祭りの終わり
終わりのない祭りはない。終わりのない人生がないように。
今回の終わりは突然にやってきた。
後から始めたくせにアフロの腕が先に震えだし、“キョエーッ”という南米の原生林にいる鳥のような声を上げ、天井ぎりぎりの高さまで机を放り上げた。
狂いだした歯車は止まらない。
空中に放られた回転デスクが、しずかちゃんの頭上に落下し、ちょうど角のところで激突した。
彼女は倒れながら、ドバーっと、額から真上に赤い噴水を上げた。
「い・つも・より……たくさん・出て・おり……」パタッ
シズカちゃああああん!!
ぼくは駆け寄った。
「どうした少年?!」「どうしたじゃないでしょおおお!!」
“ぜんぶ、あなたが悪いんでしょうが!”とアフロに食ってかかろうとして、辛うじて言葉を飲み込んだが、良く考えれば飲み込む必要はなかった。
「少年!」
「なんですかあ!」
「いい慟哭だ! うん、いい慟哭だなあ! その世界の悲しみを全て背負ったかのような泣きっぷり! 周りのことなんかお構いなしの雄叫び! おまえは、クライング・ヒーローだ。陽があれば、必ず陰がある。おまえはネガティビティの権化としてこの世界に君臨するのだああ!!」
「なんで?」
「あっはっはっはっはっはー、なんでって言われてもなあ!」
アフロはバシッバシッとボクの背中を叩きながら高笑いする。
それにしてもさっきから床に放置されてピクピクしているしずかちゃんが気になって仕方がない。
このままではボクの青春のヒロインがろくに会話も交わさないまま死んでしまう。
本当に良いんだろうか? こんなんで……。
なぜかなついてしまった“ドジョウ”もさすがに腰のカクカクは止めて、申し訳なさそうな笑みを浮かべながら息づかいを荒くしていた。