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α空間の狂ってない彼女  作者: 6月32日
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餌を与えないで

カメはランドセルの中でゆっくり動いていた。首を動かし、餌を食べている。良く見ると口先が非常に鋭い。きっとカミツキガメとかいうやつではないだろうか? うっかり指でも入れたら大変な目に会いそうだ。

 そのカミツキくんが、ギョロっとした目を向けて「ん? なに?」という顔で、こっちを見る。


 部長が来た。きっと何もすることがないのだ。

 スタスタとやってきて当たり前のように指を入れる。当然のように、カミツキくんは光速で噛みついた。

「釣れた!大漁じゃああ!!」

 自分の指に噛みついたカメを高々と持ち上げる。


 バカバカバカバカバカバカバカー!

 言葉にこそなってないがランドセルさんはそんなポーズで部長を叩いている。

 これはひどい。何をしようとしているんだ? いったい何になるんだ?

 アフロ部長を叩いたり、カメを引っぱったりしていたランドセルさんはあきらめて“見ザル”のかっこうになってしまった。


「何が大漁ですか。指が紫色じゃないですかあ!」

「どうしてそんなに熱くなっているんだ。少年。ただの冗談じゃないか。ははは」

「冗談で指が無くなっちゃいますよ!」

 不毛だ。まったく不毛だ。

「指くらいなんでもないよ。誰かか喜んでくれるなら」

「誰も喜んでませんよ」

「え? そんなばかな!」

 部長はいかにも意外そうな顔をしている。

「だって、これ子どもたちにバカうけだよ?」


 部長の話によれば、今まで一連の流れが、子ども会で演じる出し物であるという。

 でも、ボクは、さっきからランドセルを抱えたまま泣き続けている人とカメをぶら下げたまま血が止まらない指は、絶対に違うと思った。

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