1/30
扉
私と言う自分を示す言葉はとても便利だと思う。
自分の性別がわからないときはこれを使えばとりあえず男でも女でも成り立つからだ。
ここはただただ広くて、白い空間。
どこまで広がっているかもわからない。
確かめたい気もしたが、終わりがない気がした。
自分の性別さえ分からないのだから、もちろん自分が何者でどういう過去を持っていて、どういう名前なのか、知らない。
でもそこに何があるかはわかった。
目の前には4つの扉があった。
右から赤い扉、青い扉、黒い扉、白い扉がある。
私は右の赤い扉の前に立っていた。
なぜかこの扉を開けなければいけない気がする。
理由は分からないがそうしなければいけない。
私は扉のノブを握り、開けた。