悪魔のツインタワー
アフロ野郎は、さっきの“シズカちゃあああーん”の余韻が残っている間に、彼女同様机を持ち上げ、さらに難易度の高そうな“縦回し”を始めた。
二人はてっぺんの回転するツインタワーと化した。
ボクは……嫉妬した!
どうして、シズカちゃんの横で机を縦回ししているのが、ボクではなくアイツなのか?
どうして、さっきまで怯えていた犬のドジョウが、ボクの足につかまり腰をカクカクしているのか?
分からないことだらけだった。
そして、一番分からないのは嫉妬している自分自身だった。
このままだと弁当を食い損ねてしまう。
でも、そんなこと気にしている場合じゃない気もする。
隣のドジョウがそんな事情を察知して、腰をカクカクしながらも弁当を狙ってる気がするのは、犬を相手に深読みし過ぎだろうか?
ツインタワーの片割れであるアフロのTシャツには黒く大きな文字で“のび太”と書かれている。
ははーん、そうきたか……と納得できるわけもなく、ボクは焦燥感を募らせる。
“これは、すでに戦争だ!!”
そう確信した。
もちろん、根拠はない。
空っぽの戦意だけが、ボクの持ち物の全てだった。