができてしまったのだろう。

心配そうな顔。その心配と言うのはもちろん自分自身の事なんだろう。

いじめられないように。暴力を振るわれないように。

保身に走っている顔。かわいいな。

「いや、ごめん。情報ありがとう」

「別にかまわないよ。でもやばいかもね、上山君」

「え?」

「ドウコク様は約束はきっちり守るよ。今までもこれからも。逃げられるなんて思わない方がいいよ」

ぶちっと血管が切れるような音がした気がした。

気が付くと情報通のクラスメイトは床に転がっていた。

泣いている。

ああ、いいなあ…でも我慢しないと。情報は大切だ。

「ご…ごめん。立てる?」

「地獄に…落ちろ…!」

何てこと言うんだ。そんなこと言われたら欲望が抑えきれなくなるじゃないか。

何発か蹴りをやるとそいつは動かなくなった。

もういいや、飽きちゃった。

俺はそいつを置き去りにして、廊下に出た。

今いたのは空き教室。誰も見ていない。昼休みはまだ長い。

次の授業で見つけられたらいいねと捨て台詞的なものを吐いてきた。

悪役も大変である。

急に攻撃的な態度になったのには何か意味があるのだろうか。

地獄に落ちろ。

そんなことを言われたのは初めてだ。

多分みんな思ってることだけど、口にする人は一人もいなかった。

それにしても対処法のない都市伝説か…どうしたらいいのだろう。

攻撃でもしてみるか。

全力で反省した振りをするか。

お祓いでもしてもらうか。

お祓いは結構高そうだから無理だろう。

見つけるといつもすぐ消えるから攻撃もできないだろう。

出てくるのはだいたい寝ようと思ったとき。

寝ようとすると11時でも2時でも出てくる。

全力で謝ってみようと思う。

謝ることなんていままであんまりやってきたことないし、ストレスがたまるけど。

仕方ない。それで帰ってもらえるならそれでいいじゃないか。

そう思って、自分のクラスに戻る。

自分の席に戻ると、寝ているふりをした。

こうやって、周りの声を盗み聞きしている。

いろんな話が聞こえる気がする。ちょっと楽しい。

地味な陰キャのすることだけど…

俺の悪口を言うやつはほとんどいない。

言ったやつは片っ端からぼこしてるから。

懲りたのだろうか。つまらない。

寝ているふりをしていると、本当に寝てしまったらしく、授業の開始10分前に友達が起こしてくれた。

ありがとうと言って次の授業の支度をした。



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